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「パッパラーーーー!ハイヒールゥーーーー」

(某国民的アニメ風に)


「続きまして!バランスシューズゥーーーー」


 わぁーぱちぱちぱち。

 靴職人のエドとシシィから拍手が沸き起こる。

 特にシシィの目が若干冷たい気がしないでもないが、ドラ絵門を知らないのだから仕方がない。

 反対に、自慢の作品を華麗に披露されたエドのほうは誇らしげな表情だ。



 エドとの綿密な打ち合わせを経て作られたシューズブランド、その名も“シグノーラ”の新作である。

 イタリア語のセニョーラを文字って名付けてみた。

 この新作には靴底とインナーに型押しでシグノーラの刻印が為されている。


 何故かというと、昨今のスリッパブームをうけて色々な靴職人や服飾店がスリッパの模造品を販売したが、ゴムの製法を我がエーデルワイス家が独占しているため、模造スリッパによる転倒事故が相次いだのだ。

 商品に刻印を施し、ブランド化することによって模造品と見分けがつくようにしている。


 さて、まずはハイヒール。

 前世のハイヒールを参考に、靴のかかと部分を高く作っている。しかしハイヒールに不慣れなこちらの世界の貴婦人たちが転倒するといけないので、まずは4センチくらいの高さにしてある。これだとハイではなくミドルヒールって感じだろうか。


 ヒールにはなるべく軽くて丈夫な木を使い、重さを軽減するために中をくり抜いている。

 自慢の体重を活かした耐久テストを何度も繰り返したため、折れる心配はない。

 ヒールの先端、靴底の部分にはゴムシートを貼り付けているためグリップ力もバッチリ。

 激しいダンスでクイックなターンだってお手の物だ。


 カラーは人気の赤、緑、青をご用意!

 光沢のある絹地に金糸銀糸で刺繍を施し、スワロフス○ー(風の)クリスタルを縫い付けていてファッション性バツグン!

 今夜の夜会は殿方の視線を独り占め!


 …………ハッ!

 途中からテレビショッピング風の紹介になってしまった。

 しかも心の声がダダ漏れだったようで、シシィの視線が冷たいを通り越して宇宙人を見る目になっている。

 エドは感動と尊敬が入り混じった表情だ。心なしか息が荒い。


「ゴホン!まぁ、そんな感じの靴なのよ。これをお母様に履いていただいて、流行らせてもらいましょう」


「かしこまりました。後ほど奥様にお届けしてまいりますね」


「それより、そちらのバランスシューズ?のほうが気になるのですが……どうして靴底がデコボコしてるんですか?とても歩きにくそうです」


「フッフッフッ……良いところに気づいたわね、ワトソンくん!」


「誰でも気づくと思います。ていうかワトソンて誰ですか」


「この靴はね〜……履いてみればわかるわ!さぁどうぞ!」


 ワトソン……とつぶやくシシィに靴を履かせた。


「えっきゃっグラグラします!まっすぐに立つだけでも足がプルプルして、すごく疲れます〜」


「そう!それが狙いなのよ!この靴は、わざとバランスを取りづらくしているの。そのせいで、普通に立ったり歩いたりするだけで、足のシェイプアップや美脚効果が期待できるのよ!」


 ドヤァ……私コゼット、渾身のドヤ顔でクルリとターンを決めて見せた。底についたボールのおかげで回転動作はしやすい。

 コマの要領だ。

 お肉による遠心力で予定より多めに回っております。


 回転が止まったところでビシイイッと天に向かって指を指してみせたが、シシィはヘッピリ腰で部屋の角に向かって進んでいた。エドが相変わらずキラキラした目で私を見つめて拍手していたのでヨシとする。


「この靴でランニングすれば、ダイエット効果バツグンよ!憧れのスリムライフ待ったなし!!!ってきゃあああ」


 ドーーーーンドカーーーーーー


 バランスを崩したシシィが突っ込んできて、二人揃って盛大にこけた。



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