12 不思議な少女
‐闇帝side‐
今日は久々にギルドマスターに用事があり、ギルドに来ていた。
ギルドマスターのダルトと話していると「バン!!」扉がいきなり開いた。
何事かと扉の方を見るといつもは落ち着いてるアイリーが慌てた様子で部屋に入ってきた。
「マスター!! 大変です。・・・し・たに・ゴホゴホ、来た・・・」
「一度呼吸を整えろ」
ダルトは息を切らして入ってきてそのまま説明をしようとしたアイリーに落ち着くように言った。
「ゴホ・・・ゴホ・・スーーーハァ。」
「っでどうした?何があったか言ってみろ」
アイリーの慌てた様子から大変なことがおきたと感じ取ったダルトがアイリーに何があったか尋ねた。
アイリーはダルトの言葉に、
「大変なんです。今登録に来た人がいるんですが、その人が魔力測定の水晶を消してしまったんです。」
「水晶を消した?」
「そうなんです。水晶から煙がでて、水晶が消えてしまったんです。」
アイリーの言葉を聞き、ダルトと俺はきっと同じことを思っただろう。
『あぁ、魔力量が多い人物が現れたんだ』っと。
しかし、今までに水晶にひびが入ったり溶けたりという事例はあるが、水晶が蒸発してしまう事例は今までにない。いったいどれ程の魔力量を持っているのか。
「報告ありがとう。とりあえず下に下りてその人物と会ってみないとな。100万をこす魔力を持つものに対する決まりもあるしな。」
「闇帝はどうする?」
ダルトはアイリーと共に部屋を出る前にこちらに声をかけた。
「俺も行こう。」
「珍しいな。いつものお前なら行かなそうだが。」
俺が行くと言ったことが珍しかったらしく、ダルトは少し驚いた顔をした。
「水晶を蒸発させる人物なら、帝に入る可能性があるし、面白そうだからな。」
「そうか。それじゃぁ行くか。待たせているようだしな。」
ダルトは、にぃっと笑いながら言った。
下に下りて魔力測定室に入ると、そこにはこの世に存在するとは思えない黒髪の絶世の美少女が使い魔を膝の上に乗せ座っていた。
俺たちが入ってくることが分かったのかこっちを向いていた。そして、ダルトが自己紹介すると彼女も自己紹介し、名前は「ゆき」というらしいことが分かった。
そのゆきに抱えられている使い魔を見てみると、ホワイトウルフかシルバーウルフの子と思われる子供だった。
ダルトがゆきに説明をしている間、おれはゆきと使い魔から目を離すことが出来なかった。
説明が終わり、改めてゆきが魔力を測定し直すと300万だった。
300万ほどの人物も存在するがその時水晶はひびが入り、バラバラに砕けただけで蒸発したりはしなかった。
ということは魔力量を抑えて測定したな。魔力量が多い人間で魔力量が周りにばれないよう魔力を抑えてあえて水晶で魔力を測定する者もいるが、それならなぜ最初からそうしなかったのだろうか。
加減の仕方を知らないのか?
でも今、魔法量を加減しているし・・・・。
それにしても本人は魔力量についてばれてないと思っているようだがアイリー以外の俺とダルトにはばれてるんだが。
ダルトを見るとダルトと目が合い、今のところはこのままにしておいて様子を見るようだ。
そして、ダルトと戦うことにも素直に了承した。
戦いなれているのかと思ったが、練習場に着くとあまり戦ったことがないから時間がほしいと言った。
時間がほしいと言うことからダルトとアイリーは上に上がり、俺がこの場に残ることにした。
上に上がらないのかと聞かれ、動くのがめんどくさいと言うと納得したのか、使い魔と練習を始めた。
使い魔と契約者同士で念話することが出来る者たちもいるが、ゆき達もそうらしい。
使い魔の表情とゆきの表情を見ていると会話しているとしか思えない。
練習でどんな魔法を練習するのかと思えば初級のウォーターボールと風のシールドだった。
魔法の種類は初級だが、呪文なしの上魔法の展開が早い。
これはよほど魔力になれているな。いったいどんな人物なんだろう。
そんなことを思っていると、時間がきたようでダルトが下りてきた。
さて、どんな結果になるかな。そして、ダルトはどう判断するだろうな。