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神のから騒ぎ  作者: あすかはなび
第一神話 欲望の果てに
2/29

#2

 

 俺が目を覚ましたのは、辺りが夕焼けに染まった頃だった。

 やけに体が痛いと思ったら、どうやら駅近くにある公園のベンチで寝ていたらしい。

 もしかして、夢を見ていたのか? 

 そんなことを思った。

 現実で起きた出来事にしては、あまりにも内容がふざけていたからだ。 

 だが、だとしても俺は相当にヤバイ。

 どこからどこまでが夢なのか、全く解らないからだ!

 俺は確か、……CDショップに行くために、駅前まで足を運んだはずだった。

 フロッピーディスクに劣るとも勝らない、容量の少ない頭を使って必死に考える。

 そして、導き出した結果が二つ。

 

 一つ。

 公園に行った覚えはないが、ベンチから幼い子供の遊ぶ姿を眺めようと思った俺は、公園のベンチに座るも睡魔にやられて眠ってしまった。

 正直こっちであって欲しい。

 

 二つ。

 夢だと思っていた出来事は現実だった。

 その証拠に、口の中には少女がくれたクッキーの甘みが……。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 怖くて、少女のような悲鳴を上げた俺は、自宅への帰路を全力疾走!

 そして、自宅に近づいた頃、走り疲れて歩いていた俺は学校の友人である久保田くぼたと出会う。


「おぅ、慎也じゃん……って、いつにも増して顔がR-18だぞ!?」


 ポーカーフェイスが売りの久保田が、こんなにも顔を歪めるってことは、今の俺の顔は相当酷いんだろうな。


「……よぅ。さっき、金髪ロリ巨乳の美少女に毒殺されそうになったんだ。……どうしたら良いと思う?」


 さらに、久保田の顔が歪んだ。

 さっきので限界じゃなかったのか。それ以上歪むと、『Touch Me』で有名なエイリアンになるぞ。


「……とりあえず、病院行こう。ね?」


「なんで急に優しい口調になる!?」


「お前も、色々ストレス溜まってるんだな……」


 馬鹿正直に言う内容ではなかったか!

 確かにこれでは、俺が異常者と思われても不思議じゃない。


「あー、アレだよ。今のはゲームの話しだ」


 なので、ゲームの話しということにしておこう。


「……お前、どういうゲームやってんの?」


 久保田の冷え切った表情が痛ィ!

 くそっ。これじゃあ、俺の偏った性癖を暴露しただけじゃねぇか!


「ソレ、なんてタイトル? メーカーは? 絵師は? 攻略対象キャラは何人? その毒殺しようとしたのはヤンデレ妹か?」


 アレ、久保田君。冷え切った表情をしてるけど、言ってるセリフには熱が溢れんばかりにこもってるよ。妹ヤンデレが好きなのか、久保田君。

 俺の冷たい視線に気付いたのか、久保田は「ごほん」と咳払いをすると、話しを切り替えてきた。 


「そういや、慎也の家の前に、ここらじゃ見ないような黒塗りのベンツが停まってたぞ。俺はあんま車に詳しくないけど、あれはベンツだと解ったね。ゲーム内でよく、ツンデレお嬢様が乗ってるから」


 ポーカーフェイスで言っている久保田が痛々しい。

 最後の部分は気にしないとして、俺の家の前に黒塗りのベンツ?

 何故か無性に気になってしまった俺は、自宅に向けてまた走りだす。


「あ、ちょっと待て! タイトルだけでも教えてくれ!」


 遠巻きに久保田が何かを言ってる気がしたけど、きっと気のせいに違いない。


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