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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第二章

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26/39

26. 外交


⸻世界大戦から数日後


同時視聴者数:50,035


空が、ざわついた。


最初は雲だと思った。

次に、鳥だと思った。


だが――違う。


大鷲だ。


しかも一羽や二羽じゃない。

無数。


翼を広げれば城壁を越える巨体。

その背に、人が乗っている。


王都アルディアの上空を、

威圧するように旋回していた。


《なんだあれ》

《騎乗飛行部隊?》

《また敵国か?》



《戦神バルド》

『撃ち落とすか?』


「いや」


カナトは、即答した。


「迎える」



大鷲たちはゆっくりと降下し、

王城前の広場へと着地する。


先頭の鷲から、男が降りた。


豪奢な外套。

無駄に多い勲章。

威圧ではなく、「威厳」を見せる立ち方。


「失礼する」


「我々は、"アウレオス帝国"の使者だ」


コメント欄が、どよめく。


《大国きた》

《メインとは次元違う》

《世界トップ層じゃん》


男は空を見上げた。


王都アルディア上空に固定された、扉。


「単刀直入に言おう」


「我々は、あの扉を

政治的に利用したい」


空気が、わずかに冷える。


「管理権、観測権、

必要であれば軍事的抑止力としての運用」


「小国では扱いきれまい」


「よって、我々が主導する」


その一歩前に出たのは――

カナトではなかった。


リュミエール。


元・賢王会代表。

今は、カナトの参謀役。


静かで、理知的で、

“戦争を何度も沈めてきた女”。


「……なるほど」


彼女は微笑んだ。


「“利用”という言葉が、

こんなに正直に聞こえるのは久しぶりですね」


使者は眉をひそめる。


「あなたは?」


「リュミエールです」


「この国の、参謀をしています」


彼女は、扉を見る。


「質問します」


「その扉が、

開いた場合」


「あなた方は、

何が出てくるか把握していますか?」


使者は、即答しない。


「……未知ではあるが」


「では、続けます」


「それが人ではなく、

兵器でもなく、

神でもない――」


「“事象”だった場合」


「責任は、誰が取るのですか?」


沈黙。


そこに、別の文字が重なる。


《全知神オルメギア》


『補足しよう』


『アウレオス帝国の計画では』


『最終的な被害集中地点は、王都アルディア』


『住民、ならびに――

エイリンも含まれる』


その名前が出た瞬間。


使者の目が、わずかに動いた。


「……それも、交渉材料だ」


「彼女への危害を

我々が“抑える”こともできる」


その瞬間。


カナトが、初めて前に出た。


声は低い。


「それだけは」


一拍。


「やめた方がいい」


使者が、睨む。


「脅しか?」


カナトは、目を逸らさない。


「いや」


「忠告」


「お前たちのための」


空気が、完全に止まった。


使者は、話題を変えるように言う。


「君の存在が、世界を恐怖に陥れている」


「扉も、歪みも――

 君が原因だ」


「世界中が、君を憎んでいる」


「ヘイトは、すべて君に向いている」


その言葉を、

リュミエールが引き取った。


「ええ」


「その通りです」


使者が、わずかに勝ち誇る。


だが。


「――だからこそ」


彼女は、カナトを見る。


「あなた方は、

一つ致命的な誤算をしています」


「この人にとって」


「炎上は――」


一瞬、間を置いて。


「大好物です」


カナトが、肩をすくめる。


「そうゆーこと」


次の瞬間。


ズンッ


空間が、切り抜かれた。


遥か彼方。


アウレオス帝国の中心広場にあったはずの――

巨像。


そして、

燃え盛る国旗。


それらが、そのまま

王都アルディアの広場に“落ちてきた”。


同時視聴者数:350,055


土煙。

悲鳴。

沈黙。


《魔王ゼル=ヴァルド》

『手土産だ』


黒い文字。


【スーパーチャット ¥10,000,000】

「空間切断」

「一点指定」



カナトは、燃える国旗を見て笑った。


「ほーら」


「燃えろ燃えろぉ」


外交は、終わった。


世界は、さらに燃えた。



26話 完



次回も楽しみに!

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