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第3章19

「これ、美味いなー!」


もしゃもしゃもしゃもしゃ


私達は屋台で購入したサンドイッチを食べながら、広場で道行く人々を眺めていた。

噴水のある広場は春の花が咲き始め、暖かな日差しがとても心地いい。

食べ物の屋台がいくつかあるが、手近な屋台に売っていたジューシーなお肉の挟まれた豪快なサンドイッチは大当たりだった。


ひとくち噛むたびに弾ける脂、ほとばしる肉汁! 新鮮なレタスの食感も心地よく、あと口をサッパリさせてくれる。


うーむ、美味しいお肉だ。

しかし惜しいのは味付けが塩コショウのみだということだ。

素材の味が活かされているといえばいいように聞こえるが、つまり素材の味しかしないという事である。


「ええ、確かに美味しいわ……しかし!」


「しかし……?!」


ゲオルグはゴクリと肉を飲み込むと、真剣な顔付きで懐から次の肉サンドイッチを取り出すと食べ始めた。


「味付けがシンプル過ぎるわ!この素材をさらに活かすためには……!」


私は懐からマヨネーズを取り出した。


今朝方、宿の厨房を借りて作っておいた逸品である。

最近作るようになったマヨネーズは、旅の間の私たちの心の拠り所だったと言っても過言ではない。

きっかけはアンジェがマヨネーズ食べたい!と言い出した事だったが、本当に作って良かった。我が家の料理長に渡したらどんな反応をするか、今から楽しみだ。


「ここに取り出したるは、マヨネーズ!」


「マヨネーズ……?」


三つ目の肉サンドを頬張りながら、ゲオルグはマヨネーズをキョトンと見詰めている。レミーエ様も同様だ。一方、すでにマヨネーズに慣れ親しんでいるジュリア様達は、瞳をキラキラさせて黄色く輝く瓶詰めを見ていた。

私は瓶詰めを開けると、おもむろにゲオルグの肉サンドにたっぷりとマヨネーズを塗りたくった。


「こうやってつけて〜……」


「う、うまいっ…………!」


未知の調味料に臆する事もなく、ゲオルグは一気にかぶりつき、驚愕に目を見開いた。


そうだろう、そうだろう。

大人になるにつれカロリーが気になって食べなくなるマヨネーズだが、その至高の味は私達を魅了してやまない。

しかしカロリーが高くないマヨネーズなんてマヨネーズじゃない。

美味しいものは、たいてい身体に悪いのだ……

だが…………そこがいい!


案の定、マヨネーズをあしらったニュー・肉サンドを貪り食べるゲオルグは、既にマヨネーズの虜になっていた。


「何て事だ……この世にこんなに美味しいものがあったなんて……」


私は厳かにマヨネーズを高く掲げ、ゲオルグにそれを手渡した。


「これの名は、マヨネーズ!パンによし、米によし、肉によし!至高の調味料である!」


「素晴らしい!」


「なんという発明だ……!天才か!」


てへ。

ちょっと調子にのってしまった。


ノリノリ過ぎたのを少し照れて声の方に顔を向けると、ゲオルグはおろか、エリオットさんもマヨネーズを羨望の眼差しで見つめていた。


……なんかこの二人、マヨネーズ似合うな。


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