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 商会設立で忙しかったために、お父様に例の話を聞くのがすっかり後回しになってしまっていた。

 商会のほうはあとは製品が仕上がってくるのを待っている段階なので、今度はこちらの問題を考えることにした。


 コンコン!


「お父様〜、入ってもよろしいでしょうか」


「コゼットかい、お入り」


 許可が出たのでお父様の書斎に入室した。


 お父様は書類仕事の合間のティータイムだったようで、お邪魔してもいいかと聞くとすぐに私の分の紅茶も用意させてくれた。


 私はソファに腰を落ち着けると、早速本題にはいった。


「お父様、実はこの間の王宮でのお茶会で王太子様とお話したのですが……」


 私はことのあらましをお父様に説明した。

 前世の記憶があるとはいえまだ子供の私には荷が勝ちすぎると思っていたので相談したかったのだが、お父様はすでに全てご存知だった。

 どうやら殿下からすでにお話しされていたようだ。


「その件については、我が家での茶会で起きたことがきっかけだから、私も調査を行っていたんだよ。そして殿下からも相談を受けていてね。しかし殿下がコゼットに謝らなければならないと気にしていたから、あの場を設けて頂いたんだ」


 殿下がお前にここまで話されるとは思わなかったけどね、とお父様は苦笑いした。


 お父様は私を巻き込みたくなかったそうだ。

 同い年のコゼットと話して気が緩んだのかもしれないね、とお父様は優しく笑った。


「それで、いまアンジェ嬢はお父様のお知り合いの男爵家にいらっしゃるとか……」


 アンジェの話になるとお父様は眉根を寄せて憂鬱そうにため息をついた。


「うん……ボウイ男爵家に預かってもらってるんだけどね……コゼットもボウイ男爵家には行ったことがあったかな」


「ええと、うんと小さい時にお父様と伺ったことがあったような気がしますわ」


「男爵は僕の学園時代の友人なんだがね、それでお願いしたんたが……あのアンジェ嬢にはほとほと手を焼いているみたいで……」


 お父様がはああ、と特大のため息をつく。


「最近、男爵は狩りで足を痛めて療養しているんだが、それで家人が慌ただしくしているときに、ちょくちょく抜け出すんだよ……しかも本人は王家の血筋が流れていることを知っているからか、自分は主人公なのよ!とか訳のわからないことを言っていて、周りの止める声も振り切って出かけていくみたいで。丁重に扱わないといけないだけに監禁するわけにもいかないし……」


「それで、王宮に顔を出していると噂になってましたのね……」


「王宮に?!それはマズイ……彼女を害したいものだっているだろうに、本人は自分が危険な立場にいるということがわかっていないのだろうか。何故か毎回王太子殿下に連れられて帰ってきているらしいが、そういうことだったのか」


 しかしどうやって王宮に侵入しているんだろうか。ていうか侵入スキルが高すぎやしないか。


 そこで私はふとゲームのことを思い出した。

 あー、確か、ゲーム内のミニゲームで、王宮内探索みたいなのあったよねー……休日に王宮内を探索できて、正解のルートを選ぶと攻略対象者と会えるとかいう。

 攻略対象の部屋に直接行けるんだよね。

 いま考えると超怖い。突然自分の部屋に人が侵入してきてこんにちは!とかいわれて、


「よく来たな、休日も君に会えるなんて……(笑顔キラリ)」

 って返せるとか鋼メンタル過ぎる。


 恐らくアンジェはその抜け道を使って殿下の部屋に侵入しているのだろう。これはお父様に言ったほうがいいのかな。でもこの話をすると、なんでそんなこと知ってるの?ってなるからなぁ……

 でもそんな簡単に王宮にはいれちゃうのも危ないわね……


「でも、どうやって王宮に入り込んでいるのでしょう?なにかあったらよくないので、調べてみたほうがいいかも知れませんね」


「そうだね、コゼットの言うとおりだ。急いで調査することにしよう。でも彼女のことは僕に任せて、コゼットは自分のやりたいことをしていいんだからね」


 なんて優しいお父様。

 商会とかダイエットとか忙しいからありがたい。


 アンジェとは学園に入学したら必然的に会うことになるだろうし。いま私に出来ることはあんまりないだろうな。

 それに学園にはいったら狙われづらくなるだろう。

 王宮の件もあるから学園の警備は今度こそ万全にするはずだ。


 アンジェのことはなにかと不安だが、もうお父様にお任せしよう。

 私は胸の中のもやもやと一緒にお茶を飲み干した。






加筆訂正致しました。

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