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新規開拓


薄暗い森の中、キングは隊を率いて歩いていた。


今は集落から東に進み森の深部に向かっている、山賊の持っていた地図を確認しながら進んでいく。


正確な時間は分からないが集落を早朝発ったのでまだ午前中だろう。


雌の狼モドキが動かせなくなってしまったため新たな戦力確保と偵察も兼ねて現在森を散策している。


どうやら繁殖期は雄も気性が荒く落ち着きがないようなので使えなくはないが今回は集落においてきていた。


今回の護衛はゴブリン8体である、配下のゴブリンの中でも上背のある逞しいもの中から選び、更に先の山賊達の武具を装備させた精鋭部隊だ。

ゴブリンの中でも一番の巨体であるザンギには、集落の防衛を任せてきた。



正直集落は狼モドキ達の呻き声で煩わしかったのもある。



森を歩く中で何度か魔物に遭遇したが、どれも雑魚ばかりで魔法を使うまでもなく全て腹の中に収まっていた。



(う〜んホントに雑魚しかいないな…)


予定ではバンバン魔法を使って配下を増やすはずだったが、中々戦力アップになりそうな魔物とは遭遇しない。


こればかりは運である、あまりに弱過ぎても戦力にならず、逆に強過ぎても自分の使役魔法に掛からない可能性が高くなる。


これは使役魔法の欠点でもあった。


そのため魔法が効かなかった場合を考慮して護衛を連れてきている、逃げられなければ倒すか囮にして逃げる時間を稼ぐだけだ。


頭さえ残れば部隊など幾らでも作れる。


キングあっての集団なのだ。


雑魚を倒しては喰らってきたため腹一杯だ、この際食料系の魔物は無視し戦力増強の強そうな魔物のみを探そう。


あれから数時間、森の中を歩き回るが結局戦力になりそうな魔物には出会えなかった。



(仕方ない…帰るか)


日も落ちかけ疲れてきたので部隊に撤収を告げた。






ポツリポツリと空から降ってくる。


急な雨だった。


(クソッ、ついてないな)


ゴブリンといえど人間と同じで寒さは感じる。


集落まではもう少し距離がある。


革の鎧が雨を吸って重くなるのを嫌い、近くの木の下に避難すると雨が止むのを待ってみる。


葉の生い茂った木が傘の役目をし濡れることはなかった。


さすがに全員で同じ木には入れないので、各々近くの木に身を寄せる。



通り雨だろうか、木に寄り掛かり雨が止むのを待ってみる。



まだ雨は止まない。



濡れながら帰ることも考えてみたが、せっかく待ったのだからともう少しだけ待ってみることにした。


手持ちぶさたに何気なく足元を見る。


白いキノコが生えていた。



「おい!」



「ギェ?」



隣りで呼ばれたゴブリンが振り向く。



「このキノコは喰えるか?」



キングが手に持つキノコをしげしげと見たあと小さく頷いた。



ーパクッー



(まぁまぁかな)



最近は魔力アップのため魔物ばかり喰らっていたので、キノコはあまり喰わなくなっていた。



(毎日魔物ばかり喰ってても飽きるしな、たまにはキノコも良いもんだ)



そういえばゴブリンになって野菜を喰わなくなったな等と考えていると、少し離れた場所の地面が揺れた。


最初は気のせいかとも思ったが次の瞬間、地面がボコッと隆起しそれが向かってきた。


キングはギョッとし慌てて腰の棍棒を取り出すと、こちらに向かってくるその何か分からない地面の隆起に棍棒を振り下ろす。


棍棒を伝い衝撃が手を襲うが、地面が土だけに我慢できないものではない。


地面にめり込んだ棍棒を放すと、サイドステップで隆起した地面から離れる。



少しの間をおいて地面が爆ぜた。







護衛達が仰向けに倒れているものを囲むように武器を構えている。


用心して後ろから確認する。


丸みを帯びたフォルム、尖った鼻、ずんぐりした胴体、鋭い爪。



(う〜ん…これは…)





どうみてももぐらだった、ただ色は浅黒く体もデカい。



体長1mくらいであろうか、横幅も結構あるだろう。


とりあえず今は気絶しているようだった。


地面の上からだったが咄嗟に放った一撃のダメージはあったようだ。


気絶している間に使役魔法を掛けておこう。


呪文を唱えると手から魔力が放たれ、もぐらモドキに伸びる。


人間を喰らってからだろうか、使役魔法を使った際指先から放出される魔力が視覚できるようになっていた。


魔力は鎖のようにもぐらモドキに絡み付くと、体を締め上げ体内に溶け込んでいった。



おそらく成功だろう。



魔力が見えるようになったのに気付いてから集落の周りで試したが失敗するような魔物に遭遇してないので、失敗した場合どのように見えるかはまだ分からないが。


一応警戒しながら目を覚ますのを待つ。



ーピクンー



もぐらモドキの爪先が微かに動く。



「起きろ、もぐらモドキ!」



爪を器用に動かしのっそりと体を起こすと平伏のポーズをとる。



これで配下がまた一匹増えた。


動きが鈍いせいで戦闘力は大したことなさそうだがまぁ何か使い道はあるだろう。



多分…




…ね?


投稿完了!

前回投稿短かったので今回は少し長めに。


それでも他の方達より短いんですが…


回数でカバー(`・ω・´)


今回同じ特性持ちとして、もぐらかミミズで超迷いました。


ちなみに文中に出てきた白いキノコはもぐらの巣穴の中でも排泄する場所に生えるというキノコのことを指しています。

詳しくはwikiで!


一向に村道行きませんが予定通りの小説なんて面白くない!これからも焦らしていきます(ぇ

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