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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第二章

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31/39

31. 更新


最初に起きたのは、

音だった。


ズ……ン


低く、重い。

雷でも地鳴りでもない。


“世界が位置をずらした音”。


王都アルディアの玉座で、

形ある王が――

初めて、立ち上がった。


「……確認」


声は静かだった。


だが、

その瞬間。


王城の床に、

無数の亀裂が走った。


ただ割れたのではない。

“意味を持って”裂けた。


一直線に、

王都の外壁へ向かって。



「来るぞ!!」


騎士団副団長、ベアレインが叫ぶ。


重装騎士たちが盾を構え、

魔導兵が後方で展開。


その中央に――

エイリンがいた。


「大丈夫」


剣を握る手は震えていない。


「王都は、守る」


次の瞬間。


亀裂から、

“何か”が噴き出した。


いや、

噴き出したのは――


腐敗だった。


金属が赤錆に変わる。

石畳が崩れ、

空気が濁る。


「防御魔法――!!」


間に合わなかった。


魔法陣が完成する前に、

術式そのものが腐った。


「な、何が……!」


形ある王が、

指を一本、動かす。


それだけで、

事象が切り替わる。


「“腐敗”は、

防御より先に適用される」


理解ではない。

仕様だった。



「前進!!」


ベアレインが突っ込む。


剣撃。

衝撃。

確かな手応え。


――だが。


刃が、

途中で折れた。


正確には、

“剣であるという性質”を失った。


「な……!」


次の瞬間、

ベアレインの頭が吹き飛ばされる。



「破裂」が、

彼の頭部に“選ばれた”だけだ。


エイリンが走る。


「下がって!!」


剣を振るう。

光が走る。


斬った――はずだった。


だが、

形ある王の体は、

“斬られた形”を取らなかった。


「……」


形ある王は、首を傾げる。


「攻撃、という概念は理解した」


「だが――」


一歩、踏み出す。


その瞬間。


エイリンの背後に、

亀裂が生まれた。


「っ……!」


避けた。


だが、

完全ではない。


肩が、腐り始める。


「エイリン!!」



王城の上空。


配信画面は、凍りついていた。


同時視聴者数:8,777,000


《無理》

《防御できてない》

《これ今までと違う》


《戦神バルド》

『……力押しが通らん』


《精霊王イリシア》

『精霊が、

“命令”を受け付けてない』


《魔王ゼル=ヴァルド》

『壊す前に、

壊れ直す……か』


形ある王は、

彼らを見上げもしない。


「神々」


その一言で、

空気が沈む。


「お前たちは、

“干渉”だ」


「だが私は――」


玉座の前に立ち、

世界を見渡す。


「"現象"そのものだ」



カナトは、歯を食いしばった。


「……やばいな」


リュミエールが、

低く言う。


「ええ」


「これは戦争ではありません」


「更新です」


そのとき。


世界のどこかで、

何かが――


軋んだ。


誰にも見えない場所。


さびなきの鎖が、

一つ――


きし、と音を立てた。



形ある王は、

ゆっくりと笑った。


初めての、

感情表現。


「面白い」


「この世界はまだ」


「何か隠しているな」



31話 完


次回もお楽しみに!

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