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第3章10

「飴細工か〜美味しいわね」


 メディウスで購入した飴細工は、様々な形で出来ていて見た目にも鮮やかだ。

 日本のお祭りでもよく見かけたが、蝶や花の形が多く、当然ながら鶴とかは無かった。

 私は大量に購入した飴細工をみんなで食べながら、再びルメリカに向かう馬車の中にいる。

 ジュリア様にアンジェを引き合わせる時はドキドキした。しかし意外に男らしい性格の彼女はサクッとアンジェの謝罪を受け入れてくれた。

 曰く、自分には特に被害とか無かったので謝る必要もない、だそうだ。


「美味しいですね。お祭りを思い出します」


 お花の飴細工をペロペロと舐めながら、アンジェが言う。


「そうね〜メディウスのお祭りではもっと沢山の種類が売られるそうよ。しかし、いくらいい馬車でもこう長時間のるとお尻が痛いわね……」


 侯爵家所有のこの馬車はかなりい造りだし、クッションも沢山積み上げているがこの揺れは地味にキツい。

 お尻が四角くなってしまいそうだ。


「私もこんなに長時間馬車で移動するのは初めてですわ。お尻、痛いですわね」


 ジュリア様もお尻をさすさすしている。

 アンジェはメディウスからの合流なのでまだ大丈夫そうだが、飴細工を舐めながらポツリと呟いた。


「サスペンションとか、あればいいのに……」


 その言葉に私とジュリア様はきょとんと目を丸くした。


「「さすぺんしょん??」」


「え、サスペンションがあったら振動が楽になるじゃないですか」


 アンジェが、ていうか知ってますよね?という顔で私を見る。見るが……

 アンジェには私が前世の記憶があると伝えてある。私が開発した商品などでバレていると思うし、特に隠す必要も無かったからだ。

 だが周りにはあまり知られたくはないので秘密にしてもらうようにお願いしたが……


 それはいいとして、サスペンション……なんだっけ。


「さ、さすぺんしょんね。サスペンション。……ってなんだったかしら」


 アンジェにじとっとした目で見られたが、思い出せないんだから仕方がない。


「車とかの……いえ、うんと。車輪と車体の間にばねをいれる事で、地面からの衝撃をやわらげられないかと思って」


「まあ!」


「なんて素晴らしいアイディアなんでしょう!本当にばねで振動がやわらげられるの?」


「天才ですか……」


 アンジェの言葉に、ドーラやジュリア様、シシィが感嘆の声を漏らした。

 私?私は必死で前世の記憶を探っております。


 旦那がそんな事を呟いていた気がするけれど、なんとなく車関係だったなーくらいで全く思い出せませんがなにか。


「サスペンション……アンジェ、あなた詳しいの?作れる?」


「以前そういうゲームにはまったことがあって。作れるかどうかはわかりませんが……構造くらいはなんとなくわかります」


 私の問いかけに、アンジェは宙を見つめて考えつつ答えた。

 以前というのは前世の事だろう。

 メディウスで二人で話した時にわかったことだが、アンジェは前世でかなりのオタクだったようだ。

 私がサスペンションに思いを馳せていると、隣でシシィがキラリと目を光らせた。


「……作りましょう!」


「え?流石にそんなにパパッと作れるものでは……」


「ルメリカに滞在中に作ればよろしいのです。ルメリカにはひと月は滞在する予定ですし、そこで完成しなかったとしても絶対に作るべきです。私も全力でサポート致します」


「シ、シシィさん……」


 シシィの勢いがすごい。

 アンジェの手を両手で握り、鼻息荒く詰め寄っている。


「シシィ、あなたそんなに……お尻が痛かったのね」


「そうだったんですか……可哀想に」


「シシィ、クッションもうひとつ使う?」


「違っくはないですけど!これは世紀の大発明です!シグノーラ商会で売り出すべきです!」


 シシィはクッションを受け取りつつも叫び声を上げた。




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