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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第二章

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36/39

36. 創造神と破壊神


――世界が、ねじれた。


純粋な破壊。


カナト=ダラは、地を蹴った。


次の瞬間には、もう“そこ”にいない。



形あるものの前腕が振り下ろされる。


「亀裂」


空が割れ、

世界が裂け目に引きずり込まれる。


だが――

裂ける“前”に、カナト=ダラが踏み込む。


拳が、振るわれる。


ただ、拳が通過した領域から「亀裂」という定義が破壊された。


裂け目は生まれず、

代わりに空が“何も起きなかったかのように”戻る。


形あるものが、即座に再構成を始める。


「腐敗」


大地が黒ずみ、

生命という前提が崩れる。


だが次の瞬間。


カナト=ダラは、地面を踏み砕いた。


腐敗が広がるための“時間”が壊れる。


腐敗は、進行できない。


進行できない腐敗は、

ただの色だ。


カナト=ダラは、跳ぶ。


空中で、形あるものの“首”を掴む。


いや、

首という形をしていた概念を――

まとめて引き裂く。


形あるものは、消えない。


崩れ、

ほどけ、

すぐに再生する。


だが、再生のたびに。


「再生の条件」が、ひとつずつ削られていく。


「形を保つ」

「意味を持つ」

「存在する」


それらが、

再生よりも先に壊されていく。


形あるものは、後退する。


――初めて。


「……追いつけない」


声は出る。

だが、震えている。


カナト=ダラは、答えない。


獣のように、地を踏み砕く。


一歩ごとに、

世界が“成立をやめる”。


形あるものは、最後の手段に出る。


空間を丸め、

事象を重ね、

自分自身を“世界”に擬態させる。


だが。


擬態した瞬間。


世界という概念ごと、殴り抜かれた。


轟音。


いや、

轟音すら、途中で壊れた。


形あるものは、再生しない。


再生という選択肢が、消えた。





その頃。


空では、

ラグニエルが、静かに両手を広げていた。


王都アルディア上空。


歪みは、もはや“穴”ではない。


無数の事象が渦巻く、

不定形の海。


ラグニエルは、目を閉じる。


『……今なら』


創造神の力は、100%引き出せる。


破壊神を縛る鎖は、

すべてカナトに委ねられている。


『扉よ』


歪みが、反応する。


『閉じろ』


空間が、球体を描き始める。


事象が、逃げようと暴れる。


だが、

逃げるという方向性そのものが封じられる。


圧縮。


歪みは、丸くなる。


さらに圧縮。


事象同士が、軋み、悲鳴を上げる。


『……耐えろ』


ラグニエルの声は、震えていない。


ただ、淡々と。


『これは、世界の後始末だ』


球体は、家ほどの大きさになる。


さらに。


塔ほど。


家。


人。


拳。


――飴玉。


その瞬間。


地上で。


形あるものが、完全に“未定義”になった。


存在しない。

消えたのでもない。


定義できない。


カナト=ダラは、立ち止まる。


破壊する対象が、なくなったからだ。


空を見上げる。


そこには、

小さな球体と、

それを支えるラグニエル。


世界は、静かだった。


――だが、まだ終わっていない。


それを、

誰よりもカナト自身が知っていた。


36話 完


次回はいよいよ最終回!

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