表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: default


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/17

3. 公開尋問

「――貴様、神を騙った罪で騎士団詰所まで来てもらう」


女騎士の宣告に、街の空気が一変した。

周囲の人間がざわつき、視線が突き刺さる。


(街の人々)

「神を騙る……?」

「やっぱり怪しい奴だったか」

「処刑されるぞ……」


俺は、思わずスマホを握りしめた。


「ちょ、ちょっと待ってください! 俺は別に――」


「黙れ。言い訳は後で聞く」


有無を言わさぬ口調。

これは……逃げ場がない。


同時視聴者数:1,024


四桁いってるんだけど。


『来たな』

『裁判配信だ』

『この世界、娯楽が少ないからな。人が集まる』


「娯楽扱いすんな……」




詰所の前に設けられた石畳の広場。

俺は衆人環視の中、台の中央に立たされた。


女騎士が名乗る。


「私は王国騎士団団長、エイリン・ノクティエル。

 今より、被疑者灰原カナトの公開尋問を行う」


……公開って言ったよね?


「貴様は先ほど、“神々と通信している”と発言したな」


「……はい」


「証拠は?」


一斉に向けられる視線。

喉が、からからに乾く。


同時視聴者数:2,300


 『証明してやるとするか』

 『派手にいこう』

 『神々、準備はいいか?』


俺は、小さく息を吸った。


「……視聴者の皆さん。

 ちょっと、力を貸してほしいです」


一瞬の沈黙。


次の瞬間――


【スーパーチャット ¥1,000,000】

《戦神バルド》

『見せてやれ』


【スーパーチャット ¥800,000】

《全知の神オルメギア》

『可視化しよう』


【スーパーチャット ¥1,200,000】

《運命の女神リラ》

『盛り上げますね』


空気が、震えた。




突如、俺の背後に巨大な光の紋章が浮かび上がる。


「なっ……!?」


観衆が息を呑む。


空に、文字が刻まれていく。


《現在の視聴神数:37柱》

《総スパチャ額:¥3,000,000》


「……読める……?」

「空に、文字が……」


エイリンの顔色が変わった。


「こ、これは……高位神術……?」


 『まだ序盤だ』

 『もっとやるか?』

 『一度“理解”させてやろう』


【スーパーチャット ¥5,000,000】

《神々の総意》

「世界法則・一時改変」


瞬間――

重力が、消えた。


人々が浮き上がり、悲鳴を上げる。

だが俺の足元だけは、しっかりと地に着いている。


「な、何が起きている……!?」


エイリンが膝をつく。


俺は、震える声で言った。


「俺は……神を名乗ってません」


空に、最後の文字が浮かぶ。


《この配信者は「事実」を述べています》


重力が、元に戻った。




広場は、沈黙に包まれていた。


エイリンは、ゆっくりと頭を下げた。


「……非礼を詫びる。

 灰原カナト殿。

 貴殿は――神に選ばれし観測者だ」


どよめきが、歓声に変わる。


「本物だ……!」

「神が、認めた……!」

「すげぇ……!」


同時視聴者数:10,000


 『無双開始だな』

 『ここからは楽だ』

 『次は何を壊す?』


俺は、乾いた笑いを漏らした。


「……壊す前提なの?」


だが、理解していた。


――もう、後戻りはできない。


神々のスパチャという最強の武器を持ってしまった以上、

この世界は、俺を放ってはおかない。


「……次の配信も、よろしくお願いしまーす」


その時だった。


《???》

『よぉ……人間』


コメント欄に、見慣れない名前が流れた。



「……ん?」


俺は画面を見て首をかしげる。


「新規さん? 初見いらっしゃい」


《魔王ゼル=ヴァルド》

「人間よ。貴様は何者だ」


……え?


同時視聴者数:10,001


(第三話・完)

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ