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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第二章

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27/39

27. ノックノッカー


王都アルディアは、奇妙な日常に戻っていた。


市場は開き、

子どもは走り、

兵士は配置につく。


そして――

空の扉は、そこにある。


同時視聴者数:72,418


「……相変わらず、邪魔だな」


カナトは欠伸まじりに空を見上げた。


コン


軽い音。


誰も振り返らない。


《また鳴った》

《最近デフォ音》

《BGM》


《創造神ラグニエル》

『問題ない』


即答だった。


『それは、私が作った“扉”に付随する現象だ』


『扉を定義すれば、

“叩かれる可能性”も同時に定義される』


『私はそれを、便宜上

 "扉を叩くもの(ノックノッカー)"と呼んでいる』


リュミエールが頷く。


「副作用ですね」


『そうだ』


『深刻ではない』


コン


音は、いつも通りだった。


問題は――

別の場所にあった。


同時視聴者数:91,003


コメント欄の、さらに下。


突然、一行だけが流れる。


《▇▇▇ ▇▇▇▇ ▇▇》


「……あ?」


視聴者が気づくより早く、

ラグニエルの反応が来た。


《創造神ラグニエル》

『……それは、扉とは関係ない』


空気が、わずかに張る。



『これは――』


一拍。


『“私の管理外”だ』


コメント欄が、静まる。


《管理外って》

《創造神でも?》


ラグニエルは、初めて長く沈黙した。


そして、観念したように続ける。


《創造神ラグニエル》

『説明しよう』


『いずれ話さねばならない』


画面に、

見たことのない“鎖”の神紋が浮かんだ。


『破壊神=ダラ』


その名前だけで、

オルメギアの文字が一瞬、途切れた。


『彼は、神であり神ではない』


『概念でも、意思でもない』


『破壊という行為を、

永久に続ける存在だ』


『止まらない』


『止められない』


『だから――』


文字が、重くなる。


『私は、彼を封じている』


『さびなきの鎖で』


リュミエールが、息を呑む。


「……封印、ではなく」


『拘束だ』


『破壊が行われるたび、

鎖は砕かれる』


『私は常に、

新しい鎖を生成し続けている』


《え》

《無限労働じゃん》


ラグニエルは、淡々と告げた。


『現在』


『私の力の、およそ九割は』


『破壊神=ダラの拘束維持に使われている』


静寂。


『だから』


『この扉に割ける力は、

残りの一割に過ぎない』


『鍵は、永遠ではない』


『限界は――』


言葉が、そこで止まった。


ギィ……


音がした。


今までとは、違う。


叩く音ではない。


擦れる音。


誰もが、空を見上げた。


扉が――

ほんの、わずかに。


開いていた。


隙間の向こうは、暗い。


何も、見えない。


だが。


「……近いな」


カナトが、静かに言った。


ラグニエルの文字が、最後に浮かぶ。


《創造神ラグニエル》

『……扉の向こう側は――』


一拍。


『この世の道理が

  一切通じない』


ギィ……


扉は、止まった。


だが――

閉じてもいなかった。



27話 完


次回もお楽しみに!

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