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白狼使い  作者: 向日葵
第1章
25/35

24 受付嬢のつぶやき






受付嬢side


私は、ギルドで買取専門の受付を担当しているリーリエ・マールト。


目の前にいる使い魔の子狼を連れた少女に、笑顔で「買取をお願いします!」と言われたのですが・・・

正直、担当したくありません。


誰か今だけでいいので担当を代わってくれないでしょうか?


それにしても、この状況下で笑顔でいれている自分自身をほめてあげたいですね。

これは、日々の受付で鍛えられた笑顔の結果でしょうか。


『どんなことにも笑顔で対応』というのが、私の受付嬢としての心構え。

なので、今まで言葉通りどんなことにも笑顔で対処してきました。


例え、それが血まみれの格好で魔物を担いできた冒険者や幻とも言われている精霊、闇帝から買取を頼まれたとしても・・・


・・・思い返してみると、なぜ私はこんなにも厄介ごとに関わることが多いのでしょうか。


この世界の一般知識として、闇帝などの帝が討伐・採取した物は、各ギルドのギルドマスターが直接鑑定し買い取ることになっている。


理由は、一般のギルド員では、帝達が持ってくる物を扱いきれないことが多いからである。

そのせいで、すでに何度かギルド員がひっくり返るという事件が起きている程である。


ついでに、リーリエの厄介ごとについて説明しましょう。


まず、返り血や怪我で服に血がついている冒険者が来ることは、多くはないが偶にあることだった。

しかしその日の冒険者は、背中に担いでいる魔物の血を浴びながら受付に来て、買取を依頼した。

同じ冒険者でさえ顔色を真っ青に変えるような状況の中でもリーリエは笑顔で対応した。


次に精霊からの買取依頼についてだが、精霊は神話に出てくるような幻とされている種族であり、そのため人前に姿を現すことはまずない。

この時の精霊は、緑帝(植物を操る緑属性の帝)の友達で、前にもらったお菓子の味が忘れられず買いに町まで来たが、お金を持っていなかった。

そのため、精霊の魔力で育つ精霊草を売ってお菓子を食べようと考えたらしい。

(ちなみに精霊草は帝が、偶に森奥深くで見つけることがあるという幻の薬草のため、金額は計り知れない。)


そもそも、緑帝のところを訪れればよいのでは?っと考える人が多いだろうが、この時精霊はお菓子のことで頭がいっぱいで緑帝に頼るということが思いついていなかった。


幻と言われている精霊が急に現れ、さらに精霊草というとんでもない物を売りに来てもリーリエはさほど驚かず対応した。

リーリエが精霊に驚かなかったのは、彼女が幼い頃に空にぷかぷか浮かんでいる精霊を見たことがあったからである。

(精霊草を持ってきたのが一般の人間であれば、驚きすぎてひっくり返っていたかもしれないが、持ってきたのが精霊だったため、あまり気にしないように努めていた。)


最後に闇帝が直接、買取依頼ををリーリエに頼んできたのは、精霊草を見てもひっくり返らず笑顔で対応したリーリエの噂を聞いて大丈夫だと判断したかららしい。


この背景には闇帝が買取を依頼しようとしたとき、ギルドマスターのダルトは奥様に怒られていてマスターの部屋の床に正座させられていた。というものがある。

そのため、ダルトではなくリーリエに頼みに来たらしい。

(ダルトが怒られていた理由は、禁酒と言われていたのギルドでこっそりと飲んでいるのがばれてしまったからである。)


っと、まぁこんな感じでいろんなことに臆することなく対応してきたリーリエが、なぜユキが出した薬草を見て固まっているかというと・・・


それは親友のアイリーから聞いていたユキのイメージとギルドに入ってきて受付前で待っていたユキの姿が原因である。


アイリーから聞いていたのは、初々しい新人であることと使い魔と仲が良いということ。

魔力量に関しては、ダルトから極秘にしておくよう命令されていた為、そこを省いた結果出来上がったのがこの印象だった。

そして受付前で待っていた姿は、使い魔と仲良くしている可愛らしい姿だった。


これらのことからリーリエの中のユキは「使い魔を連れた可愛くて初々しい新人美少女」となっていたため、次から次へと出てくるユキのイメージからは採取することができない貴重で珍しい薬草の数々に思考がストップしてしまったのであった。


少女と使い魔の子狼が不思議そうにこっちを見つめています。

・・・・・現実逃避しても状況は変わらないですよね。


こうなったら今回の薬草の買取、このリーリエが受けて立ちましょう!


(少し、おかしくなっているリーリエでした。)








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