閑話:うちのお嬢様 庭師視点
ハァイ!僕はエーデルワイス伯爵家に勤める庭師のボブ!
ピッチピチの五十八歳。
お嬢様からはボブじいさんと呼ばれているが、まだまだ現役だよ!
なにが現役かって?仕事に決まってるじゃないか!
ハハッ!
うちのお嬢様はまったく変わった方で、お嬢様なのに庭いじりが趣味なだけでなく、その発想も変わっているんだ。
まあ、庭いじりが趣味といっても、お嬢様はコロコロしてるから指示やアイデアをもらって実際は僕が作業することが多いんだけどね!
コロコロ転がっちゃうから仕方ないよね!
さっきも花の種を植えようとして転がっていたよ!
ハハッ可愛いね!
今日はまた新たなアイデアがあるそうで、僕は朝からワクワクしていたんだ!
「お嬢様!今日はどんな庭を作るんだい?!」
「今日はね、砂の庭を作るのよ!砂と石の庭よ!」
やる気に満ちたお嬢様は、僕が以前プレゼントした作業着を着ている。ピンクのツナギだ。可愛いだろう?
「ほほーう、砂と石の庭かい!それは面白いデースネー」
「ボブじいさん、また語尾がおかしいわよ。無理に敬語を使わなくていいって言っているじゃない」
「オーゥ、しつれーいしましーたねー」
そう、僕はこの国の出身じゃないから、言葉があまり上手くないみたいなんだ。
それで庭師の仕事がなかなか見つからなかったところを拾って下さったのが、エーデルワイス伯爵とお嬢様さ!
幼いお嬢様がこのおじさん面白いから雇ってあげて!と言ってくださったから僕はここにいられるんだ。
ハハッまったくお嬢様には頭があがらないよ!
「それで、砂と石の庭っていうのはどんな庭なんだい?また夢にみたのかな?」
「そうなの。夢では確か、カレサーンスイって言ってたわそこに、この前東の国から届いたモミジを植えるのよ」
お嬢様がデザイン画をみせてくれる。
うーん、相変わらず抽象的で難しいデザインだね!
でもこういうのは雰囲気が大切だからね!大丈夫さ!ハハッ!
「この砂は白かーい?石はその辺にある石でいいのかなーあ?」
「グレーか白の砂がいいわね〜石はとりあえずその辺にあるやつで代用して、徐々に集めていこうと思うの」
「わかったよ〜」
そのあと、お嬢様とカレサーンスイの庭作りを始めた。
「そうよーそこから線を沢山ひゅーーっと引いてね。あっ踏んだらダメよっ」
カレサーンスイは難しいね!
お嬢様も線を引くのを頑張ってるけど、お嬢様が転ぶと折角平らにならした砂がぐしゃぐしゃになるからやめて欲しいね!
結局、カレサーンスイが出来上がったのは、作り始めてから一週間も経った頃だった。
砂の上に線を描くのが難しかったね!
途中、お嬢様が棒を束ねたみたいな道具を発明してくれなかったら挫折してたところだよ!ハハッ!
「素晴らしいわね!これがワビサビね!」
「ワビサビってなーんですかーぁ」
「ワビサビは……なんかいい感じってことよ!」
「ふーーーん。そうデースカァー」
素晴らしいですかねー?僕には寂れた感じにしかみえなーいけどね!ハハッ!
まあ、お嬢様が喜ぶならいいよねっハハッ!




