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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第二章

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32/39

32. 禍々しいもの


玉座に座るそれは、退屈そうだった。


王都アルディア。

崩壊寸前の城。

混乱の只中にある世界。


だが――

形ある王にとっては、どれも刺激にならない。


「……なるほど」


その声は、静かだった。


怒りでも、憎しみでもない。

純粋な思いつき。


形ある王は、片手を上げた。


そして――

指を鳴らした。


パチン。


音は、小さい。


だが次の瞬間。


世界各地で、

同時に“崩壊”が起きた。


北の大国の城塞が、

内部から裂ける。


海上国家の王都が、

一瞬で“腐敗”する。


山岳国家は、

“存在していた事実”ごと、

削り取られた。


同時視聴者数:11,500,000


《なにが起きてる》

《国が……消えた?》

《指鳴らしただけだぞ》


世界は、

理解が追いつく前に壊れた。


形ある王は、首を傾げる。


「ほう」


「形があると、壊れるな」


次の瞬間。


玉座の周囲に、

黒い亀裂が無数に走る。


そこから――

「禍々しいもの」が溢れ出した。


一体、十体、百体。


いや――


一万を超える。


形を持つが、定義を持たない。

生き物のようで、生きていない。

形ある王の思いつきの実験


同時視聴者数:12,570,800


《化け物増えすぎ》

《軍勢どころじゃない》

《これ無理だろ》


騎士団が迎撃に出るが、

数が違いすぎる。


世界は、

完全な殲滅フェーズに入った。


その時。


カナトが、マイクに向かって言った。


「――全神格」


一拍。


「干渉許可を、要請する」


コメント欄が、

爆発する。


《来た》

《全神参戦》

《神々のスパチャ合戦》


《創造神ラグニエル》

『承認する』


空が、

割れた。

オーロラのようなカーテンが王都を包み込む




《全知神オルメギア》

『敵性存在、数一万三千七百二』


『世界滅亡までの予測時間――

七分三十秒』



《戦神バルド》

『……やれやれだな毎回毎回』


【スーパーチャット ¥100,000,000】

「神の進軍」


戦場に、

“踏み込み”そのものが降りる。


禍々しいものたちは、

衝撃だけで粉砕された。


《精霊王イリシア》

『精霊ちゃんたち、総動員ね』


【スーパーチャット ¥80,000,000】

「全精霊契約・一時解放」


風が裂き、

水が縛り、

大地が押し潰す。


事象と事象が、

真正面から衝突する。


《魔王ゼル=ヴァルド》

『数で押す気か』


【スーパーチャット ¥120,000,000】

「影の裏切り」


禍々しいものたちの

影が動き、自身を食べ始めた。



《全知神オルメギア》

『敵性存在、残存数――七千』


『減少率、想定以上』


《笑う神チョケ》

『あはははは!

これは楽しいねぇ!』


【スーパーチャット ¥80,000,000】

「愉悦拡散」


禍々しいものの一部が、

突然、互いを攻撃し始める。


混沌が、

混沌を食う。


《世界蛇神》

『輪廻を越える存在か……』


【スーパーチャット ¥90,000,000】

「世界拘束・輪環」


巨大な蛇影が、

戦場を囲む。


《海神ネレウス》

『陸に出るのは好かんがな』


【スーパーチャット ¥70,000,000】

「大潮」


海が、

王都の外周まで押し寄せ、

禍々しいものを飲み込む。


《砂漠王アシュ=ラーム》

『砂に還れ』


【スーパーチャット ¥60,000,000】

「風砂王権」


《天輪評議会・観測官》

『観測開始』


『……記録する価値がある』


神々が、

一斉に戦場へ介入する。


空間は裂け、

事象は衝突し、

世界は必死に耐えていた。


だが。


形ある王は、

その様子を眺めながら――


笑った。


「なるほど」


「神とは、こういう形か」


玉座から立ち上がり、

ゆっくりと歩き出す。


「私は――」


「すべての形を破壊した先にあるものを、知りたい」


神々の動きが、

一瞬、止まる。


「形を壊し」


「概念を壊し」


「役割を壊し」


そして――


「その先に」


「“唯一”があるなら」


形ある王は、

空を見上げた。


「それを、神と呼ぶのだろう?」


沈黙。


カナトは、

小さく息を吐いた。


(……こいつ)


(神に、なろうとしてる)


同時視聴者数:15,900,000


この存在は、

災厄ではない。


侵略者でもない。


――「進化」だ。




32話 完



次回もお楽しみに!

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