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1/18

1:肉を食い過ぎた男は、草が食べたいらしい。

ええ、いつものですよ。

 二本足で歩く豚…オークとしか言いようのないこの人豚を殺せたのは、

俺…駆緒カリオ双太ソウタにとって偶然だった。幸運だった。

少なくとも不幸ってことはないはずだ。それが有難い事かどうかは知らないが。


「プギィ………」


 その一声を最後に目の前で倒れている人豚は、

頭からドロリとした血を流しながら事切れた。


「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ…!」


 心臓が酷く脈打っている。今にも破裂しそうな勢いだ。

俺は深呼吸をしながら辺りをうかがう。今のところ何も来ない。


「はぁ…すぅ…はぁ…すはぁ……」


 持っていた携帯糧食カロリーブロックはもう無い。大容量の水筒の残りも心許ない…

とにかく俺は何か食べたかった。だからうろ覚えな知識で罠を張った。

引っ張っても千切れそうに無い柔らかそうでやたらと硬い草と

何かのつるを使って転倒を誘う簡単な罠を張ったのだ。

隠れ潜んで待っていたら、この人豚が現れたので、

ええいままよとやったら転んだのだ。どの道何もかからなければ、

俺は飢えて終わりだった。やるしかなかった。


 俺はこの人豚が転んだ瞬間に飛び出して、持っていた拳大の石ころで

滅茶苦茶に人豚の頭を殴った。そうしたら、当たり所が悪かった…

いや良かったらしく、この人豚は白目を向いて死んだのだ。

死んでくれたのだ。


「ありがとうございます。ごめんなさい。いただきます」


 これまで猟友会の手伝いで沢山の獲物をその場で解体バラしてきた。

だから俺はこの人豚の死骸に刃物を入れるのは躊躇わなかった。

いろいろ思うところがあったが…俺はやった。やるしかなかった。


「…腹や肉は…豚ないしイノシシ基準で考えると…危険だな」


 だから俺は意を決して人豚の胸を切り開いた。


「…食うしかないんだ。火は起こせない。暇が無い」


 この人豚も他の生物同様腹以外の体内は無菌であると信じて…

俺はこの人豚の新鮮な心臓を切り刻んで…一かけらずつ食う…旨い訳が無い。


 臭い、臭すぎる! 何を食ったらこんなに臭い血になるんだと思った。

だが俺は食う。食うしかない。賭けるしかないのだ。


「ん…?!」


 真ん中辺りを切ったら、何か出てきた。血を拭ってみれば

妙に綺麗な氷砂糖のような石が出てきた。


「何だこれ…」


 ここがもう地球じゃないことは分かってたから…

俺は残りを食いながら謎の石を見つめる。


―喰エ。


「!?」


―喰エ、喰エ! 喰ラエ! 勝者ノ権利!


 頭に声が…!? 何だってんだ!? 見回しても何もいない。


―血肉ニ! 血肉ニ! 喰ラエ、喰ラエ! 勝者トシテ!


 どんどん声が強くなってくる。俺は怖さで一杯だった。

なのに…俺はその石を口に入れた。入れてしまった。

頭では困惑しているのに、体が動く。まるで酔っているようだった。


―大河! モットモット喰ラッテ大河ヲモ喰ラウ者ニナレ! ソレガ勝者ノ義務!

殺シタラ喰エ! ソレガ勝者ノ義務! 弱キ我ハ肉ニ! 強キ汝ガ食セ!


―ガリリ! バリッ! ボリッ! ゴリリッ!


 本当に砂糖菓子のように噛み砕け、溶けて俺の喉を通ってしまった。


―ドクンッ!!


「ぐぅッ!?」


 頭の中心からジワリと何かが染み出てきたような感覚とともに。

俺の心臓が鼓動を一つ打つ。


―メキリ


「ッ!? …か、カラダが…!」


 全身から力が漲ってくる。さっきまでの疲れと緊張が嘘のように吹き飛んだ。


「………何だってんだ…これは…?!」


 心なしか、俺の手のひらも一回り大きくなった気がする。

服の裾も少し上がった。わけがわからないが…

一つ言える。言えてしまう。


 今ならこの人豚の残りの肉も何事も無く食えそうだ、と。





 …そこから先は、俺の歯形が残る人豚の骨を前にするまで覚えていなかった。





>>>>>


 あれからソウタは沢山の異形…便宜上魔物と定めたモノ達を殺し、

肉と砂糖のような石…便宜上魔石と定めたモノを喰らっていく。

喰えば喰うほど、体は引き締まり、時に若干~一回り膨れ上がり、

比例して膂力が上がった。五感がどんどん冴えていった。


 そして気が付けば、あの人豚を素手で殴り殺せるまでになっていた。


「…どの魔石も…何とも言えない薄味がするな…」


 ソウタはこの見知らぬ場所…彷徨ってからとりあえず樹海と定めたこの場所で、

天を突くかの如く巨大な大樹…そこの一番低い、太い枝元に寝床を誂え、

今は大樹の根元で人豚の魔石を口の中で転がしていた。


―カリッ、ポリッ…ペキリ…


 今ではもう煎餅のような歯ざわりと共に口内で溶けていく魔石。

甘味などはこの樹海で見つけたアケビやサルナシ(キウイの親戚)に

紫色だが見た目も味もリンゴな木の実で得られたが…

まるで酒かタバコを呑むような気分にさせられるこの魔石を食するのが

今のソウタの数少ない楽しみだった。


「あァ…?」


>―――――――――――――――――――――――――――――――――――>

<人間種>から<多種万魔喰種マスクリーチャーイーター>に進化できます。

<多種万魔喰種>に進化しますか?

<―――――――――――――――――――――――――――――――――――<


 今さら自分がマトモな人間だなんて気取るのも馬鹿馬鹿しかったソウタは、

いきなり目の前に現れた不可解なウィンドウメッセージ画面に

「どうぞ」と答えた。


「?! …ヌォッ…!?」


 全身から熱と汗が噴出し、だが、それでいて全く不快など無く、

妙な高揚感と共に、ソウタの体がまた一回り膨れ上がり、

着ていた服を完全に破り去った。髪の毛も伸びていくのが分かった。

ソウタ自身は見れないが、毛の色も白髪交じりの黒髪から…

どす黒く塗りつぶしたように真っ黒になった。


「…さて…今の俺はどんな風体もんかね…」


 ソウタは歩き出す。少し歩いた先に、小さな泉があった。

泉は中央から懇々と澄んだ水を湧かせている。

ソウタは己の姿を水鏡に映す。


「完全に化物バケモンだな…」


 顔こそ見慣れた輪郭とやや平たくもまぁまぁ縄文系の顔立ちだったが、

眼球は一部の動物のようにドス黒くなっており、瞳の色は虹色のような

色合いになっていた。


「…これでステータス画面なんぞがあれば良かったんだがね…」


 しかしあの不可解なメッセージウィンドウ画面ないし類するモノは

一切現れる気配が無い。


「まぁいい…進化できたって事は…それだけ俺の生存率が上がったはずだ…」


 とりあえずソウタはついでだからと外側はだいぶ傷だらけになった

愛用の水筒に泉の水で満タンにする。


「…いい加減、土器とか作ってみるか…?」


 肉ばかり食い続けるということは、その都度ビタミン・ミネラルのために

獲物の生の臓物を喰らわねばならないということだ。

米などの穀類が望めない以上、それは仕方の無いことだが…ソウタは

肉食というよりは米食なのだ。せめて草系の何かを充実させたい。

そうなると、皮袋などではダメだ。少しでも植物系食料の保存性を高めるためにも

ちゃんとした保存容器を如何にかするしかないのだ。

大分草臥れたリュック…今はもう小さなカバンに成り果てたモノには

もう魔物の天日/焼き干し肉で満席だ。塩分は如何にかなった。

この樹海には葉の表面に塩を吹く変な草があちこちにあるのだ。

味は完全に草だが、ソウタはそれを昆布草と呼んで集めている。


「…ハチミツ用の容器も作らんと…」


 最初のころはスズメバチ級にでかい蜂に狂気を感じたが、

今では刺されることも無い。というか針が通らないのだ。

つくづく自分がバケモノになっていると思ったが、今さらである。 


「…まぁ、いい…時間ならバカみたいにあるんだ…」


 ソウタは食事をしていた場所に戻る。そこの大樹の皮には

//////と逆方向に斜め線を引いた彫り傷が沢山あった。

もちろんソウタが毎朝目を覚まして根元に降りたときに彫ったものだ。


 何気にソウタの寝床がある大枝から地面まで地上二階くらいの高さがあるが、

もうただの人間ではないソウタにとって何の問題にもならない。


「やるだけやってみるか…」


 ここから暫くソウタの「原始人舐めてたわ…」という苦行が続くが、

それはまた別の話である。


>>>>>


 それから幾許いくばくかの時が過ぎた。大樹に刻んだ数からして

およそ三年といったところだろうか。今のソウタの手足は古今東西の

悪魔怪物を混ぜこぜにしたような…あまつさえ金属のような光沢すら現れる…

凶悪な手足に異常発達していたが、それも今さらなのでソウタは気にしない。

ちなみにソウタはトラ柄の手作り腰巻一枚に、何かの巨大化石骨と思わしきモノで

作られた棍棒を背中に背負っている。腰巻には食料を詰めた皮袋と

数本の竹製の水筒が携帯されていた。手持ちだった水筒は今は寝床の

枕元の水差しとしているため持っていない。


「そろそろ裏の山脈を抜けてみてくるか…?」

「お? どっか行くのかソウタ兄ちゃん?」

「ぬー…また何日も戻らないとか勘弁して欲しいんよ。

兄者あにじゃが居ないと安心してゆっくり眠れないんだぬ」

「…三人でおるすばん…すごくいや」


 この三年の間にソウタの縄張りには同居人が三人増えていた。

三人ともパッと見は人間の子供…のようで普通の人間ではなかった。


「ヴァイス、ルヴァル、ネネ…夕方からは寝床に引っ込んでおけよ」

「言われなくてもそうするよ…僕じゃあまだ豚野郎オーク

2、3匹くらいなぶり殺すのが精一杯だし」

「ぬ…ルヴァルの上位人ハイヒューマンとは何なのかぬ」

「黙れヴァイス。鑑定もちだからって調子に乗るなよ名前負け仙人マハーマン!」

「煩いんだぬ! 誰が弱点看破してやってると思ってんよ?!」

「うるさいだまれ…二人がだまれ」

「「だとぉ!?」」


 そう言って口論を始めるのは…ぬーぬー煩い白い瞳の少女…ヴァイスが

すっかり隠れるほどの前髪を垂らし、そこから覗く青とも緑ともつかぬ碧色で

瞳孔が開いたままの両目に耳部分が三本ほどの水晶柱になっている……

今の種族は鑑定能力持ちのヴァイス曰く魔水晶人スパティカーマンだという幼女ネネを

睨み、ツンツン頭と隻腕だがその部分から出るエネルギー体としか言い様の無い

体格に合わない大きな腕を振り上げて怒りの表情を見せる少年ルヴァル。


「…ハァ…やめろやめろ…俺のとっておきの魔石ストックをくれてやるから…

大事に舐めて待ってろよ」

「やった! これでまた一つ強くなれる!」

「ぬ…今度こそ何かしらの攻撃性異能を…!」

「ソウタ…おれいに何人ほしい?」

「そういうのはいいから大事に喰って待ってろ…寝床に詰めてある

干し肉や果物も食ってしまってかまわんから、ちゃんと留守番してろ」

「「はーい!」」

「ねえソウタ…何人ほしいの?」

「ネネ、十年早い」

「むぅ…ソウタはそればっかり…」

「ハァ……」


 ソウタは三人の子供達の頭を優しく撫で、笑顔で見送る

三人を尻目に縄張りを後にした。


>>>


 この樹海には中心辺りに巨大な山脈がある。無論その事実は知らないソウタ。

しかし彼はこの山脈を易々と通り抜けられる。単に抜けるだけとはいえ

普通なら単身で山の中というのは地球でも相当に恐ろしいものだが、

今のソウタには何の問題も無い。だからソウタは普通に進み、

時折気配を感じ取っては茂み等に潜んでいるコカトリス(仮)やら

リザードマン(仮)やら御馴染みの豚肉オークを屠っては喰らい、

屠っては喰らい…としつつ進んでいく。最近はワイバーン(仮)も

彼と子供達の御馳走となりつつあった。ヴァイスが攫われ掛けたのも

今となってはいい笑い話だった。


「さて…樹海は終わったが…?」


 方位は知らないが、山脈を真っ直ぐ抜け適当に北東と定めた方向を進んでいたら

思ったより早く樹海を抜けた。ソウタの目の先には広大な平原が広がっている。


「ふむ…これは………ふんふん…懐かしい潮の香りがする…」


 普通なら分からないだろうが、あれから大分五感が発達したらしく

風に乗ってくる匂いをある程度嗅ぎ分けられるようになっていたソウタ。

目を凝らせば匂いの彼方に海のようなものが見えそうな気がする…

それほどにソウタの視力も発達していた。


「ん…?」


 ここでソウタは遠巻き(といっても普通の人間には見えない距離)に

久しぶりの馬車を見つけた。


===


 ここは東国連合・グランリュヌ帝国係争地と呼ばれる場所だ。

今現在ここを必死に馬車が一台走っていた。


「飛ばせ飛ばせッ! 馬が潰れてもかまわん!!」

「しかし店長…!?」

「いいから飛ばせ! まだ護衛共が追っ手の数を把握しとらんのだ!

ああもうとりあえず時間稼ぎだ! とりあえずそれでいい!!」


 御者と店長と呼ばれた身なりのよい…と言っても地球感覚からすれば

ゲームや幻想小説なんかに出てきそうな格好の男がそんなことを言いながら

馬車馬に鞭を入れまくっている。そして馬車のそう遠くない後ろには…

これもまたその手のモノに出てきそうな…とはいえ中々良さそうな

装備に身を包む野盗らしき連中の騎馬団が追ってくる。


===


 ソウタはその光景を黙って見ていた。前に一度…具体的には

三人の中で最後に拾ったネネを乗せていたと思わしき馬車に逃げられたのだ。

故に同じ轍は踏むまいとソウタは馬車と騎馬隊のカーチェイス(?)を

若干興味なさそうに黙って見ている。 


「…ふむ…どうやら戦うことにしたのだな」


 ソウタの目線の先(と言っても普通なら豆粒にしか見えない距離)で

とうとう馬車がドリフトじみた動きで止まり、幌の中から数人の…

これは初見かもしれない剣士やら魔術師やら重戦士に弓使いといった

いわゆる冒険者とでも言えばいい連中が飛び出して盗賊たちに

弓矢や魔法に何かしらの投擲物で先制攻撃を仕掛ける。


===


 最初に剣士の男が盗賊の一人を切り捨てる。その拍子で剣士の胸元から

陽光で銀色に煌くドッグタグのような首飾りが飛び出す。


「ぐぎゃーッ!?」

「チィッ…! こいつら…! 銀級か!?」

「ってことは…! こりゃー荷物も期待できそうですぜ!!」


 仲間の生死よりも皮算用にニヤつく盗賊たち。


「クズが!」

「ごぇっ!?」


 続いて弓使いが放つ弓矢で致命傷を受けて盗賊の一人がたおされる。


「おほほっ!? 馬車の中がチラッと見えたぞ!! 奴隷商だッ! 野郎共!

死んでもこいつ等を賞品以外全員ぶっ殺すぞぉ!!」

「「「ヒャッハー!!」」」


「熱心だね…ファイアボルトッ!!」

「ぐわーッ!?」


 相変わらず仲間の生死などお構い無しに調子付いた盗賊が、

今度は痩せ男と思われる魔術師の火炎弾で火達磨になる。


「野郎ぶっ殺してやる!!」

「言ってろオラァ!!」

「ぐげえーっ!?」


 怒り心頭な盗賊のもう一人は重戦士の斧の一撃に沈んだ。


「ち、違う!? こいつら銀級じゃねえ!?」

「ご明察だ! 俺たちは白金級だよ! スラッシュエッジぃッ!!」

「ブペッ!?」


 剣士の男が青ざめた盗賊に向けて振り下ろした剣より魔法の刃を飛ばす。

四人目の盗賊は避ける間も無く胴体と首が分かれた。


「ち、畜生このままじゃ終われねえ!!」


「どう足掻いたってテメーらは終わりだよ!!」


「うがぁッ!?」


 弓使いの矢が五人目の盗賊の胸をブレストプレートごと貫く。


「クソッタレええええ!!」

「お前がクソッタレだボケ!!」

「ぐおぉぉぉ?! ぉびゅっ!?」


 六人目の盗賊は一瞬剣士と打ち合うものの、振るった湾曲剣カットラスごと

バッサリと切り捨てられた。


 そして…最初の勢いから襲ってきた盗賊達は、成す術なく…

叩き落される羽虫のように奴隷商の護衛冒険者チームに討ち取られていった。


===


 胡坐あぐらをかき、何の魔物のかは定かではないが旨そうだが

かなり硬そうな干し肉をガムみたいにもっきゅもっきゅと食べながら

ソウタはその光景を見ていた。さすがに全てハッキリではないが、

ソウタは彼らの話し声も聞こえているようだった。


「ふむ…文明としては…やはり剣と魔法の中世で良いんだろうな」


 樹海の魔物が魔法を普通にぶっ放してくるので、何を今さらだと

言いたくなったが、やはり声出し確認したくなるのは

昔取った杵柄…いや職業病だろうか。


「……できれば相討ちにでもなって…いや、奴隷商ではな…」


 今のところソウタがこれまで目撃した何かしらの荷馬車は

魔物やら盗賊に襲われつつも、あるいは何事もなくソウタの視界から

ことごとく消えている。良いことだとは思うのだが、何となく

荷物だけ残すなりよくあるお助けイベントが出てこないものかとも思うソウタ。

まぁ、できたところでソウタの外見からして同居の三人同様言葉が通じても

第二回戦というか突発的ボス戦イベントにしかならなそうではあるが。


「…とりあえず、最後まで見物だけしておくか」


 ソウタは腰元の皮袋を弄る…しかしソウタの楽しみである魔石は無い。


「しまった…うっかり全部…俺としたことが…!」


 軽く舌打ちして、仕方なくソウタは干し肉を複数枚取り出して

モリモリと食べていく。何気にソウタの背後には

巨大な狼の魔物が居たが、ソウタは全く意に返さない。

そして狼もまた、ソウタに襲いかかろうとはするが、

ソウタがピクリと動きを止めると、それに合わせてビタリと止まる。


「……ふむ…十秒やるからさっさと失せろ。さもなくば貴様の魔石を

オヤツにさせてもらおうか?」


 ソウタが振り向いたときには狼が尻尾巻いて明後日の方向へ

脱兎の如く逃げ去った後姿。


「…クソ…止まらずに殺れば良かった…」


 ソウタは悔し紛れに新しい複数枚の干し肉をモシャモシャと喰らう。


===


 奴隷商の護衛を担う冒険者チームは盗賊たちの遺した馬や装備などを

物色していた。


時化しけてるな…」

「そりゃ銀級だと勘違いする連中だ。大したモン持ってるはずも無いぜ」

「とはいえ二束三文でも臨時収入は臨時収入…有難く頂こう」

「世知辛いね…白金級の私達が奴隷商の護衛クエストだもの」

大月帝国グランリュヌの連中と東国連合が相も変わらず

こんなステップじみた土地巡ってまた戦争準備だからな…

義勇兵の指名招集避けの為にもしょっぱい奴隷商護衛もやらにゃあならんさ」


「…いかに白金級とはいえ、流石にしょっぱいと言われると腹立たしいのだが」

「ああ…すまんすまん…こういう時こそ稼ぎ時なあんたらには悪いな」

「……はぁ…白金級じゃなかったら成功報酬も値引かせてもらう所だぞ」

「そりゃ困るわ…はっはっは!」


 笑いあう冒険者達にため息しか返せない奴隷商。


「あー…折角だからそこの馬肉を何頭か捌いてくか?」

「そうだな」


 冒険者の四人は奴隷商の馬車から一番離れた所にある

今は亡き盗賊達の馬の死骸の所まで歩き出した。


「あっ!? 誰か!! 奴隷しょうひんが一人逃げたぞッ!!」

「「「「あん?」」」」


 振り向いたときには幌から一人…褐色に銀髪と長耳…

何のエルフかは定かではないが、エルフと思わしき貫頭衣に

手械のみの素足の少女らしき者が飛び出してかなりの勢いで

奴隷商一行のいる場所から樹海方面に走り去ろうとする所だった。


「おっとっとぉ! 流石にそいつは報酬減額モノだ! 能力向上ステータスアップ!」


 少女はかなりの距離を稼いだかと思ったときには、

それ以上に恐ろしく素早い弓使いに取り押さえられた。


「勘弁してくれや、お嬢さん」

「離し…てぇッ!?」


 弓使いはエルフ少女の脇腹を殴る。


「おいッ!!! 傷物にするな!!!」


「ンなこと言われてもエルフだぞ!? ちゃんと魔封じしてるってのか!?」


「グッ…!? 目立つところは避けろよ!!」


「だぁから脇腹殴ったんだろうが!!」


「鎖骨好きの変態の買い手が付かなくなるかも知れんのだ!!」


「流石にそりゃピンポイント過ぎんだろ!?」


 とはいえ下手に殴って変なところに傷跡も残すわけにもいかないかと

独りごちた弓使いはエルフ少女を軽く締め落とそうとする。


「出来る限り手加減してくれぇ!! エルフ奴隷は目玉商品なんだ!!」


「馬鹿にすんな! こちとら白金級だぞ!!」

「う…あぁ…あぁぁが…や、いぇ…で…!」

「だったら大人しくしろって…俺だって好きでやってんじゃねえんだよ」


 弓使いの一言に、エルフ少女は抵抗するのをやめた。


「ったく…」


 弓使いに首根っこを掴まれながら奴隷商の元に連行されるエルフ少女。


===


 その光景に思わず立ち上がっていたソウタ。


「…見ていて気分は良くないな」


 連行されたエルフ少女は奴隷商に腹を殴られている。

「おい言ってることとやってること矛盾してねえか」「教育的指導だ!」

「無茶苦茶だな…」「やれやれ…」「流石奴隷商だな」といったやり取りに

ソウタは自分が握り拳を固くしていることに気が付く。


「……ハァ……俺もまだまだ甘―

「弱 者 は 強 者 に 黙 っ て 従 え ッ ! ! 」

―…グガ…ッ!」 


 奴隷商が放った叫び声に、ソウタは鬼の形相を浮かべ、

思わず駆け出していた。


===


 重戦士が奴隷商の肩を掴んで宥め、剣士はキセルに火を点ける。


「仕事柄よくあることだろ…」

「だからこそ締めるところは締めねばならんのだ!!」

「…顔、殴っちゃったね」


 地面に転がっているエルフ少女の方頬は腫れている。


「………あぁ…クソ…買い手に値切られる…!」

「心配するのそっちかよ」

「やれやれ…」

「だから奴隷商の護衛クエストって嫌なんだよな…

まぁ…弱肉強食ってのは仕方ないんだろうがさ」


「そうか、ならば俺がお前らを好きにしていい道理もまたしかりか?」


「あ?」


 弓使いの男はそれきりである。何故なら彼は不意に現れた

ソウタの巨大骨棍棒の一撃で肉団子になって転がったからだ。


「なッ!?」

「馬鹿な…!? ユー、ミスがいち、撃…ッ?!」

「オーガ…?! いや違う!? 何だコイツは!?」


「何であろうとどうでも良いだろう。弱者おまえら

強者おれの好きにするのだから」


 ソウタは棍棒に付いた僅かな血糊を水筒の水で洗い流している。


「しゃ、喋った!?」

「んな!?」

「お前ら構えろ! こいつは唯の―「もういい黙れ」


 剣士は喋りきる前にソウタに頭部を握り潰された。


「ゾートぉッ!?」

「え、エクスマギアブラsとぺッ!?」


 魔術師はソウタが投擲した巨大骨棍棒で体が「つ」の字になって死んだ。


「ジクマ…!?」

「戦力はもうお前だけなのか…ワイバーンでもまだ粘るぞ」

「わい、ば…んんんんーーーーーッ!?」


 重戦士は頑丈そうな鎧ごとソウタの悪魔の如き豪腕に胸を貫かれる。


「おご…ぁ…? なん…これ…ミスリ…る…ブボッ……!」


 重戦士はそのままソウタにゴミのように放られ、息を引き取った。


「ひわわわわわわわぁ!?」


 奴隷商人は腰を抜かしていた。失禁もしていた。その臭いに

ソウタは顔を顰める。


「クソまで漏らしたのか…救いが無いな…何を食ったらそんな臭くなるんだ」

「あばばばばばばばばぁぁ!?」


 奴隷商はそのまま気絶した。見ていた御者は御者で必死に馬に鞭を入れるも

馬達は完全に震えて動かない。動いたら即座に死ぬと

野性の本能で理解しているのだろうか。


「…おい、そこの馬使い」

「あひぃ!?」

「お前には選択肢があr―「命だけはお助けえええええええ!!」

―……馬鹿が…」


 ソウタの二の句を聞かず御者は馬車から転げ落ちるように走って

その場から逃げ出したが、少し前にソウタが見逃すことになった

巨大狼の魔物に二口で食われた。


「………何だ、お前…おこぼれが欲しかったのか?」


「ワウッ!?」


 ソウタは巨大狼の真後ろに立っていた。


「……まあいい…ほれ、肉が喰いたいならそこの馬でも食ってろ」

「あ、アウ…?」


 え? いいの? と言いたげな巨大狼。


「…肉なんぞ樹海に帰れば幾らでも食える。本当ならお前の魔せk―

「キャインキャインキャイ~~~ン!!」―……ああ、言葉が悪かったか。

ケモノの癖に賢いな貴様は」


 またも尻尾巻いて逃げ去る巨大狼を肩を竦めて見送るソウタ。


「……別にいいさ、巨大狼の魔石の一つや二つ……さて…」


 ソウタは奴隷商の馬車の方へとゆっくり歩み寄っていく。

馬車からはオークに似た顔と体格の…人間らしき男と、

たまに出くわすオーガに似た顔と体格の男を筆頭に

そこそこの数の奴隷達が出てきており、ソウタを震えつつも見ている。


「あの大きさの馬車にどうやって入ってたんだ…」 

「あーと! えーっとですねー! この馬車って空間魔法の魔道具が

組み込まれてましてごめんなさい殺さないで俺オークじゃないです

一応人間のハーフでっす!!」


 ソウタが近づくと豚面男が見事なジャンピング土下座を決める。


「それは匂いで分かる。人間の匂いが強いんだなお前は」

「はいい! オレ母ちゃんが人間だったんでえええ!!」


 何かまだ豚面男はまくし立てていたようだが、それを無視して

ソウタは上半身だけ起こして固まっていたエルフ少女の前に立つ。


「立てるか」

「え…?」

「立てるか、と聞いたのだ」

「あ…はい…」


 ソウタの差し出した異形の手に一瞬戸惑うも、エルフ少女は

ソウタのその手を両手で握り締めて如何にか立ち上がった。


「あ…の…さっきの魔物は…グランドウルフ…ですよ、ね?」

「その名前は知らんが、あの巨大狼は時々樹海で見るぞ。

まるでニホンオオカミみたいに良い意味…? で送り狼することがある」

「にほんおおかみ…?」

「…気にするな。そのオオカミはもう俺の故郷では絶滅してしまっている」

「はぁ…」

「…とりあえず、この薬草を磨り潰して頬に当てておけ。

俺の塒の同居人のチビ三人が人間だった時から使っているから…

あぁ…エルフには効かないかもしれんが…まぁ…」

「だ、大丈夫…です…この薬草…私も知ってるので…」


 すごく上等な高級品だけど…というエルフ少女の呟きは無視し

今度はオーガ面の巨漢奴隷に話しかけるソウタ。


「おい」

「うご…!? お、おでは喰っても旨くないで、す…!」

「知っている。樹海のオーガ共の肉も臭くて臭くて香草を駆使しても

やはり喰えたモンじゃないのは二年前に確認した」

「お、う…かくにん…?!」

「いや、そうじゃなくてな…そこで伸びてる奴隷商を縛っておけと」

「おう!? あ。ハイ! 今、やる! やりま、す!」


 中々に俊敏な動きで気絶している奴隷商を馬車から出したロープで

丁寧だが結構雁字搦めに縛り上げていくオーガハーフと思わしき巨漢奴隷。


「あー…とりあえずそこのオーk「モーガンです! オレ、モーガンって

言います新しいご主人様!!」…誰がご主人s「ごめんなさい命だけは!!」」


 さっきから一々綺麗な土下座をするオークハーフの男

モーガンにちょっと呆れるソウタ。


「…あぁ、そうだ…名乗っておくか…俺はソウタ…駆緒…いや、

ソウタ・カリオだ…ええと…そこのエルフの娘…?」

「人の父ライナとダークエルフの母サーリャの子のスーリャです…」

「やはりお前もハーフだったのか」

「はい…えと…その…ソウタ…様?」

「様など…いや、チビ共の情操教育に必要か……で、何だ?」

「私達は…その…これからどうなるのでしょうか…?」

「喰らうならとっくに貴様らを皆殺しにしていると言わねばダメか?」


「「「ひぃぃ!?」」」「やっぱりぃ!?」「嫌だ死にたくない!!」


 ソウタの言葉の意味を理解してない奴隷達は叫喚の渦に包まれる。


「待て待て待て…だからそういうつもりならお前達はとっくに死んでると…

……ハァ…おいモーガンとやら」

「はい! マイボス! マイルーラー! 何でしょうか!?」

「…誰が支配者ルーラーだ…いや…とりあえずお前は口が達者そうだから

泣き叫んでる連中を宥めろ」

「お任せください! ビッグボス!!」

「……ハァ……」


 とりあえずソウタはその場に胡坐をかいて

モーガンの口八丁を眺める事にした。


>>>


 目が死んでいる奴隷商を新たな御者にして、先導するソウタが率いる

奴隷商の馬車はゆっくりと樹海の中を進んでいく。


「食料も大量に詰め込んでいたんだな」

「ひゃい…!? そ、そりゃあもう長丁場は想定済みなのでしからして!」

「そう怯えるな…俺も元人間なんだ。元同族を喰ったりはしない」

「ありがとうございます! ありがとうございます!!」


 ソウタは馬車に耳を澄ませる。


「…おいドルク(ハーフオーガ巨漢の名前)…ここって…

"あの"イオヤム樹海だよな?」

「ん…モーガン、お前そう言ってた、ぞ」

「…お前に聞いたオレがバカだったよ…えっと…スーリャちゃん?」

「スーリャで良いわ…私達はもうソウタ様のモノ…奴隷仲間なのだから」

「そう? じゃーオレもモーガンとかモーちゃんとかモー君とか

お調子者のブタ野郎★とか好きに呼んでくれて良いんだぜ!?」

「あの…まだ貴方のことよく分からないのでそれは…」

「ですよねー♪」

「モーガン…お前、ブレない、な」

「奇跡を信じることは奴隷なら誰しもすべきことじゃろがい!」

「仲良いのね…」

「あー、まぁドルクとは腐れ縁で…」

「む、ん…おで、モーガンとは幼馴染…同じ奴隷商店で生まれた、から」

「ごめんなさい…生まれながらの奴隷だったのね…」

「気にしない気にしない! ってことはスーリャちゃんは…」

「ええ…異民族狩りで…」

「そっか…それもそれで難儀だよな…あーオレがもうちょっと

魔法の才能に恵まれてりゃー…」

「モーガン…それだと…お前…戦奴じゃない、か?」

「んでダメな方を出すんだよ…そこはお前貴族様の養子とかさぁ…?」


 とりあえず大人しく談笑しているようなのでソウタは周囲の気配を探る。

やはり様子を伺う魔物の反応はちらほらあるが…あの時の巨大狼よろしく、

ソウタがピクリと気づいた素振りをするだけでクモの子を散らすように

多くがいなくなっていったようだ。それでも何体かは

様子を伺っているようだが…まぁ、それでこそ樹海の魔物だと

ソウタは戯れに足元の石ころを一番大きな反応のほうへ

思い切りブン投げる。パァンとソニックブームと共に石ころは消えた。


「ンニギャァオォォン!?」


「ブヒヒヒン!?」

「うおわったったったっ!?」

「ああ、すまん。遊びが過ぎた」

「勘弁してくださいよぉ大旦那様ぁ!!」


 今にも泣きそうな奴隷商に軽く侘びを入れ、ソウタはさっきの泣き声から

多分キマイラ(仮)のライオン頭にでも命中したかと推測する。

ともすれば勿体無かったかと反省もしていた。


「さて…そろそろか」


 ソウタ一行はやがて樹海の開けた場所に出る。


「よし、そろそろこの辺で止めろ」

「はい! 大旦那様!!」


 開けた場所…すなわちソウタの縄張りである天を突くかのごとく高い

大樹の根元辺りで奴隷商の馬車は止まる。


「良いぞ。全員一人ずつ焦らずゆっくり降りろ」


 ソウタの一言にモーガン、ドルク、スーリャが降り、続々と

その他の奴隷達が馬車の外に出て、その光景に多数は絶句する。


「な、なんじゃありゃ!?」

「でっけえなぁ…」

「奴隷落ちして年老いてから間近で見れるとは…ありがたやありがたや…」

「モーガンにいちゃん。あのおっきい木はなーに?」

「マジかよ…あれって…!!」

「天突大樹…リッカルディッギー…」

「やっぱり!? やっぱりそうなのスーリャちゃん!?」

「うお…凄く…大きい、ぞ! …おでより、も!」

「いや見りゃわかるわそんなもん…」


「ふむ…やはりお前達基準でもそうなのか」

「いや! そりゃそーっすよ! だって俺らの本巣だった

奴隷商館近くの高台からも見えるくらいデカいんすよ!?」

「そこまでの……ふむ…ならば今度登頂してみるか」

「え、登頂…ええぇ!?」


 何やら顎が外れそうな勢いであーだこーだ捲くし立てるモーガンを放置し、

いくらか腫れの引いた顔でこちらを見るスーリャと奴隷達を見るソウタ。


「ここが…ソウタ様の…殿上…? ですか?」

「無理に装飾しなくてもいい…ここは俺とチビ三人の塒のある縄張りだ」

「む…そういえば…親方…同居人いる…言って、た」

「ああ…今時分は昼頃だからあいつ等も昼飯を調達にいk―

「天知る地知る人ぞ知る!」「えーと樹海の深淵の何だったかぬ?」「しるか」

「ノリ悪いなお前ら!! これだから女子は!!」「ルヴァルうぜぇ」

「あーもういいよ! ほら! さっさと名乗れ!! ヴァイスから!」

「オッケーだぬ…白瞳びゃくどうのヴァイス!」「隻腕のルヴァル!」

「…盲目もーもくのネネ…ねみぃ…」


「「我ら! 樹海王ソウタの参翼! ここに参上!」…くそめんどい」


 一番低い大枝(と言っても地上二階)にある塒から飛び出したかと思えば、

グッダグダな感じを決めポーズで誤魔化そうとしている

同居人のおチビ三人…いや二人。ネネはもう立ちながら船を漕いでいる。

 ソウタは眉間に皺を寄せて手も当てる。一瞬決めポーズ時に

何か背景が爆発したように見えたのが凄く嫌だった。


「「「「「………」」」」」


「あのー…ボス…もしかして…」

「もしかしなくとも俺の同居人三人だ…あの高さから普通に着地できたように

こいつらももう元人間だ」

「マジす…あ、何か確かに人間なようで人間じゃない…!!? サーセン!!」

「大丈夫だ、あいつらは一応年相応に子供らしくしてる…だが…それも…」


 俺が余計な物語を語らなければ良かったんだ…とゲンナリするソウタ。


「まあいい…あいつらの事はどうせ嫌でも慣れるさ…それよりも、だ」


 改めてソウタは奴隷達の前に立つ。


「どうせもうお前達は行き場も無いのだ。だからここで俺たちの畑仕事を手伝え…

俺は白飯…はともかくパンかウドンが喰いたいんだ…」


 ソウタは奴隷達にある光景を指差した。促されるままにそれを見て、

また固まってしまう奴隷達。


「「「………」」」

「うおっ…?! すっげぇ!! マジで畑!! しかもだだっ広い!!」

「何かの苗木…ある、ぞ」

「あれは…大赤花空豆…?!」

「知っているのか、スーリャ」

「はい! あれはエルフ族の御馳走ですから!! すごい…!

流石はイオヤム樹海…! 魔力に満ちているからどの苗木もちゃんと

蕾を…! ああ! お母さんに見せたかった!!」


 スーリャは涙をポロポロ零しながら笑顔を見せる。


「あのー…ボス? つかぬことをお聞きしても?」

「何だ」

「ウドンって何すか?」

「シロメ、シ…って何だ? です、か?」

「……白飯は兎も角…そこからか……まぁいい…ゆっくり教えてやる…

そしていずれは貴様らも白飯の素晴らしさを知るが良いさ…」


 ソウタは大樹…リッガルディッギーと呼ばれたその大樹の

見えそうで見えない天辺の方をを見やる。


「何はともあれお帰りソウタ兄ちゃん!」

「ざっと一週間は長かったんだぬ」

「…ソウタ…おみやげは…? それとも…今日こそはネネとこづk」

「ネネ。今はやめなさい…そして離れなさい」

…今日はもうソウタから離れないそれこそこづk」

「いい加減にしろネネ! ソウタ兄ちゃんが困ってるだろ!!」

「気安くさわるな片手野郎」

「何だとこの素の視力無しが!!」

「やれやれだぬ…」


 やれやれはこっちのセリフだと言いたいおチビ三人に引っ付かれてるソウタ。


1:肉を食い過ぎた男は、草が食べたいらしい。(終)

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