ボブANDリッキー
シグノーラ二号店では、その後定期的にダイエット商品や健康器具のデモンストレーションをする事に決定した。
ゲオルグを筆頭に、筋トレ仲間がローテーションでデモンストレーションをしてくれるそうだ。
報酬はバイト代がわりに最新器具をゆう通することを希望された。
紹介してもらったゲオルグの筋トレ仲間は細マッチョからムキムキ兄貴系までバリエーション豊かだった。
ていうかなんだ、筋トレ仲間って。
騎士団の団員はまだわかる。
しかし魚屋の兄ちゃんや大工の親方とはどうやって知り合ったんだ。
一応貴族の子息はずなのに、ゲオルグの交友関係が謎すぎる。
ついでにその仲間にボブじいさんを参加させてみた。
「おう、ボブさん!俺は大工のリッキーだ!よろしくな!」
「ハァイ!僕はボブだよ!ハジーメマーシテー」
「ハジーメマーシテー!はっはっはっ!ボブさんは面白いな!」
リッキーさんは超重量級大工さんだ。
二メートルはあろうかという長身と厚い胸板。
褐色の肌に白いタンクトップが眩しい。
本日は二人にトレーニングチューブのデモンストレーションをしてもらう予定だ。
用意したチューブは極太。
「こちらがトレーニングチューブになります。このチューブを使ってトレーニングするだけ!手軽で簡単!場所もとりません!」
「むぅ……これは、なかなか」
「ハハッ!こんなのかる〜いよ〜ビヨンビヨンしちゃうよ〜ハハッ」
「むう!」
侮るなかれ。日々庭仕事で鍛えたボブじいさんはかなりの怪力の持ち主だ。
「竹をへし折る作業に比べたらかる〜いかる〜い」
竹をへし折る……?
ボブじいさんは普段何をしているんだ。
何故竹をへし折る必要があるんだ。
「むうーん!むん!お嬢さん、もっと強いチューブはないのか!」
「え?あ、こちらに」
「ふんっはっはっはっ!こんなもの、レンガを叩き割る作業に比べれば軽いわ!」
「…………ハハッ?」
「お嬢様〜もっと太いやつあるかーい?」
「むん?!」
「ハハッ!?」
二人の視線がぶつかり合い、火花を散らす。
「むーーーーーん!!!!!むん!むん!むん!」
「ヒャッハーーー!!!!!!」
弾けとぶ汗!熱い血潮!
陽の光が降り注ぐ中、二人のオッサンの肉体が躍動する……!!
筋トレに夢中になるオッサン二人の周りにはオッサンの人だかりが出来ていた。
トレーニングチューブはそういう使い方をするものじゃないんだけど……
超高速でチューブをビヨンビヨンしている二人の勢いが凄すぎて口を挟む隙がない。
「みなさーん、トレーニングチューブでは、こうして折り重ねることで、負荷を変えていただけるんですね。それによって……」
「むうん!俺は三重重ねだ!」
「ハハッ!僕は四重だよ!」
「むーーーーーん!!!!!」
「ヒャッハーーー!!!!!」
…………トレーニングチューブの在庫は無くなった。
芳寛 さん 大正解。




