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第3章4

 私達が泊まる予定の『銀狐の尻尾亭』はかなり立派な宿だった。レミアスが手配してくれたのだが、金、銀、銅と三段階に分けられる宿のランクの中でも金に近い銀の宿と言えるだろう。


 アルトリア国内のほとんどの宿、そしてルメリカの一部の宿はそれぞれ宿名に金、銀、銅の名前が付いている。

 これは宿の格付けになっていて、銅から金に向けて宿のランクが上がっていく。


『金』が名前に入っている宿は王国内でも大きな街にしかなく、メディウスにも『金』の名が付く宿は一軒だけである。今回の旅行は侯爵家のご令嬢であるジュリア様がいらっしゃることだし『金』の宿にしようと思ったのだが、レミアスがこの宿を推したのだ。


 しかし、流石レミアスである。

 出迎えに出てきてくれた上品な女主人といい、使用人達は皆丁寧だし、置かれている調度や造りも素晴らしい。

『銀』の宿とは思えないほどの上質な宿だ。


 清潔で上品な制服を着た、柔らかい物腰のメイドに部屋へ案内された私は、すぐに続きの間へシシィの様子を見に行った。

 少し疲れていそうだったので、先に宿に向かって休んでいてもらったのだが、ゆっくりできただろうか。



「シシィ、ただいま〜。調子はどう?」


「お嬢様、お帰りなさいませ。調子は大丈夫ですわ。もともと具合が悪かった訳ではありませんし」


 問いかける私に、椅子から立ち上がったシシィが苦笑を交えて答えた。


 良かった、顔色が良くなってる。


 私はそっと息を吐いた。

 最近忙しかったせいで、だいぶシシィに無理をさせてしまっていた。


 今回の旅行では、アルトリアから出たことのないシシィの慰労もかねているのに、その為に疲れさせていては本末転倒だ。


「座っていていいのよ。落ち着いたら夕食を食べに行きましょう。ここの宿はお食事も美味しいらしいの。楽しみね!」


「お嬢様……私などに気を遣われなくていいのですよ。お茶をお淹れ致しますわ」


 私の横をすり抜け、お茶を淹れに行こうとするシシィを押し留めようとしていると、部屋の扉がノックされた。


「あら?誰かしら。ジュリア様かしら?」


「私が出ますわ。お嬢様は座っていて下さいまし」


 無理やり肩を押さえられ、私はソファに沈み込んだ。


 むむ。

 流石シシィさん。手強いのう。


 しかし、このソファもいいわ〜〜。

 馬車に揺られてカッチカチのお尻をふんわり包み込む柔らかさ。


 私がソファを堪能していると、シシィが困惑した顔付きで戻ってきた。


「お嬢様……」


「シシィ?どうしたの?」


 シシィの表情に戸惑いを覚えて問いかけた私は、次の瞬間、衝撃に耳を疑った。



「……アンジェ様が、いらしておいでです」



いつもご愛読頂きありがとうございます。

レミーエ様スピンオフと一部重複する説明がありますが、本編のみお読みいただいている方もいらっしゃると思いますので書かせて頂きました。

スピンオフもあわせてお読み下さっている方には、またか!と思われる部分もあるかと思いますが、ご了承下さいませ。



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