プロローグ
夢を見たという夢を見た事はあるだろうか。
ややこしいかもしれないが、それは実際存在する事象だ。
つまり、自分を客観的に見ているのだ。外側から、自分という人間が行動する場面を見ているというわけだ。
そこには、自分を周りから見てみようという意識が生まれている。だから、それが現実に生きてくる可能性も少なくない。
だが、それがどんな内容なのかによっては、その人物の運命は大きく変わってくるだろう。
その夢が心躍る内容だったりウキウキするような内容なら。それは、もしかしたら現実において上手くいっていない場合が高い。だから、夢の中で楽しくて幸せな内容が形成され、再生されているのだ。
だが、この場合は逆に良い方向にあるといえる。なぜなら、上手くいかない現実に対して、その夢はヒントになるかもしれないからだ。その夢での出来事を上手く取って現実に生かせば変化があるかもしれない。それは良い事だ。
ならその反対。夢の内容が恐ろかったりゾクゾクするようなものなら。それは心身の疲労が原因だろう。
現実において日々ストレスを抱えていたり、何事もマイナス方向に捉えて自己嫌悪で埋め尽くされていたり、肉体的な疲ればかり溜めて休養を取っていなかったり。他にも考えられる事はあるが、だいたいそんなところだ。
そういう場合は、とことん休むべきだろう。一日中自分の好きな事をやったり、外に出て軽いジョギングをしたり買い物をしたり、リフレッシュすることが大切だ。
そうすればきっと、恐ろしい夢を見ることは無くなっていく筈だ。前述の楽しい夢とは違い、これは心や体自体に症状が表れているのだから。
だが、もし現実と夢の区別がつかないほどに2つの世界が入り混じっていたら。その時はどうするべきか。
残念ながら、今までにそんな現象を経験した人はいないらしい。いずれにせよ、意識は覚醒し、夢として見たものと現実を識別し考えを終わらせる。
だからこそ、この物語は今までとは違う。
楽しい夢とも恐ろしい夢とも違う、未知の例。現実は夢のように見え、湯は現実のように、酷く美しく再現される。そう、パラレルワールドだ。
これはファンタジーなんかじゃない。ゲームや漫画で見られる転生などでもない。
パラレルワールドという何よりもややこしく、何よりも歪な場所を舞台にした[無駄』な物語だ。
そして何より歪なのは、それが天使や夢魔のような魑魅魍魎な存在の悪戯ではないということだ。
誰が原因で誰から始まった物語なのかは素直に語れるが、その原因に手を加えたのは、紛れもなく人間だ。
全ては人間の過ちから始まり、やがて土崩瓦解さながらの勢いで崩れていき、手の付けようがなくなる。
それが、この物語。
科学と偶然と人間の欲望が重なって、偽夢は始まる。