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今回ちょっと書き方を変えたのを、入れてみました。

普段と違うと、難しいですね。

※11月9日の19時に加筆してます。

更新した後で、見直したらなんか腑に落ちなくて、すいません。

[夜魔族]

《種族部類》

[魔神][神][支配主][魔族][魔人][妖魔][魅力][吸生][人][獣][精霊]


《種族説明》

夜魔族で思い浮かべるのは、真夜中に絶世の美男美女の姿で現れて、異性と不貞の行為をし精を絞り尽くす人形の魔物[インキュバス][サキュバス]だろう。

けれど実際は、エルフ等と同じで美男美女の長命種であり、基本的には洞窟に独自のコミュニティを造り生活をしている。

種族の気性は2面性が有り、普段は穏やかで種族差別をせず社交的であるが、狩りや戦争時には敵に容赦なんて言葉が存在せず、全てを叩いて潰す凶暴な側面も持つ。

その為、御伽噺の中には神や魔神として書かれている事もある。

長年洞窟内で暮らしている為、肌は白く日光に長い間当たってしまうと火傷をしてしまい、洞窟外に出る時は全身を長めローブで覆い、夜や曇りの時間を狙って狩り等を行う。

その為、日の光がある場所では、全力を発揮できない。

平均10才~30才までは、人と同じ様に加齢するがその期間中に精通・生理が来てしまうと、その年齢で成長は止まる。

寿命は約1000才と言われているが、過去の戦争時にて率先して戦った為、今生き残っている者でも300才を超えていない。これは他の長命種でも同じである。

早い段階で止まってしまった場合は魔力が増幅し、遅いと逆に身体が強化される。

14~16才で成長が止まった者は、魔力と身体・・・つまりは全ステータスが驚異的に伸びる可能性を秘めいてる為[血より濃き王の血統]呼ばれる。

その名の通り、男性女性に拘らず次期王候補に選ばれ王の息子・娘と認定される。

王の血筋よりも、一族の血統を重んじる。

これは、狩りにしろ戦争にしろ、王がイの一番で前線に突撃強襲し、大打撃を与える役目を持っているからである。

王は武勇に優れ民を率いる器であるべしと、基本的に王は矛で有り盾でもあるという考えの伝統と掟が有り、それを守って暮らしている。

1年に4度季節の移り変わりに、王を決める何でも有りの武闘大会が開催され、部族全員が出場する。

この大会はトーナメント方式で、[血より濃き王の血統]に選ばれた者と王はシード枠で出場し、約7~20日間行なわれる。

約7~20日間と言うのは、どの試合もなかなか決着がつかず、1試合で24時間以上戦闘しっぱなしなんてざらにあるからだ。

試合が終わっても、間を置かず次の試合なんてよくある、ただし決勝戦に限り両者は最低5時間休息を取る事が義務付けられる。



※18才以上閲覧可能種族説明~の時間だぜぇ♪


基本的にルールが大雑把で、対立したら殴り合いで決める。

その為、種族的に口で解らないなら手が出る傾向だ。

大体いざこざは武力で黙らせる、戦闘脳筋である。

思慮深さは有るのだが・・・最終的にに面倒になり殴って終わらす。

魔法も罠も格闘も戦術に戦略も使う、タチが悪い戦闘馬鹿である。

だいたいさぁ~・・・この種族多夫多妻なんで、近親相姦者ばっかなんだよねぇ。

そりゃ顔の面が平均化して、美男美女になるさ。

しかも普段は王と農夫がガチの喧嘩して、王が負けるとか割とあるんだよ・・・フリーダム過ぎて頭が痛い種族ナンバーワンですよ?

まぁ・・・部族内は遺伝子的に、全員が血が繋がってるわけで、兄弟喧嘩や親子喧嘩程度にしか思われていないの。

何と言うかうん、あれだ。

バリバリ仕事できるけど、家じゃ邪魔者扱いされ掃除機の先でつつかれるお父さんですね。

違う?この表現は違うかな。

でも大体あってるんだぜ?

王でも男達は女性に普段頭が上がらず、嫁達に肉狩って来いと家追い出されるんだぜ?

音だけ聞くと、休日のお父さんまんまだね。

種族部類にある[魔神][魔族][魔人]は、馬鹿げた魔力と身体能力が有るからだし、街に出た田舎者丸出しの夜魔族の若者達がやらかした所為で[妖魔][魅力][吸生][人][獣][精霊]なんて言われて分類に分けられちゃうわけですよ。

[人]は・・・年中発情期だからじゃないの?

見た目とスタイルが良いので、男も女も入れ食い放題であたり構わず食い荒らした結果です。

[支配主]?そりゃ夜のお相手を支配して、お盛んだったんでしょうよ。

そりゃ相手も干からびるわ。

シュニ~ン、この裏説明書くのだるいっす。

だってさ~NPCや大雑把なストーリーって、全部高性能な生体AI任せじゃないですか。

NPC成長して人とほぼ同じですし、最近だってNPCと籍入れた人間が増えてるじゃないですかぁ。

何が言いたいかって?

先に種族分類だけぶち込んで、後勝手に成長してくださいってやったわけでしょ?

こいつらも被害者じゃないですかぁ。

もう、うちら運営も手出せなくなるまで成長しきっちまって、こいつら弄ったらワールド一帯バグだらけになりかねませんよ?

NPCから抗議のメールは有るし、修正に関するものはあっち側からロック掛かっちまってますもん。

簡潔に言え?

運営はイベントの手伝い程度で、後はお任せしましょって話ですよ。

他の種族の担当もストーリー担当も、泣いてましたよ?

運営が思い描いた当初のストーリーなんざ、殆ど潰されてるでしょ。

好き勝手動くNPCの集団に、それより酷いPC集団。

ルールと言う囲いが合っても、その中で斜め上動いて、ルールの穴を突いて脱獄してるような奴らですよ?

無理ですよ~。

全部そこで楽しんでる連中に、やって貰いましょうよ?

そして俺に有給休暇を寄越しやがりませクソシュニン!!

こちとら2ヶ月家に帰って無いんじゃぼげぇ!!

家に居ないのに、なんで家賃払わなきゃいけないんだよちくしょう・・・

国がやってんのに、ブラック過ぎだろ!?

有給寄越せ!

休みを寄越せ!!

1日・・・いや半日で良いんですよぉ。

・・・主任だって新婚でしょ?

・・・・・・俺が悪かった!けど血涙流すなら、上に掛け合ってくださいよぉ。

・・・せめて現実時間で睡眠5時間に、夜食は奢りで出前頼むように掛け合ってくださいよぉ。

もうカップ麺とかコンビニ飯を見るだけで、吐き気がするんですよぉ。





相も変らず、本当に巫山戯た説明文だよ・・・

最終的に愚痴じゃねぇか。

途中で読むの止めようかと思ったよ?

まったく本気か冗談か解らないけど、妙に生々しくて引くわぁ・・・

運営の連中も壊れてきてる様子だし・・・

昔はもうちょい、マイルドで笑いを取りにくる感じだったんだけどなぁ。

種族説明の3分の2程度しか、説明になってないし。

しかも、淫魔認定されてるのは運営の不始末か?

それとも、この世界的には祖先の不始末か?

やってられないですね。


要約すると、長命種で、若作りで、気性は穏和と凶暴な2面性がある。

んで、日の光が当たる所ではステータスが減少するで良いのかな?

それとも、日の光が当たら無い場所だとボーナスが付くのかな?

後は、精豪って事でOK?

最後のは嫌な字面だね・・・

男ならともかく、わたしゃ女だし・・・

これ世界的にそう思われてるのかな・・・

人目に出るのが怖くなって来たよ。

ストレスになりそうな物は、生ゴミに出して収集車を見送れば、これで私だけはハッピーだ。

折角の夜間ボーナスだし、森の中の散策しますかね。

ちと、ストレスが溜まり気味みたいなので発散します。




「ある~日♪森の中~♪くまさんにぃ~であぁたぁ~♪」


今私、追いかけっこ中なの~。

根っこの付いた巨木が、私に飛んでくるの。

すっごい威嚇され、吠えまくられてるの。

クマさん5m位有るけど、すっごいすばしっこいの。

けど私は今、あなたの後ろに居るの!

はい、私が追いかけてます。


散策してたらさぁ、なんか動物の悲鳴が聞こえたので、そちらの方にそ~っと近づいてみたんですよ。

茂みの隙間から、一本角の馬っぽい物の頭が見えたんで「ユニコーンですか?乙女の乗り物には丁度良いですね!女子力アップなのですよぉ♥」と思ってさぁ。

襲われてるみたいだから、ここは助けて[飼育獣化(テイム)]しようとして、突撃したんです。

そしたら大きなクマさんが食事中でした。

助けようとした推定ユニコーンらしき物は、頭だけだったんです。

凹む~。

しかも、よくよく見てみると馬じゃなくて、一本角の鹿でした・・・

更に凹むの・・・。

突然出てきた私に驚いたみたいで、肉片を死守するかの様に両足で立って威嚇し始めたんですよ。

でも、このクマさん・・・馬鹿でかいけど、どことなく愛嬌のある顔でして・・・

何と言うかぁ、口から血が滴ってるんですけど、全体的に可愛いのですよ。

まるまる太ってて、野生というか凶暴な厳つい顔じゃなく、くりくりっとした眼で。

毛は赤茶で、背骨から頭に掛けてモヒカンみたいになってるんですよ?コイツ。

おデブちゃんが無理して、昔のヤンキーのカッコしてる!

それも愛らしい顔の熊が!!

ついつい、お腹に体当たりの様に飛びついてモフってしまいました。

全力で押し倒して、モフリ倒します。

状況が解らず、目を白黒させてて反応の可愛いコイツが欲しくなってしまいました。

毛質は思ったより剛毛ではなくて、ふわっふわなのですよ!

ふわっふわぁ~♪

撫で心地が良いよぉ・・・ここか?ここが良いのか?

クマさんはめちゃくちゃに手を振り回すのですが、接近戦が得意な私には効きませんよぉ?

懐に入ってる私に、体がでかい所為で腕振り回しても、ちょいと私が肘や手先で逸らしてやれば当たらないのです。

おっと、噛み付きですか?

カウンターで、お鼻に軽く猫パンチ。

コイツ上手いなぁ~。

怯んだのは確かですけど。

顔を背けると同時に体を捻り、私に覆い被さって来ましたよ。

伸し掛かりですか。

重いけど、ふわふわな毛皮とたっぷたぷのお肉に、確かに感じる生物の温度と鼓動。

やばい・・・

泣きそう~生きてるマトモな動物と戯れてるよわたしぃ~♥♥

愛してるぅ~♪

ギュッと、力一杯抱きしめたら・・・

鈍い骨の軋む音と、変な呻き声を上げるクマさん。

あれ?

あ~・・・力加減間違えた?

動かなくなってしまったんで、慌てて這い出てイベントリからモンスター・動物専用回復アイテム[注射器タイプ・元気になるんデス]をぶすっと注入!

そしたら「クォッフ~ン!?」って奇妙な鳴き声上げながら飛び起きて、二足歩行のアスリート走りで、一目散に逃げやがったのですよ。

元気じゃん。

クマって二足歩行で走れたっけ?

それからずっと、追いかけっこしてるんですよねぇ。

持久力有るんですよコイツ、見た目の割には早いし。

もう3時間は、走り回ってるんですけど。

そろそろ限界っぽいですね。

だらしなく開いた口からは泡ぶくの様な涎が垂れてますし、全身の毛が妙に艶がでてるなぁ~と思ってよく見たら大量の汗で湿っぽくなってるみたいです。

さぁ~おとなしく、私の物になりなさい!


今クマさんは、息も絶え絶えでずりずりと這う様に、私から遠ざかろうとしています。

そんな怖がらなくてもいいのにぃ・・・

ちょっとショック。

大丈夫ですよぉ~。

怖くないですよぉ~。

と言いながらゆっくりとした歩みで、徐々に近づいていきます。

たぶん私、すっごい悪い顔していますね。

口がニマニマと笑みを作ってるのが解りますもの。

気づけば、私は両手を広げ、指がわきわきと動いていますねぇ。

でも止められませんねぇ♪

私の目と、クマさんの目が合います。

あっ・・・諦めた。

もうどうにでもなれといった感じで、仰向けに倒れぜぇぜぇ言ってますね。

じゃぁ・・・早速[飼育獣化(テイム)]させて頂きますよぉ~♪


頭を掴み、スキルを使用すれば[飼育獣化(テイム)]完了です!

脳に直接、私との交信(パス)を繋ぐので、飼育獣化する時は頭を触らないといけないんですよ。

それに弱ってないと、抵抗されスキルが弾かれるんです。

[飼育獣化(テイム)]自体が、元々弱いスキルなので、弱らせないと成功率ががくんと下がるんですよ。

まぁ、あれだけ弱らせれば、楽勝です。

スライムとかはどうするんだ?

あれは、核が有るのでそちらに直接やるんですよ。


コイツを、まだ[分析アナライズ]していませんねぇ。

あなたのお名前なんて~の?

[イーティング・スリーピング・プー(亜種)]

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

こいつの巨体は、名前の通り食っちゃ寝てでできてんのかい!?

ほほぅ・・・良いご身分ですなぁ。

・・・まぁ、あんだけ走らせたから今日は、大目に見るけどさ。

そうねぇ~。

あんたの名前はこれから、プー太郎だ。

よろしくねぇ~プー太郎!

弱々しい鳴き声で、答えるプー太郎。

お腹に飛び乗り、寝っ転がる私。

後で、首輪作ってやらないといけませんし、蚤や虱取りで全身洗わないといけないかな?

予防接種もせにゃあかんし、全身の毛をちょっとカットしてあげないといけませんし、大変だなぁ♪


モンスターの名前に、亜種が付いてるのが希に居ますけど、基本的には通常種の方が強いんですよ。

でも例外的に、生存競争を生き残った個体は通常種より強くなる傾向がありますね。

モンスターにも、経験値が入るんですよ。

プレイヤーみたいに、転生はできないんですけど。

その代わりに、上位の存在に変化する事があります。

これを[上位種進化クラスアップ]と言い、レベルがカンストするが最低条件で、今までの行動で変化する個体としない個体が有り、どうなってるのか解りません。

なんで?と解析組に問うてみた。

解析組からは、「上位にあがる器が無かったんだろうさ」とナゲヤリ気味に言われましたけど。

まぁ、納得できるけど・・・

ただ、亜種の方が上位に上がれる確率は高いみたい。

生まれた時点では通常種より亜種の方が弱いので、力への執着が強いなんて言う人も居ましたね。

プー太郎は・・・どうなんだろう?

食っちゃ寝してる奴が、強くなるんだろうか?

まぁ、そん時に解るだろうから良いけどさ。

気長に育てるかね。


ん?

どったのプー太郎?

急に、上半身起こしてそわそわし始めんですよ。

やたらと、キョロキョロしながら匂い嗅いでるんです。

プー太郎のお腹から降りて、索敵をしてみたんですけど。

私の感知系スキルは、特に以上ないんですけどねぇ・・・

気の所為だと思うんですけど、プー太郎が落ち着かないですし、そこそこ走り回ったので簡易拠点に戻りま


ぞっぐわぁぁぁぁ


プー太郎の首根っこ掴んで、前方にスキル[縮地しゅくち]で前方に全力で飛ぶ。

強烈な寒気さむけ、冬の猛吹雪よりも強い寒気かんきをひと冬分纏めて背に浴びた様な、凶悪な殺気。

プー太郎と言う重りが有ったが、全力の[縮地しゅくち]で移動したにも関わらず、インバネスコート裂いた速度・・・

やばいかも・・・

また、このパターンか・・・

まぁ、猪の時よりは使える手札が多いのは間違いないが。

私の索敵に引っかかりづらい、気配を隠すのはあっちの方が上!

瞬間的な速度もあっちが上・・・距離が少しづつ離れてるのが解るから、そうだと思いたい。

遊ばれてる、って感じもあるから全力でいかないと!

プー太郎引っつかんで、[縮地][立体機動][軽業]等移動系スキルをありったけ使って、逃げる!!

魔法系スキルでバフ掛ければ、もうちょい逃げやすいだろうけど・・・

魔法系スキルは、呪文破棄しても一瞬の間足を止めないといけないので、今は無理。

簡易拠点の逆側に逃げてます。

追い立てられてるのかしら・・・

現物見てないけども、あんなのの群れの中に飛び込むのは嫌だなぁ・・・

後ろから時折、地や木を蹴る音がするが、かなり音が小さい。

でも、私の索敵にちらちら入る奴はでかいのよね・・・

どんな消音してんだか、解剖して仕組みを見てみたいわ!

お?

樹海が切れるか。

あんなのと森の中でヤルよりは、平原で見晴らしの良い所でヤった方がまだ勝機が有りそうだ。

ただ・・・あいつ出てくるかね?



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朝靄あさもやの出る平原に、凶悪なモンスターが跋扈する樹海から、2つの影が飛び出してきた。

1つの影は、幼さがまだ残るが大人と子供、可愛いらしさと綺麗の狭間を行き来する金髪の美少女、髪は頭の高い所で2つに結ってあり、金の束が荒々しくなびいている。

服装は、長いコートの上にケープを合わせた物、インバネスコートと言われるものだろ。

だがコートがひるがえり、中の服は異質だった。

黒の布地で身に張り付くようで、彼女の常人よりも大きい胸を強調する、更に上下にベルトが挟むように着けてあり更に際立っている。

樹海を歩くには不適切な、ミニスカートとニーソックス・・・適切と思われるのは、コートと編み上げ式の軍用の安全靴位なものだろう。

武装も軽装だ、腰の左に短い反りのある剣、右にはホルスターに拳銃が収まっている位だ。

もう1つの影は大きな熊のぬいぐるみだろうか?

ぬいぐるみにしては大きすぎる、全長は5mはあるそれを、少女は片手で軽々持ち、凄まじい速さで、朝靄で濡れた平原を走り抜ける。

異様である。

樹海から500mほど離れた所で、少女・・・シャルロッテ・エルフリーデは、片手に持ったぬいぐるみを下ろした。

ぬいぐるみ、いや動いている。

イーティング・スリーピング・プーと呼ばれる樹海の暴食熊だ。気性は大人しい方だが、空腹時と食事時に睡眠時に、出会わなければ見向きもされないが、先に言った間・・・空腹時と食事中なら、食べ物を目の前に置いて逃げれば、そちらに関心を持ち簡単に逃げられるのだが、睡眠時に邪魔をすると怒り狂い地の果てまで追ってくる。

けれども、凶暴性は鳴りを潜め、腰が抜けたのかヘコヘコと尺取虫の様に、樹海から遠ざかろうとしている。

シャルロッテのテイミングモンスター・・・プー太郎だ。

シャルロッテは、樹海の方を睨みつつ、手早く強化系魔法スキルを自分とプー太郎に掛けていく。

朝日が、樹海から昇るのを見ている訳ではない。

魔法を掛け終わるのと同時に、樹海からそれは飛び出してきた。

全長は10m程で、全身は黒い毛皮に覆われ、背には一定間隔で背鰭の様に刺があり、長い尾の先端には無数のトゲがある、ピンっと張った長い耳は周囲の音を聞く為か忙しなく動き、血の様に濁った赤い目はシャルロッテを見つめている。


「うわぁ・・・最悪のに出会っちゃったなぁ・・・」

「バニー・ドラゴン・・・それも上位種進化クラスアップしてるボパール・バニー・ドラゴンだし」


バニー・ドラゴンは、列記とした龍種だ。

その姿は、兎と龍の間の子の様で、長い耳と赤い目、そして兎の様に跳ねる事からその名が付いた。

龍種としての強さは、下位の上もしくは中位の下であるが、「Another World Online」では嫌われ者トップテンに必ずランクインする。

1つは高い隠密性で、高レベルの索敵を軽々くぐり抜けてくる。

2つ目は、自分と同じかそれ以上の強者を狙う性質。

3つ目は、高い知能があり、性格が狡猾で残忍な事だ。

バニー・ドラゴンを、飼育獣化(テイム)した冒険者が居た。

背に乗り、生息域の樹海から村へ、そして王都の中に入った瞬間牙を剥いた。

最初の犠牲者は、テイマー系の冒険者・・・尻尾を使いテイマーが何時も通りに、地に下ろして貰おうとした瞬間に、巻き付いた尻尾で背の尖った刺に串刺しにされた。

元より飼育獣化(テイム)されて居なかったのだ。

飼育獣化(テイム)されたフリをし、村の中に入ったがそこには強者は居らず、いつも手古摺る人の多く住む場所に入る方法をそこで学習した。

元主人を殺し、直ぐにブレスを広範囲に撒き散らし、バニー・ドラゴン1匹で王都は半日で3割を破壊し夜闇に消えた。

次に出現したのは、2日目の夜。

当時居た大量の冒険者を殺し上位種進化クラスアップした、ボパール・バニー・ドラゴンは全身が黒く隠密に優れ、夜闇に紛れ人を襲う暗殺者に進化した。

夜な夜な下水から這い出ては、レベルの高い冒険者を更に殺し歩いた。

長い耳で冒険者達を薙切り、戦車の砲弾を避け、人型兵器をスクラップにして暴れまわった。

なんとか倒したが、王都の8割を壊滅させ、そのおかげで国は解体し周辺諸国に吸収合併された。

首狩兎龍くびかりとりゅうと呼ばれ、忌み嫌われている。


「先手はこっちが取るか・・・プー太郎は役に立ちそうにないし・・・ね!」


シャルロッテは、縮地を使いジグザグに地を抉り疾駆する。

だが、首狩兎龍はじっと見つめ動かない。

あと一歩で一太刀入れられると言う所で、シャルロッテは盛大に倒れた。

なぜか?

首狩兎龍の魔法だ。

魔法を放つモンスターは居るが、龍種は魔法を使いこなす、唯一のモンスター種と言って過言ではない。

木魔法を使用し、周辺の草に紛れさせ蔦でシャルロッテの足を絡め取り転倒させた。

あらかじめどのルートを通るか、見極めてそこに罠を張る。

ゆっくりとした動作で、頭を上げて息と体外魔力を吸い込む。

ブレスの前兆だ。

直線上には、シャルロッテとプー太郎が居る。

首狩兎龍の目には、格上の存在を無様に殺せる愉悦の笑が浮かぶ。

シャルロッテは・・・俯きわらっていた。


「・・・龍も芝居に騙されるんだね!!」


絡みついた蔦など無かった様に、引き千切り。

地を這うように地面すれすれに縮地を発動させ、首狩兎龍の胸元に飛び込み、最後の一歩を震脚し両手を突き出す。


ッバスン!!!!!!!!


首狩兎龍は・・・

そのまま倒れ動かない。

シャルロッテは、もぞもぞと首狩兎龍下から這い出て、直ぐに短い反りのある剣・・・小太刀[桜花]使い、居合スキル[天昇首]発動させその名の通りに、首狩兎龍の首を天高く舞い上げた。


「ふむ、罠張ってたの知ってたんだけども、ドラゴンでもやっぱ効くんだねぇ・・・」

「ヘーリング・ブロイエル反射って奴だっけ?一時期流行ったんだよねぇ~」


ヘーリング・ブロイエル反射とは、呼吸の反射の1つである。

迷走神経によって呼吸の調整をする機能だ。

息を吸い込んだ瞬間、肺に瞬間的に急激な圧力を掛ける事で、迷走神経を誤作動させ脳への血流を停止させる事ができる。

つまりは、首狩兎龍がブレスの為に息を大きく吸い込み、肺が満タンになった瞬間に、縮地で飛び込み格闘系スキル[双掌崩打]を胸に打ち込んだ所為で、失神したのだ。

失神しても腐っても龍、数秒せずに起き上がれるはずだったが、その前にシャルロッテに首を狩られた。


「失神ゲーム・・・私が食らった時、その日仕事になんなかったんだよなぁ・・・」


「近くに居た知らない人が慌てて、救急車呼んじゃって大変だったなぁ」





--------------------------------------------------------------


いやぁ・・・

なんか思ったよりは楽に殺れたけど、バカやってた時の昔の記憶を思い出して、なんか気分的には鬱が入るわぁ・・・

ゲームの時は、龍種はこう簡単に殺せなかったんだけども・・・

変に、動物臭かったと言うか・・・何かに似てたんだよな。

あっあれだ、三下PKだ!

油断を誘ったら、馬鹿にした眼で自分の優位は揺るがないと思い込んで、隙のでかい見た目が派手な大技打ち込んで来る馬鹿に似てたんだ。

ついつい、奴の眼見たら龍種だって忘れて、同じ事しちまったけども。

効かなかった可能性も有るのよね・・・

迂闊だったわ・・・

にしても、龍種ってファンタジー生物でも、効くんだね。

龍種を今まで狩った中で、最短ですよ?

これだけ綺麗に、素材に出来る事なんか、まず無いし。

ラッキ~♪

やっぱし、現実になった所為か、生物としての弱点を突けるのは良い事なのかね?

あれ?

これって、私にも言える事じゃない?

・・・もしかして、私ヤバかった?

そう考えたら、急に寒気が・・・

ま、まぁ結果オーライって事で。

命大事に、安全唱和!

指差し確認、よし!

って、工場の安全確認じゃないんだから。

まぁ、巫山戯て場を和ませようとしても、纏わり付いた寒気が取れないわぁ・・・

おっといけない。

ささっと、回収しましょう。

にしても、コイツってどんな味だっけ?

あんまり記憶に無いんだよなぁ・・・

龍種は大体が美味い筈だけど、どうだっけか。

王都に出た時に討伐した筈だけど・・・あ~。

バカ共が、攻撃が当たんないって焦れて切れて、広域魔法スキルをバカスカ打ち込んで弱らせて、最終的に自前の戦車で砲弾祭りしたんだっけ。

殆ど素材がダメになって残ったのは、耳だけだったんだ。

耳も硬いし食うとこ無いし、結局鞣して鞭にしてたような気がする。

・・・

帰ってから、食べてみますかね。


「お~いプー太郎!帰るよぉ」


ダッシュで来るプー太郎。

目で、「俺は姐さんに一生付いて行きますよ!」って言ってる気がする。

・・・ま、まぁ懐いてくれたなら良いかな。

さてと、プー太郎の背中に跨って、拠点に戻ろうかなぁ。

簡易拠点も片付けて行かなきゃいけないし、プー太郎よろしく。

あと、モフモフさせて?

じゃないと、先の戦闘であっさり死んだ私の映像ビジョンを幻視するからさ・・・

迂闊な行動が、最近多いなぁ。

慢心の道を、邁進する・・・

寒い事言ってないで、とっとと帰りましょう。


むぅ・・・

プー太郎が疲労で、ダウンです。

私が重いんじゃないよ?

ほら、私が追い回したので体力が枯渇気味で、さっきの戦闘で精神がガリガリ削られたみたいでして。

しょうがないんで、私が背負ってるんですよねぇ。

どっちが主なんだか。

おら!

寝てんじゃねぇ!

シャキっとしなさい!!

寝てると力が抜けて、運びづらいんですよ。

・・・はぁ。

この顔見てると、怒る気も無くなるわぁ。

もう~ちゃんと捕まってなさいよ?

返事だけは、一人前ですね。


結局、操糸術で私とプー太郎固定して、立体機動と縮地で昼前には簡易拠点に帰って来れましたよ。

お腹すいたぁ。

ご飯にしますかぁ・・・

私のご飯は、缶飯の赤飯とフライドチキンです。

家族が増えたんで、祝い事ですよ~。

うちって、祝い事があるとフライドチキン率が多かったんですよ~。

あの爺さんの味には、届かないのが癪なんですけどね。

油を使える、圧力鍋の開発をやはりしなきゃいけないのかな?

いつかコピー仕切って、更に上の味にしてやるのです!

うちのプー太郎?

余ってた、鳥のお肉をてんこ盛りにして食わしてます。

美味しそうに食いますねぇ。

プー太郎それ食べたら、予防注射とお風呂ですからね。

んな嫌な顔しないの!

それ終われば、お昼寝だから我慢しなさい。

・・・結婚も子供いないのに、気分はお母さんですね。



家族が増えたよ!やったねシャルちゃん!


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