3ヶ月後
PV10万突破!
感謝感謝です。
月日が経つのは早いものである。
もぐらモドキを配下に加えてから3ヶ月が経過していた。
キングがザンギに指示を飛ばしている。
この3ヶ月、キングも何もやっていなかった訳ではなかった。
集落も色々変わっている。
キングの足元に小さな犬が擦り寄ってくる。
小さく尖った爪と歯、よく見ると犬ではなく狼モドキの子供だった。
それが20匹程キングの足元で戯れている。
大きさでいえば体高30cm程でまだまだ小さい。
(見ようによっては可愛いんだが…)
戯れてくるのはいいが数多すぎだろ、と突っ込みたくなる。
親狼モドキは何してるかと思えば、どこか達観した目でこちらを見つめていた。
まさか3ヶ月で生まれてくるとは思わなかったが、相手は魔物なのだからとキングは自分に言い聞かせた。
(にしても、まさかこんなに生まれるとは…)
元々狼モドキは縄張り内のナンバー1の雄雌同士が交尾し、子供を設ける。
なので通常は1グループに1回の繁殖期で3匹程しか生まれない。
だがキングの使役魔法の効果によって雌全員に子供が産まれた。
なので予想外に数が多くなったのだ。
(この分なら半年くらいで使えそうだな)
子狼モドキの早期実戦投入を目指し、そろそろ訓練を始めることにする。
(小さいうちから栄養の高い肉を喰わせれば、能力は上がるのだろうか…)
ふと考える。
(まぁ体格はよくなるかもしれんな)
今回一番気になっていたのは他にある。
それは魔物の子供が産まれた場合、その子供が使役魔法に掛かっているのかという事だった。
結論から言えば答えはイエスだ。
産まれた子狼に魔法を掛けなくても、キングの命令にしたがった。
まぁ産まれてすぐの子狼達に立てと命じても、立つ素振りをするだけでコロコロ転がっていただけだったが。
現在は繁殖期も終わり、雄の狼モドキ達も落ち着いている。
部隊に参加させることも問題ないだろう。
(そろそろか…)
雌の狼モドキは子狼モドキの世話があるので集落から動かせない。
雌が使えない以上動かせる数は減るが雄の狼モドキを部隊に入れれば活躍してくれるだろう。
(やっとここまできた…)
身一つでこちらの世界にやってきた。
やっと当初の目標の一つである村道攻略まで来たかと思うと、感慨一入だった。
気を引き締めると、さっそく部隊を召集させる。
狼モドキの遠吠えによる号令を掛けたので、徐々に皆が集まってくるだろう。
(まずはどこに陣取るかだな)
ザンギを横に呼ぶと、地図を広げ襲撃ポイントを確認する。
あまり村に近いと、援軍や入らぬ邪魔が入る可能性もある。
そのため、村から十分距離をとった場所を探す。
(さてどうしたものか…)
地図を見ながら思案する。
「ココ ドウダ?」
「いやそこはなぁ〜」
ザンギが指した所は、真直ぐ一本道の場所だった。
「ダメカ?」
「う〜ん…」
確かにここなら相手が村道を通るのを遠くから確認しやすい。
両脇が森になっているので奇襲にも適しているだろう。
ただこちらから見えやすいということは、あちらからも見えやすいということだ。
相手が徒歩ならば、先に発見され逃げられても狼モドキの脚で追い付くことも出来る。
だが相手が馬車ならばどうか。
もし近付く前に加速され振り切られれば、狼モドキの脚では追い付けないかもしれない。
私が護衛ならば馬車を走らせ主力のゴブリン達を十分引き離し、追って来る狼モドキと先に戦い相手の足を殺し逃げ切る戦法を取るだろう。
相手の何人かなら、それで倒せるだろう。
ただ、今回は魔物と違い相手を殲滅しなければならない。
なぜなら逃げ延びた人間により、今度は討伐隊が出てくる可能性が高くなるからだ。
村人を森に引き込んでのゲリラ戦なら負ける気はしない。
だがこの世界の冒険者と呼ばれる者達、または兵士相手では戦況も分からなくなる。
そのような者達と一戦交えるのは時期尚早である。
石橋をなんとやらではないが、今回の作戦には慎重に慎重を重ねなければならないのだ。
「今回はここで行こうと思う」
キングが指したのは緩やかなS字を描いた道だった。
「オレ キング シタガウ」
(あとは現地に行ってみないとな)
話しているうちに皆集まってきたようだ。
「ザンギ!部隊に出撃の準備をさせろ!!」
「ワカッタ」
キングは静かに闘志を燃やしていた。
今回少し時間が飛びました。
狼モドキの関係です。
無駄に時間経過させることはありませんがゴブリンの寿命については色々考えています。