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閑話:俺たちのお姫様 ゲオルグ視点

 昔の俺のコゼットに対する印象はあまり良くなかった。

 コゼットは太っていて、いつもボーッとしている大人しいやつだった。


 というか、あのうるさいレミーエの後ろにいっつも隠れてるから、口を聞いたこともほとんどなかったから、興味もなかった。


 最初にちゃんと喋ったのは王太子殿下とシグノーラに行った時だ。

 本当は俺は行くつもりはなくて、殿下が行くというので渋々ついて行っただけだった。


 それまで女に関心がなかった殿下が急にコゼットのことを気にしだしたのでなにかと思ったが、後から聞いてみるとシグノーラのデザイナーで画期的な商品を次々と開発するコゼットに興味がわいたからだったそうだ。


 それだけにしては、やたら熱心だったような気がするけど……俺の知らないところでエーデルワイス伯爵からもコゼットの話を聞いていたみたいだから、それも理由のひとつだったのかもしれない。


 そんなこんなで俺たちはシグノーラにいったんだが、俺はコゼットのことを殿下をたぶらかす悪女だと思っていた。

 まあ、俺はその時、女全般が嫌いだったんだけど。


 仕方なしに出ていた茶会では、女どもはチャラチャラヒラヒラしてつまんない話ばっかりしているし、香水くさいし、殿下の周りをウロチョロしてて本当に邪魔だった。


 でもコゼットは違ったんだ。

 最初はそこらへんにいる女どもと変わらないと思ってたけど、あいつが作る健康グッズはどれも面白くて、体を鍛えるのがもっともっと楽しくなった。

 騎士団長である父上にも鍛錬の成果を褒められたし、コゼットに頼まれた“もにたー”をして、新しい健康グッズを試せるのも楽しかった。


 コゼットも一緒になって運動をしていたんだけど、これにも驚いた。

 だって普通、令嬢は運動なんかしないのだ。

 やっぱりコゼットはひと味ちがうな、と思った。


 そのせいか、コゼットはどんどん痩せて、どんどん綺麗になった。

 昔見た時よりずっと細くなって、でも引き締まっている健康的な体型で……

 俺はいつの間にか、コゼットといるとドキドキするようになった。

 なんでドキドキするのかわからなくて、コゼットに乱暴な態度をとったこともあったけど、コゼットは怒らなかった。

 何故かいつも微笑みながら俺の頭を撫でてきた。

 同い年のくせに母上みたいに子供扱いしてきてムカついたけど、コゼットだから許せた。


 殿下とレミアスと四人で遊ぶのはものすごく楽しかった。

 コゼットは誰も知らない遊びを次々に教えてくれて、毎回夢中になって遊んだ。


 ガリガリで不健康だったレミアスはみるみるうちに健康的になって、いつもつまらなそうな顔をしていた王太子殿下は見違えるように明るくなった。


 気がついたら、俺たちはみんなコゼットが大好きになっていた。

 一緒に遊びだしてから何年か経つ頃には、コゼットはますます綺麗になっていた。


 コゼットの母上は美人で有名だが、俺にはコゼットの方がずっと美人にみえた。

 その頃には茶会などがあると男どもがコゼットに声をかけようと様子を窺っている事がわかったので、俺たち三人で牽制した。

 俺たち以外の男は絶対に近づかせないように、全員で目を光らせていたのだ。


 コゼットは、俺たちの大切なお姫様だった。

 そしてそれは、もうすぐ学園入学を控えた今でもずっと変わらない。




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