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其々の夜。

いつも読んで頂けている方、ありがとうございます。

 花子とドア越しに話した後、俺は自分の部屋戻っていた。


 暫くすると、チカも部屋に帰ってきたようで

 内容はわからないが、隣の部屋から話し声が聞こえてくる。


「はぁ……。」


 異世界に来たら無条件でモテモテなんて、そんな美味しい話、実際にあるわけないよな……。

 しかし……、本当だったら今日は、ウサ耳猫ちゃんと楽しく過ごす予定だったのにな……。


「神は言っている、ここで童貞を捨てるべきではないと……、なんてな……。」


「ははは。はぁ……。」


 早く世界を救って、元の世界に帰りたいけど、どうしたらいいかもわかんないし。


(一体どれだけ、この世界にいることになるんだろうな……。)

 ため息をつきながら、そんなことを思う。


(それにしても暇だ……。)

 元の世界なら、1人でいても全く苦にならないのは、ゲームやパソコン、携帯なんかがあるおかげなんだと、シミジミと思う。

 何もない部屋を見渡していると、尚更元の世界が恋しくなった。


(これから先も異世界にいる間、ずっと寂しく退屈な夜を過ごすのか……、鬱だ……。)


「このまま起きていても、更に落ち込むだけだな……。今日はもう寝よう……。」


 そう呟き、ベッドに体を沈めた。

 思いの他、寝心地は悪くなく、これならば良く寝れそうだと思った。


(そういえば……。)


 ベッドは、各部屋一つずつと宿の主人が言っていたので、隣の二人は一緒のベッドで寝ているはずだ。

 女の子二人が1つのベットで抱き合って寝ているのか……、隣には百合フィールドが展開されているに違いない……。

 そんな妄想を始めてしまい、俺は眠気が遠ざかっていくのを感じた。


「いかん、いかん!! 明日は村を出るんだ……、早く寝て、疲れを少しでも癒さねば……。」


 ピンク色の妄想を無理矢理追いやり、俺は心地よい夢の中へ堕ちて行った。



 一方、その頃……。


 部屋に戻っても、まだまだ寝るには早い時間だったこともあって

僕は今は、花子お姉ちゃんとお話をしているところだ。


(ただ……。)


「チカさんが、羨ましいです。私より断然強いし、魔法まで使えるんですから……。」


 部屋で話すまでは、扇お兄ちゃん越しでしか、花子お姉ちゃんと会話をしていなかったと、今更になってそう気が付いていた。


 (だって、20歳前後に見える花子お姉ちゃんが、僕に敬語で話しかけてくる違和感が物凄い……。)


「あ、あの……。僕には敬語をやめて貰えませんか?あと……。『さん』って付けられるのも、凄く違和感があります。」


「そうなの? じゃあ、これからは、チカちゃんって呼ぶね!」


「さっきの話しですけど、今は弱いのかもしれないけど……。花子お姉ちゃんも勇者なんですし、何か特別な力があるはずですよ!」


「……うん。きっとそうだよね! 私、頑張るよ。」


「花子お姉ちゃんは、扇お兄ちゃんに飼われていたわけだから、ずっと一緒だったんですよね? 花子お姉ちゃんから見た扇お兄ちゃんって……、どんな人ですか?」


「ご主人様……? ご主人様はね、かっこ良くて、優しくて、思いやりのある人だよ。私が捨てられそうになったときもね、ご主人様が助けてくれたんだ。」


 そういって、花子お姉ちゃんは、扇お兄ちゃんとの出会いと、扇お兄ちゃんがどんなにいい人かを話してくれた。



「うぅ……、そんなことがあったんですね……、ヒック。僕、感動しました……、扇お兄ちゃんのこと誤解してました……。本当は凄くいい人だったんですね!」


「うん、そうだよ!ご主人様は、とってもいい人なんだから。チカちゃんも、ご主人様と仲良くしてあげてね!」


 花子お姉ちゃんと扇お兄ちゃんとの出会いの話を聞いて、僕は、不覚にも泣いてしまっていた。

 最初はただの変態さんかと思ってたけど……、僕の勝手な思い込みだったみたい……。


(明日、扇お兄ちゃんに謝らないと!)


 そのあとも、扇お兄ちゃんの話で盛り上がり、夜も更けてしまっていた。


「……僕。そろそろ眠くなって来たかも……。」


「私も、少し眠くなってきたかも……?」


 それからすぐ、僕たち二人は布団をかぶり、明日に備え眠ることにした。


 異世界での体験で、思っていた以上に疲労が溜まっていたみたいで、僕は布団の中に入ると、すぐに意識を失ってしまった。


 そうして、三人の異世界での長い一日目は、幕を閉じたのであった。



 異世界であっても、元の世界と変わらずに、夜が明けば朝はやってくる。

 窓から降り注ぐ優しい日の光は、部屋を明るく照らしている。

 窓の外では小鳥達が囀り、今日の訪れを告げていて、それはまるで、新しく始まる今日という日に歓喜している声ようにも思えた。

 都会の喧騒はそこには無く、電車や車の音もない。


 そう……、俺は、異世界での始めての朝を迎えていた。

 この清々しい朝に、俺は……。


「本当にすみませんでしたあぁぁ!!!」


 土下座をしていた。

本日中にもう一話投稿予定です。

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