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白狼使い  作者: 向日葵
第1章
27/35

26 魔法カバン






私は慌てて周りを見渡したが、周りの人には聞こえていないみたい。


ほっとしたのもつかの間、ラルトの一言で現実に戻された上に状況が悪化した。


『この人間殺しちゃう?』


『・・・!?どうしたの?』


『だって、この人間のせいで主困ってるでしょう?この人間がいなくなれば全部解決?』


『心配してくれてありがとう。ここは私に任せて!』


『・・・僕の提案、迷惑?』


『内容はちょっとあれだけど、心配してくれたことはすごくうれしいよ。それにラルトが傍にいてくれるだけで心強いよ。』


『わかった。じゃぁ僕は、主を力づけることが仕事だね。人間のほうは主に任せる!』


なんとか、ラルトの暴走を未然に防ぐことができたけど・・・どうやってカバンのことごまかそう?


ユキとラルトが会話していた時間は一瞬だったため、リーリエは二人が会話していたことには気づいていない。


それにリーリエの頭の中はカバンのことでいっぱいだったので、ユキの引きつった顔にも気づいていなかった。


よく考えてみたら、誤魔化す必要ないかも。


だって受付の人が「魔法カバン」って聞いてきたっていうことは、少なくともこのカバンと似たような機能のある物がこの世界にはあるってことだよね。


なら本当の事と嘘の話を混ぜて、カバンの事は隠さず話してみよう。


そのほうが多分いいような気がする。


「あの・・・実はこのカバン知り合いからもらったものなんです。」


「そうだったのですね・・・。先程は大変失礼いたしました。本来、冒険者への詮索はしないというのが暗黙の了解のですが、どうしてもお客様がお持ちのカバンが気になってしまい、失礼しました。」


「大丈夫ですよ。あの、先程魔法カバンとおっしゃっていましたが、このカバンについて何かご存じなんですか?もしそうならこのカバンのこと教えてもらえませんか。もらっただけであまり機能を知らなくて。」


「ありがとうございます。かしこまりました。もし、お客様のカバンが魔法カバンならカバンより大きい物を入れることができたり、停止魔法によってカバンに入れてある物の時間を止めることができるはずです。そうですね・・・例えば、この薬草を採取した時の状態のまま維持することができると思います。」


「なるほど・・・。確かにこのカバン入れた物は入れた時と全く変わらない状態ですね。それに実は、山道を歩くための木の棒がこの中に入ってるんです。」


「やはりそうなんですね!!加えて・・・・・・・・」


彼女のカバンの説明は別の受付の人が止めに入ってくれるまで止まらなかった。


説明を聞いていてわかったことは、この世界の魔法カバンは少ないということ。


魔法カバンは太古の文明で開発された物で現在ではその技術は失われてしまったらしい。


一度は失われてしまった技術だが、最近ようやく魔法カバンに使われている魔法の一部の解明に成功したらしく、小魔法カバンと名付けられた魔法カバンが売られているらしい。


しかしこの小魔法カバンは、本来の魔法カバンより入れられる物の大きさや容量が小さかったり、停止魔法ではなく時間の流れをゆっくりにする魔法であったりと、どの性能も本来の魔法カバンより劣る。


だが、魔法カバンの作成に成功したことで冒険者や商人はもちろん一般の人々の暮らしにも大きな影響を与えた。今までかさばっていた荷物がコンパクトになったり、食料を長い間置いておけるようになったりなど暮らしが良くなった。


小魔法カバンの値段は平民の給料3ヶ月分と少々お高めではあるが、それでも皆が買いすぎて在庫切れになるほど需要がある。


説明を聞いていて、私のカバンは神様からもらった物っていうのもあるけど、昔に作られた魔法カバンより性能がいいということが分かった。


ほしい物をイメージするだけでカバンがセレクトしてくれるのは内緒かな。っというより、太古に作られた魔法カバンっていうことにしとこう。


わかったことを頭の中で整理していると、受付の人が名のってくれた。


「長話をしてしまいすみませんでした。そういえば、まだご挨拶していませんでしたね。私は、このギルドの買取受付を担当しておりますリーリエと申します。」


「こちらこそ、勉強になりました。ご丁寧にありがとうございます。私はユキって言います。こっちは使い魔のラルトです。よろしくお願いします。」


リーリエさんっていうんだ。これからお世話になるだろうし、しっかりと名前覚えとかないとね。


「遅くなってしまいましたが、買い取らせていただく金額は全てで68白金貨になりますがよろしいですか?」


白金貨がどれくらいの金額なのかわからないけどとりあえず頷いておかないと変かな?


「はい。それで大丈夫です。」


「かしこまりました。それでは68白金貨で買い取らせていただきます。ギルドカードはお持ちですか?」


「ギルドカード?」


「はい。登録された際にアイリーから渡されていませんか?ギルドカードがあれば、ギルドの金庫にお金を預けていただくことができます。そうすれば、お客様が貯金された分だけ、お店などで買い物をしていただく際、カードから引き落とすことができます。」


なるほど、つまりデビットカードみたいなものかな?


そういえば、ギルドカードもらってないな・・・。


「あの、実はうけ「おーい!!ユキいるかー?」


リーリエさんに持っていないことを話そうとしたらダルトさんの大きな声でかき消されてしまった。


カードのことかな?


それにしても、目立っちゃうよ・・・・・。






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