異世界に到着!
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気がつくと、広い部屋にいた。
しかし、広いと言っても学校の教室程度で、天井も低く部屋の雰囲気は田舎の納屋のようだ。
足元は石畳で、何やら魔法陣のようなものが青いペンキのようなもので、床いっぱいに描かれている。
この魔法陣の中央辺りに、俺は立っていた。
俺の他に魔法陣の中に立っているのは、女3人、男2人だ。
女のほうは――。
近くにいるのは、金髪の20代前半くらいの女性で、身長は160cm位で顔は幼さを少し残した感じの可愛いお姉さんで、スタイルはかなりいい。
なぜか、頭にケモ耳をつけたコスプレをしている……。
そしてなによりも……、胸が大きい!
俺は、おっぱいが大好きだった。
若干離れた所にいるのは、12歳前後くらいの小学生に見える幼女だ。
銀髪で身長は140cmくらい、可愛いというよりはどちらかというと、美人という印象を受ける整った顔をしている。
凹凸の全く感じられないスタイルで、先ほどの金髪のお姉さんとは正反対だ。
(だが、それもよし!!)
俺は、軽度のロリコンだった。
その幼女の隣にいるのは、同い年くらいの黒髪ロングで、今時の感じのする若干キツめの顔をしている。
人数の多い、某アイドルグループにいそうな感じだ。
身長は150cm位だろうか?スタイルはスレンダーで若干……? いや、かなり胸のあたりが心許ない。
(貧乳最高!!)
俺は、おっぱいならなんでもよかった。
男のほうは、というと――。
一番近くにいるのは、男の俺からみてもかなりのイケメンだ。
整った顔をしていて、リア充オーラが半端ない。
身長は170cm後半はありそうで、背も高く、身体つきもスポーツマンといった感じだ。
年齢は、同い年くらいだろうか?
もう1人は、メガネをかけていて、いかにも頭良さそうな秀才タイプの印象だ。
俺より若干背が高い、こちらも年齢は同じくらいだろうか?
(まあ、どうでもいいけど……。)
俺は、女の子にしか興味がなかった!
何故か俺も含めて全員が、揃いも揃ってRPGで言うところの、布の服のような格好をしている。
(俺の服は、一体どこへいったんだよ……。)
それから前方に目をやると、ドアが一枚あり、近くに男が二人いる。
部屋には窓も無く、出入り口も他には無いようだ。
右側の男は、中年のなんだか冴えない感じで
格好は、ファンタジーもののRPGにでも出てきそうな住人Aというような感じだ。
左側の男は、かなりのお年寄りのようで、見るからに魔法使いですよと言わんばかりの出で立ちで
大量の白いヒゲが胸の当たりまで伸びている。
深緑のローブを纏い、身長ほどもある、木で出来ているであろう杖を携えていた。
(なんだこれ……。なんだよこれはっ!!)
(これじゃあ、まるで某小説投稿サイトで読んだ、小説みたいじゃないか!? もしかして上手いこと立ち回れば、美味しい展開が待っているんじゃなのか……?)
俺は、今まで読んだ小説の数々を思い出す。
そして……。
(モブは嫌だ、モブだけは嫌だ!! お、落ち着け、きっと俺は主人公枠なはすだ……、きっとそうさ! とりあえずここは、モブ認定されないためにも主導権を握りにいこうか!)
「そこの二人! 異世界から俺たちを呼び出して、何か頼み事があるんだろ?」
と、したり顔でメガネが詰め寄った。
(しまった……。メガネに先を越された……、こいつも某サイト読者だったのか!?)
俺が、先を越されたショックのあまりに膝をついて項垂れていると、隣から金髪のお姉さんが小声で声をかけてきた。
「ご主人様、大丈夫ですか?」
(なんだこいつ……、変態か!?)
若干引き気味に「大丈夫です」と、返事を返したら納得して貰えたようだった。
ケモ耳を装着しているだけでも、かなりのインパクトなのに、初対面の人間に対してご主人様とは……。
(このお姉さん大丈夫か……?)
俺は、比較的常識人だったのだ!
「何わけのわかんないこと言ってるの!
ここはどこ?私の服と持ち物は、どこいったの!!」
黒髪女子高生は若干ヒステリー気味に叫んでいる。
まあ、普通の人間はこういう反応をするよな……。
俺も、服が如何にも防御力の低そうな布の服に変わっているのには、若干戸惑ってるし。
魔法使い風の老人が、メガネのほうを見ながら、先ほどの問いに口を開いた。
「流石は勇者様、何もかもお見通しとは恐れ入ります。」
「いや、意味わからないんだけど……、どういうことなの!?」
黒髪女子高生は若干……。いや、かなり怒っているようだ
「僕も、この状況にはかなり困惑している……。きちんとした説明を願いたい。」
イケメンも言葉を重ねる。
「そうですな、状況をご理解されていない勇者様もおられるようですので、まずは説明をさせて頂きます。」
魔法使い風の老人が、口を開いた。
「私は、ラインベル・ルーメミラという、代々予言と歴史を伝える広める家系の人間ですじゃ。あなた方を、この世界に召喚した理由は一つ、世界を滅亡から救って欲しいのです。」
「この世界の予言に、こうあります。
『滅びの運命が迫りし時、異界から現れた、勇気を持つ5人の勇者により、世界は破滅を退け、勇者達は再び異界へと還らん』
あなた方は、予言に選ばれた勇者なのです。」
「服や持ち物に関しては、私にはわかりません。異世界からの召喚の影響でしょうか?」
(やはり、そういう展開か……。)
メガネのほうも「やはり……。」と小声で呟いている。
「それでは、魔王を倒せばいいんですね!」
(ああ……。)
俺が言おうと思ったセリフを、またしてもメガネに先を越された……。
俺は、かなり焦りを感じた。
(この状況って……。モブコース真っしぐらなのでは……?!)
しかし、ルーメミラはキョトンとした顔をしていた。
「いえ……。魔王の件は、三百年前に別の予言の勇者が打ち倒し、今では魔族と人間は小競り合いはあるものの、魔族が人間を滅ぼそうということは無くなっておる。その時も、勇気を持つ勇者が異世界から召喚され、魔王を打ち倒して予言を達成したことで、神に望みを一つ叶えて貰い、再び異世界へと還ったという古い記録が残っておるのじゃ。」
「そんな勝手なこと言わないでよ。私たちを、元の世界に返して!」
黒髪女子高生の言うことも、最もだ。
「残念ながら、元の世界に戻る方法は一つしかないのです。300年前の勇者のように、予言を達成することでしか、戻る方法はありません。」
「そんな……。」
イケメンの方へ向かい、力なく崩れ落ちる黒髪女子高生を、イケメンが支えた。
「ありがとう……。」
気のせいか、若干黒髪女子高生の頬が赤い気がする……。
「あなた方に科せられた、勇者の使命は過酷でしょう。しかし、預言を達すれば元の世界への帰還の折に、勇者一人に神が望みをなんでも1つ叶えてくれると、そう伝承には残っています。」
「え。なんでも!?」
黒髪女子高生が喰い付く。
さっきほどのショック状態からの変わり身の早さに、若干ルーメミラも困惑しているようだった。
「え、ええ……。神が叶えてくれる願いですからね。恐らくは、何でも叶うのでしょう。」
黒髪女子高生がしきりに、何か頷きながら考えているようだ。
「それでは話を続けます。世界の破滅の運命がどんなものかは、実は今だ、判明していません。あなた方、五人には、それを探し出し世界の滅びの運命を回避して頂きたい。」
(あれ?)
先ほども違和感を感じたが……。
(五人ってなんだ? 俺たちは、六人いるぞ?)
「少しお待ち頂きたい。予言の勇者は五人ですが、私たちは六人います。これは、どういうことでしょうか?」
(くそ! メガネ……。またしても……。)
目の前の二人は、鳩が豆鉄砲をくらったような顔していた。
「た、たしかに……。サントン、魂の写し鏡をこちらに。」
「はい。」
と、サントンと呼ばれた男が、手のひら二つ分の大きさの手鏡に、宝石や装飾を施したものを差し出した。
「これは魔力を込めることで、対象者の運命と、才能を視ることの出来る鏡じゃ。勇者であれば、運命に勇者と映し出されるようになっておる。
一人ずつ私の前に来て、名前を名乗って頂けないか?」
まず、最初に動いたのは、イケメンだ。
「わかりました、僕の名前は、五十嵐 勇輝です。」
ヤダ、このイケメン……。俺と名前がかぶってやがる…。
(空気読めよ……。イケメンと一緒とかハードル高いわ!)
「ふむ。この者、五十嵐勇輝は、間違いなく勇者である。」
「では、次のお方。前へ。」
(あれ? そういえば、花子は、どうしたんだ? 一緒に、穴の中に落ちたはずじゃ……。)
超展開過ぎて、花子のことを考える余裕がなかった……。
この部屋にはいないみたいだな…これが済んだらまずは、急いで花子を探そう。
(大丈夫だよな……。花子……、おまえ死んだりしてないよな……?)
そう考えていると、涙が出そうになった。
すると、再び隣の金髪のお姉さんが声をかけてきた。
「ご主人様。本当に大丈夫?」
空気読めよ、このド変態!
初対面にご主人様とか、ほんと、どんな設定だよ! とは言えず、「大丈夫です。」と答えると納得はしてくれたようだ。
次は、黒髪女子高生のようだ。
「私は、白石 優希よ。五十嵐くん名前一緒だね☆」
まさかの、名前被り祭り。
(黒髪女子高生まで名前が一緒とは……。どうなってんだ。)
(まさか……。いや。そんなことは無いはずだ。そんなことはありえない、次はきっと違う名前のはずだ。)
この時。俺は、ある一つの可能性を思いついていた。
「ふむ。この者、白石優希は、間違いなく勇者である。」
「次のお方。前へ来てくだされ。」
次に、メガネが前に立ち……。
「私は、桐生 悠木。お二方、本当に偶然ですね。」
白石が、舌打ちして小声で「空気読めよ……。」って言ってた。
(白石怖っ。)
(こいつも、やはり名前被り……。やはりそうなのか!?)
予言にあった『勇者を持つ者』って、名前のことかよ!
(阿呆らし過ぎる……。)
「この者、桐生悠木も間違いなく勇者である。」
「次のお方、前へどうぞ。」
次に、幼女が前へ出る。
「僕は、宇佐美 ちかって言います。宜しくお願いします。」
(まさか、これは……。こいつは……。)
(幼女の僕っ娘!? 最高過ぎる……。異世界に召喚されたこととか、全てがどうでもよくなる程の魔力を秘めていやがる……。)
俺は、僕っ娘が大好きなのだ。
幼女の名前は、宇佐美ちか……。とすると、この子は勇者ではないということか?
まあ、幼女だし勇者ってことはないよな。
「うーむ、この者、宇佐美ちかも、間違いなく勇者である。」
(え!? 嘘だろ……。どういうことだ……。)
「あっ。僕のお父さんの名前は、ユウキっていいます。皆さんと一緒ですね。」
(そっちかよ!)
選定基準が適当過ぎるし。残念過ぎる……。
なんかこの世界が不安になってきた。
残り2人……。
(大丈夫だよな? 俺、勇者だよね?)
そう、自分に言い聞かす。
隣の金髪のお姉さんには悪いが、初対面の人間をご主人様とか言う、そんな変態が勇者のはずないよな。
ともあれ次は、俺の番だ。
「次の者、前へ。」
「はい。扇 祐樹です。」
名前を言った瞬間、白石が肋骨に嫌そうな顔をする。
流石に、みんな名前の法則に気が付いているはずだが……。
一緒だって事実がそんなに嫌か!?
「ん? まさか……。この者、扇祐樹は、ただの勇者ではない。」
(来た! 主人公枠のお約束、チート枠だろこれ!!)
(ふふふ、悪いなメガネ……。この勝負は、俺の勝ちのようだ。)
勝鬨の笑みを浮かべながら、メガネに一瞥をくれてやった。
「この者……。魔獣となっている。私も、こんなことは始めてなので、少々困惑している。扇殿は、勇者では無いようですな。」
(え? なにそれ……。それって勇者ですらないよね? ペットって、なんですか? そもそも、魔獣って人間ですらないような……。)
あまりの事実に呆然としていると。白石が、これでもかってくらいに笑っていた。
「ペットだって、きゃははは。魔獣……。お腹苦しい……、ペットってなに……、きゃはははは。」
「笑っては、扇さんに失礼ですよ。」
と、メガネが笑いを堪えながら言っていた。
イケメンも、何故か反対を向いているが、肩が震えているので、声こそ出ていないが笑っているのがバレバレだ。
がっくりと肩を落として元の位置に戻ると、金髪のお姉さんが再び声をかけてくれた。
「ご主人様。元気出してください。魔獣なんて、凄くカッコいいですよ。」
「ははは、そうですね……。」
完全に、生気の失われた声で、そう答えた。
「では、次の者。前へ。」
「私の名前は、花子です!」
(え? 花子? うちの犬と同じ名前なんだ……、あのお姉さん。今時かなり珍しい名前だな。)
(このパターンは、幼女と同じく家族にユウキがいるのかな?)
「ふむ、この者。花子は、間違いなく勇者である。ん? 既に才能が1つ、開花しているようですね。魔獣使い(ビーストテイマー)の才能が目覚めているようです。それに、既に一体の魔獣を使役しているようですね。どういうことでしょうか?」
「花子殿、片目を閉じてそちらに意識を集中してください。そこに、様々なステータスが見えるはずです。使役している魔獣の項目はありませんか?」
「うん、見てみるね。」
…
「あ、あった。使役しているビーストの名前は――。」
「私のご主人様の、扇祐樹さんだ!!」
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