洞穴戦
先程確認したらPV3万突破&日間ランキング8位になってました。
何があったし\(^O^)/
ランキング入りしてからの伸び率が異常です、読んでもらえるのは有り難いことなので引き続き頑張ります。
太陽が落ちかける頃森の中を軍団が行進していく。
キングと隣りを歩くザンギを先頭に、20体のゴブリンと10匹の狼モドキが続く。
監視部隊と合流すればその数は34にもなる。
敵の規模が分からない以上、今回の部隊には大半の戦力を投入していた。
残りは集落の防衛と食糧調達に回している。
拠点維持も重要なことだ。
この世界で比較的安全だとされているナカウシの森だが、個として強いものも棲息している。
ただ集団を一つの力とするなら、キングの軍団もこの森の食物連鎖の上位に食い込もうとしていた。
洞穴に近付いてきたので、監視部隊の場所までザンギに案内させる。
辺りはすっかり真っ暗になっていた。
部隊は少し後方に待機させてある、さすがに大人数では敵に感づかれる恐れがあるからだ。
ザンギと2人で進み茂みの中から辺りを窺うと洞穴の前が明るくなっていた。
焚き火を囲むようにして座る山賊らしき者が2人見える。
恐らく見張りだろう。
(しまったなぁ…)
夜目を生かすために深夜の奇襲を決行したが、敵の大半はどうやら洞穴の中で寝ているようだ。
考えてみれば相手は人間、基本的に夜は眠るし雨風の防げる場所があれば当然その中で眠る。
洞穴の中で寝泊まりするのも当然だ。
ただ、これでは敵の数が把握できず洞穴自体の幅もゴブリンが3人並べる程しかないので、今までのように一対多で戦うことができない。
色々考えた結果部隊を3つに分けることにした。
洞穴から見て中央にキングとザンギやゴブリンを主体にした主力部隊、左右に狼モドキを主体にした混合援護部隊を配置させる。
中央に多く戦力を集中させ、左右には逃走する敵を捕らえるため機動力のある狼モドキ達とそのサポートのためゴブリン数名を配置した形だ。
(あの洞穴は確か入り口から20M程まっすぐぐな道があるだけで、その先は行き止まりだったはず)
中に敵の主力がいると思われるが、入り口を塞いでしまえば逃げ場はなくなる。
問題は入り口を押さえた場合に、相手がどう対処してくるかだった。
とりあえず何パターンか考えたあと、中央の部隊からゴブリン6体を選ぶ。
6体は洞穴の中に侵入させるが中は直線なので弓矢を警戒して短剣と盾持ちを3体、その後ろに槍持ちを3体揃えた。
これは殲滅というよりも、洞穴内での動きやすさを考慮し撤退も視野に入れた数でもある。
敵が多ければ無理せず後退させるつもりだ。
(そろそろ始めるか)
右手を上げて合図すると、左右に展開させていた狼モドキ達が草むらから飛び出し見張りの2人に殺到する。
不意を突かれた山賊2人は、腰の獲物を抜く前に絶命していた。
見張りの悲鳴が中に漏れたかもしれない。
狼モドキ達が襲いかかるのを確認し、主力部隊から6体が猛然と洞穴内に突入する。
ゴブリン6体が突入したあとキング達は包囲網を狭め洞穴の入り口を取り囲んだ。
これで逃げ道は封鎖完了である。
洞穴内から刃物がぶつかりあう音が聞こえてくる。
程なくして中からゴブリン達が後退してきた。
ゴブリン達の剣には血が付いている。
(手傷は負わせたかな…)
一人位殺していたら後々楽になるのだが、そこまでは分からない。
キングは入り口近くの焚き火から火のついた木片を取ると洞穴内に向けて思い切り投げた。
かなり奥の方まで飛んでいき、壁にぶつかって地面で火が跳ねると中の様子が赤く映る。
どうやら敵の数はそう多くないようだ、武装した山賊達がチラホラ見える。
7〜8人程か。
突撃させたゴブリン達の盾には矢が数本刺さっていたが怪我はとくにない。
一旦洞穴から出て、敵の出方を窺う。
どうやらあちらもこちらの出方を窺っているようだ。
何人か盾を構えて洞穴の入り口付近まで出てきたあとこちらを確認すると、ギョッとした顔をしたまま後退していった。
人数でも確認しにきたのだろう、無論山賊が10人いようがこちらの頭数は3倍だ。
正面から当たればまず負けないだろう。
あれから30分程経ったが、洞穴内に後退していった山賊達は未だに出てくる気配はない。
こちらが手を出してこないので、中でジッとしていればゴブリン達をやり過ごせるとでも思ってるのかもしれない。
面白いので山賊を観察することにした。
最初の突入から1日が経とうとしていた。
キング達は洞穴の入り口前に陣取っている。
あれから昼夜問わず、ゴブリン達には洞穴内への突撃を繰り返し実行させていた。
反撃されそうになるとゴブリン達は洞穴内部から撤退するのだ。
敵は所詮人間、定期的にゴブリン達に突撃させ敵に眠ることを許さず体力・気力を削ぐ戦略をとっている。
こちらは部隊を3つに分け1部隊は後方に下げ休息を挟むよう動いているので体力・気力共に未だ高い。
何十回目か忘れた突撃が続いた3日目の夕方、ついに山賊達が洞穴から飛び出してきた。
どうやら山賊は9人いたようだ。
痺れを切らし玉砕覚悟の一点集中突破の作戦できたようだった。
「つまらん!」
そんな作戦を取るのであれば体力のある内に決行しなければ成功率は下がるばかりだ、所詮屑の集まりか。
こちらも槍持ちを前にして迎え撃つ。
洞穴内では振り回しづらいが外ならば相手より長いリーチは有効だ。
突撃してきた一人が串刺しになり絶命する、次々と必死に突撃してくる山賊共を捌き傷を負わせていく。
今や山賊達の突撃は歩を止められ包囲戦へと変わっていた。
ゴブリン達の手数に圧倒され防戦一方となり一人また一人と倒れていく。
「お頭もうダメだ!」
どうやら後ろで必死に戦っているあのあご髭の男が頭のようだ。
名も無き子分Aが地に伏した頃、戦闘は終了した。
こちらの被害は傷者が4名、死者は0。
盗賊側は死者8名だった。
山賊の頭は生け捕りにした。
この世界の情報収集は必要だからな。
倒した山賊達の装備品を剥いだあと、洞穴の中に生き残りがいないのを確認させる。
ザンギに1つ命令を下し、ゴブリン2体と共に山賊の頭を洞穴の中に連行する。
山賊は私が言葉を話すことに驚いたようだが、すぐ顔を下に向けた。
奥に陣取ると山賊に幾つか質問を投げ掛けた。
「答えなければ殺す、正直に言え」
「わっ、わかった」
酷く怯えているようだ。
「この森の名前は?」
「ナっ、ナカウシの森だ」
どうやら嘘はついていないようだ。
「お前は何処から来た?」
「俺達は元々この森に住んでいて、森の中を転々として生きてきた」
おそらくこいつらも村道を行き交う人間を襲っていたのだろう、言うなれば同じ穴のむじなだ。
「ここから近くの村へは行った事はあるか?」
「ザルベ村のことか?1ヶ月前に立ち寄った」
「何人位が生活している?」
「たっ、多分50人くらいだった…なぁ俺を助けてくれ!助けてくれたら何だってするぞ俺は!」
助けてくれと地面に頭を擦りつけている、先程使役魔法をかけてみたが山賊には効かなかった、やはり人間には効かないらしい。
「人間よ、そんなに怖がらなくてもよい」
近寄り山賊の肩にポンと手をおく。
「たっ助けてくれるので?あ゛っ、ありがとうござ」
ーバクンー
山賊の頭半分が無くなっていた。
「やはり新鮮が一番だな」
山賊だったものが口元に嬉しげな表情を浮かべたまま倒れると、キングはペッっと髪の毛を吐き出す。
外が騒がしい。
洞穴に入る前にザンギに命令していたので、外でも宴が始まっているようだ。
山賊達の死体の側でゴブリン達が蠢いている。
頭の腕を2本引き千切ると側にいた2体のゴブリンに投げ渡す。
与えられた2体は嬉しそうにむしゃぶりついていた。
初めて知る人間の肉の味、母親に抱かれる子供のようにキングの牙は胸元に吸い込まれていった。
本当は24:00投稿のつもりだったのですが昨日は忙しく投稿が遅くなりましたm(__)m
書きたい欲求が先行した結果ストックなしで投稿を始めたので、当日投稿の分はその日に書いてます。
たまに遅くなることもありますが大目に見てもらえると助かります。
次はいよいよ村道攻略です!ただいま執筆中!!w