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「さあーーーやってまいりました、王太子殿下争奪!夢の令嬢勝ち抜き戦!本日は記念すべき第一回目の一騎打ち対決となります!今回の対戦者をご紹介しましょう!

 赤のコーナー!ピンクの髮が印象的!民間特別クラスより、アンジェ嬢ーー!!!対しまして青のコーナー!ビン底メガネがキラリと光る!王太子殿下ファンクラブ会長!エカテリーナ・チュートリアル嬢ーーー!!!」


 声が会場中に届くように設計された講堂内にサンディ先輩の大声が響きわたる。


「えっ!ちょっとまって!名字チュートリアルなの?!さすがに適当過ぎない?!」


「どうしました、解説のコゼットさん」


「いやだって、チュートリアル……」


 一騎打ち戦の司会進行を担当している2年生のサンディ先輩は、キュッとメガネを直して大きく頷く。


「そうなんです、チュートリアル家は爵位こそ子爵ですが、アルトリア国内でも有数の歴史をもつ貴族家なんですね〜」


「そうなの?!」


「もちろんでございます。ところで今回、平民特別クラスからの出場者ということで、アンジェ嬢に注目が集まっていますね。この勝負をどうみます?コゼットさん」


「えっ!えっと、そうですね……普段ランキングで競われるのは容姿、家柄、成績が主だと記憶しておりますが、今回のような一騎打ちだと何がポイントになってくるのか、それによって勝負の行方が左右されるんじやないでしょうか」


 サンディ先輩が大きく頷いた。頭、とれないかな、大丈夫かしら。


「さすがコゼットさん!入学当初から王太子殿下と親交があつく、孤高の貴公子レミアス様を虜にし、イノシシ男ゲオルグを配下におさめているダークホースなだけありますね!鋭い観察眼です!」


「え!?なに、私そんな感じ!?」


 誤解だ。殿下と親交があることは間違いないが、レミアスを虜にした覚えもゲオルグを配下におさめた覚えもない。

 ゲオルグがイノシシ男なことは否定しないが。


「もちろんです!それでは今回の一騎打ちで競われる項目についてご説明いたします!」


「サラッと流した?!でも、うん、項目は気になりますね」


「一騎打ち対決は通常のランキングとは異なった項目で審査されます!お2人にこちらの用意した条件でのパフォーマンスを行って頂き、戦っていだたきます!」


「そうなのね。すると、なにで競われるのかしら」


 サンディ先輩は大きく息を吸ってさらに声を張り上げた。


「今回ご用意しましたのは、グラグラ!ハイヒールでダンシング!貴方と私でフォーリンラブ!対決でごさいまーーーす!!」


「なんてセンスのない名前かしら……とりあえずハイヒールでダンスするの?」


「その通りです!ハイヒール対決ということで、ハイヒールの産みの親、シグノーラさんの全面協力のもと行われます!」


「シグノーラが?!いつの間に……」


 一騎打ち対決を見物しに講堂にやってきたらいきなり司会の席にあげられたのは、それが原因だろうか。

 せめて先に教えて欲しかった……


「シグノーラさんにご提供頂いたハイヒールを履いて、投票権をお持ちの審査員の方々とダンスを踊って頂きます!ハイヒールでいつもより不安定な足場でどれだけ優雅に美しく踊れるかが、この勝負のカギになって参ります!」


「そうですね、我が家が開発したハイヒールは滑り止め効果が優れているとはいえ、履き慣れていなければダンスを踊るのはなかなか難しいでしょう」


 先輩は我が意を得たりというように、ウンウン頷く。頷きっぱなしだな、この人。首大丈夫?


「出場者二人にはこの一週間、ハイヒールに慣れていだたくため練習してもらいました。果たしてその成果やいかに!!」


 これは二人とも是非頑張って頂きたい。

 優雅に踊って、我がシグノーラの販促を!!

 俄然やる気がわいてきた。



「それでは、審査員の方々のご紹介をさせて頂きます」


 司会席とは反対側のステージ上に審査員席が並んでいる。


「まずは我が国の王太子殿下!優しくも美しい、乙女の憧れ、レオンハルト・アルトリア様ーーー!!!せーの!私も統治して欲しい!はい!」

「「「私も統治して欲しい!!」」」


 なんて見事なコール アンド レスポンス!!

 一糸乱れぬガッツポーズつきだ。

 いつ練習したんだ。それともこれこそがゲーム補正なのか。

 殿下が顔を引きつらせながら軽く頷いた。



「お次は孤高の貴公子!その美貌で老若男女問わず虜にするレミアス・ドランジュ様ーーー!!!せーの!私は貴方の奴隷です!はい!」

「「「私は貴方の奴隷です!!」」」


 レミアスが困ったような顔をして頭をさげる。



「次はこの方!ゲオルグ・レイニード様!!猪突猛進!思い込んだら一直線!人の話は聞きません!はい!」

「「「少しは話を聞いてくれ!!」」」


「ちょっと待て!なんか俺だけおかしくねーか?!」


 ゲオルグが音を立てて立ち上がるが、サンディ先輩はサラッと無視した。


「はい、最後はこの方!我が学園の教師でもある若き侯爵!アルフレッド・グランシール様ーー!!!せーの!貴方と二人で個人授業!はい!」

「「「貴方と二人で個人授業!」」」


 アルフレッド先生が無表情で会釈した。

 まったく動じた様子がない。このノリは学園では当たり前なのだろうか。




 なんだか思ってた学園と違う……私が頭を抱えていると、講堂内の明かりが薄暗くなり、入り口にパッとスポットライトが当てられた。




「……それでは、出場者の入場です!!」




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― 新着の感想 ―
[一言] ランキングで家柄競わされても…そんな個人でどうしようもないことより成績を座学と実技に分けるなり、日頃の素行品行を競った方がいいのでは。
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