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アンジェ視点

「ふふ、あー、いい気分!私のレオンハルトの周りをウロチョロする鬱陶しくて目障りなコゼットは消えたのね!」


 私はソファの上で思い切り伸びをした。

 最近のイライラの原因のコゼットがいなくなって本当に気分がいい。

 あの変なバグ女のせいでレオンハルトとの親密度が、なかなか上がらなかったのよね!


「喜んでもらえてよかったよ。レミーエさんがコゼット嬢誘拐の手引きをしたことはすぐに発覚するだろう。これでレミーエさんも王妃レースからはリタイヤだ。満足したかい」


 対面のソファに座るアルフレッドが私に微笑みかけた。


 アルフレッドにはコゼットのバグが影響していなくて良かった。

 アルフレッドは過去のトラウマを言い当てて慰めるイベントだけで親密度が簡単にあがったのよね。

 私のパラメーターの高さのせいかしら。

 ゲーム開始前までにダンスとかのパラ上げしたもんね。

 前世で何周もクリアした私にかかればパラ上げなんて簡単よ。


 私は満面の笑みをアルフレッドにむけた。


「コゼット誘拐の手引きをするなんて、すぐにバレるに決まっているのにね!レミーエがレオンハルトの妃になんてなれるわけないじゃない。そんな嘘を真にうけてバカみたい」


「そうだね。正統な王位継承者であり、高貴な血筋の君を差し置いておこがましいことだ」


「でも、本当に私たちのところまで捜索の手が及ぶことはないのよね?」


 主人公である私が捕まるとは思えないけど、念には念を入れなくちゃね。

 石橋を叩いて渡る慎重さが大切なのよ。


「レミーエは怪しい手紙を受け取って、コゼットを公爵家に連れて行った。その場からこちらの手の者がコゼットを連れ去ったが、レミーエはその者と会ってもいない。使用人達は『お嬢様の指示のもと』見てみないふりをしているから、大丈夫さ」


 公爵家に馬車が入っていったのを『偶然』目撃した者もいるしね、とアルフレッドがおどけるように続けた。


「全てレミーエが罪を被るってことね!あはは!すごいわ!」


 レミーエ自身は少しコゼットを懲らしめるつもりだっただけらしいから、こんな事になってさぞ慌てているでしょうね。

 でももう手遅れだわ。おバカさんだこと!



「これで後はじっくりレオンハルトを攻略していけばいいだけね」


 しかし、満足のため息を漏らす私に、アルフレッドは申し訳なさそうに首を振った。


「残念だが、このままでは基礎点が足りない。レミーエに一騎打ちで勝っていれば足りていたが、もう彼女は王妃レースには参加できないからね」


「えっ?!それじゃあどうするのよ!そうだわ!私は高貴な身分なのだから、それを明かせば基礎点は跳ね上がるでしょう!」


「それは難しいな。いま身分を明かしたら、入学時に身分を偽ったとしてレースから外されてしまうよ。それがゲームの『ルール』だからね」


 そうなのかしら?

 でも攻略済みのアルフレッドが私に嘘をつくとは思えないし……

 ゲームでも、レオンハルトとのエンディングの後に私の出自が明かされるものね。

 きっとゲームの仕様なのね。


「そうなの……でも、そうしたら私はレオンハルトと結婚できないじゃない。そんなの意味ないわ」


 私は悲しげに眉を寄せて、アルフレッドを上目遣いで見つめた。


「君が王位を継げばいいんだよ。そしてレオンハルトを伴侶に指名すればいい」


「私が?どういう意味?」


「君は正統な王位継承者だ。王位を簒奪した現王を打倒して、王位をその手に取り戻すだけさ。王になれば君の思いのまま。レオンハルトだって手に入る」


「そうか、そうよね!私は正統な王位を取り戻すために戦う悲劇の王女。その戦いの中でレオンハルトと恋に落ちるのよ。なんて素敵!」


 きっとこれは隠しシナリオなんだわ。

 だってすごくロマンチックですもの!

 敵対する二人は、戦いの中で禁断の恋に落ちるの。


「素晴らしいね。私は君の幸せのために協力するよ。共に現王を打倒しよう」


「ええ!もちろんよ!」


 アルフレッドは兵を集めて反乱を起こしてくれるらしい。

 か弱い私は旗頭になってくれればいいよ、と言われた。

 まるでジャンヌダルクみたい!

 私は主人公だから、全て上手くいくわ。


 ああ、レオンハルト、あなたはどうしてレオンハルトなの?


 なーんてね!







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