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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第二章

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29/39

29. 形あるもの


王都アルディア上空の扉が、

ほんのわずか、息を吸うように開いた。


ギィ……


その隙間から、

“何か”が落ちてくる。


落下ではない。

出現でもない。


「在ることになった」だけだ。



それは、人の形をしていた。


だが――

どこかがおかしい。


輪郭が、確定していない。

手足はあるのに、関節が曖昧。

顔があるはずなのに、表情が定まらない。


そして何より。


それの周囲が、さまざまな"事象"で歪んでいた。


地面に、細い線が走る。


"亀裂"


空気が、黒ずむ。


"腐敗"


光が、遅れる。


"遅延"


「……敵襲!!」


王都警鐘が鳴り響く。



騎士団が動いた。


白銀の鎧。

統率された隊列。


最前線に立つのは――

副団長、ベアレイン。


「対象確認!」


「人型――だが、魔物ではない!」


後方には、エイリン。


剣を抜き、息を整えている。


「……嫌な感じがする」


「近づくな」


その直感は、正しかった。



騎士団が踏み込んだ瞬間。


世界が、先に壊れた。


地面が割れ、

鎧が錆び、

刃が崩れた。


攻撃を受けたわけじゃない。


“そうなる事象”を選ばれただけだ。


「なっ――!?」


「剣が……!」


ベアレインが吼える。


「後退!!

距離を取れ!!」


だが、距離という概念が

すでに意味を失っていた。


人型が、首を傾げる。


声が、響いた。


『……ここは』


音ではない。

振動でもない。


意味が、直接流れ込んでくる。


『形が、多い』


エイリンが歯を食いしばる。


「……喋ってる?」


『違う』


『理解が、起きている』


次の瞬間。


ベアレインの背後で、

騎士が一人、崩れ落ちた。


死因は――

腐敗。


触れていない。

攻撃もない。


ただ、「そうなった」。


「撤退!!

全軍撤退!!」


騎士団は、

敗北した。



形あるものは、

進軍しなかった。


歩いた。


王城へ。


門は、開かなかった。


代わりに――

門が「意味を失った」。


ただの石の集合体に戻り、

崩れ落ちる。


玉座の間。


カーン王は、立っていた。


震えていない。

逃げてもいない。


「……名を名乗れ」


形あるものは、王を見る。


『名』


『それは、便利だ』


『だが、私は――』


一拍。


『“形あるもの”』


王直属兵、アッシャーが前に出る。


「王から離れろ」


一瞬後。


アッシャーの鎧が、

内側から潰れた。


骨折ではない。

圧迫でもない。


「形状不適合」


そう判定されたかのように。


アッシャーは、

床に転がり、動かなくなった。


「……化け物め」


カーン王が言う。


形あるものが、近づく。


『王』


『この位置は、象徴だ』


『象徴は――』


王の脳天に、

指を当てる。


力は、いらなかった。


一点。


“存在の支点”を突かれただけ。


カーン王は、

言葉を残さず倒れた。


死。



世界が、悲鳴を上げた。


王都は混乱。

各国は恐慌。

配信画面は、完全崩壊。


《何今の》

《王殺された??》

《無理無理無理》


同時視聴者数:

1,800,000


カナトは、画面を見つめていた。


言葉が、出ない。


《創造神ラグニエル》

『……最悪の展開だ』


『“形”を、学習した』


『この世界の“役割”を――

理解し始めている』



カナトが、呟く。


「……ラグニエル」


「こいつを止める方法は――」


ラグニエルが、答えなかった。


沈黙が、

すべてを語っていた。



29話 完


次回もお楽しみに!

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