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白狼使い  作者: 向日葵
第1章
31/35

30 お金の価値を学ぶ

お待たせいたしました。






ダルトさんの説明が進むにつれ、私は頭を抱えたくなった。


自分の行動がとんでもなく、一般常識と異なるものだということが分かったからだ。


ダルトさんからの話で分かったことは2つ。


一つ目は、私が買取に出したものは全て貴重なもので、尚且つ品質がとても良いため、一般的な薬草の相場よりも数倍高い値段で買い取るような薬草ばかりであること。二つ目は、この世界のお金の価値を知らずにいたこと。


これはやばい・・・。


一つ目のことは、ラルトが探してくれて物を魔法カバンに入れたっていう説明で何とかなる気もするけど、二つ目のお金の価値を全く知らないことはどう言い訳すれば?


「実は私、異世界から転生しました者です!」・・・なんて言えるわけがないし。


あぁ、本当にどうしよう?


ダルトさんと闇帝に聞かれるであろう内容にどう説明しようか考えていたところに、闇帝に声をかけられた。


「とりあえず、座らないか?話をするにしろ、買取の手続きをするにしろ、時間がかかるだろ。それに俺はお茶の続きもしたいしな。」


「お茶の続きって・・・。相変わらずお前はマイペースだな。まぁ、ユキ座って話そう。」


「はい。」


私達はさっきまで座っていた場所に座った。


だからどうして、闇帝は私の隣に座るんだろう・・・。


ちなみにラルトはダルトと闇帝が、主であるユキに何か問題を起こさないか、ユキの膝の上で撫でられながら目を光らせている。


尻尾をフリフリと動かしながら・・・・


「この薬草の買取をする前に、ユキいくつか聞かせてほしいことがある。もちろん話したくないことや話せないことは言わなくてもいい。だが、できる限り話してくれるとありがたい。ユキを守るためにもなるべくユキのことを知っておきたい。」


「・・・わかりました。可能な限りお答えします。」


「それじゃ初めに、この薬草はどこで手に入れた?この薬草達の中には深い魔の森の奥にしか生息しない薬草がいくつもある。」


いきなり聞かれたくない内容を聞かれた・・・。


っというか、出した薬草ってそんなに珍しい物ばかりだったの!?


どうしよ・・・・仕方ない、話の中に嘘と本当のことを合わせて話そう


「私とラルトは深い魔の森の中を歩いてこの街に来ました。」


「ほんとか!?ユキ、深い魔の森はSランクの魔物がいる危険な場所だぞ!険森な森の中を通ってこなくともこの街にはどの町からも道が通っているのだから道を通ってくればよかっただろう。」


「確かにこの街に来ることが目的なら道を通ればいいでしょう。でも私たちは深い魔の森にだけ生息する新月草が目的なんです。だから私たちは、深い魔の森を通ってこの街に来ました。」


「深い魔の森を通ってきた理由はわかった。しかしユキは戦いなれていないだろう、どうやって森を抜けてきたんだ。」


「ダルトさんの言う通り私は戦いなれていません、ですがラルトは違います。ラルトは小さくても使い魔ですから戦いなれてます。それに私とラルトは魔物の気配を遠くからでも感じ取ることができるので、魔物とは遭遇しないように森を進んでました。ちなみに薬草等の採取方法には少し知識がありまして・・・まぁ取った薬草がこんなにも市場に出回っていないとは知りませんでしたけど・・・」


ラルトを撫でながら説明すると闇帝とダルトさんは納得してくれたみたい。


納得させてたのはいいけど、この話の設定忘れないようにしておかないと・・・。


「無事に森を抜けて来られた理由はわかった。だが、どんな理由があったとしてもやはり深い魔の森にユキとラルトだけで入るのはだめだ。今回は無事で森から出てこれたかもしれないが、次も無事に戻れるとは限らないんだ。もっと自分の身を大切にしろ」


「わかりました。気を付けます。」


ダルトさんが心配して怒ってくれたことに少しうれしさを感じた。


この世界に来たばかりで知り合った人が少ないというのもあるけど、こんなにも真剣に怒ってくれる人ってなかなかいないと思うから、ダルトさんとの関係は大切にしていこう。


でも「新月草」のことを知っておいてよかったぁ、新月草は不治の病を治すことができるといわれている薬草だってラルトに聞いてたからこの薬草を探すためなら深い魔の森に私たちが入ったとしても疑われないと思ったけど正解だったね。


まぁ、好きで深い魔の森にいたわけじゃないんだけどね。


「しかし、ユキの知識の偏りがひどいな。こんなにもきれいに薬草を採集するだけの知識と技量があるのにその薬草やお金の価値をまるで知らないな。」


っう・・・だって採取の方法は鑑定したときにわかるんだもん。お金の価値に関しては確認する必要があったんだけど、すっかり忘れてたんだよね。


「それは・・・実は今まで自分で買取をしたことが無くて(この世界で買取するのは初めてだし)・・・」


小さな声でボソッというと・・・


「「買取をしたことがない!?」」


「はい・・・」


二人が声を合わせて驚いたようにこっちを向いてきた。


そりゃそうだよね、成人してるのに買取したことがなってどんな暮らししてたらそうなるのか自分で言っといてなんだけど・・・想像つかないな。


「・・・よしわかった。ユキ、お金の使い方と種類を教えるからここで常識を学べ。」


「はい、お願いします。」


それからダルトさんのお金講座が始まった。


鉄硬貨10枚で銅貨1枚

銅貨10枚で銀貨1枚

銀貨10枚で金貨1枚

金貨10枚で小金貨1枚

小金貨10枚で白金貨1枚


ちなみに安い宿1泊の食事つきで銀貨2枚らしい。


市場で買い物をするなら多くても金貨2.3でも多いみたい。


講座が終わった後、私は恥ずかしくてラルトのお腹に顔を埋めた・・・・・


ちなみに闇帝はずっと横でマイペースにお茶を飲んでた・・・






異世界に行ったときは、まずその世界のお金の価値を学ぶ必要がありますね!!

この世界では小さな子供も小遣い稼ぎとして、大人のお手伝いなどで野菜を売ったりなどして、買取を経験します。貴族の場合は、買取を直接しないとしても英才教育の一環で学んでいきます。



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