23. 騎士(エイリン・ノクティエル)
世界は、戻ってきていた。
完全ではない。
だが――
確かに、息をしている。
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配信画面。
カメラ越しに映る王都アルディアは、
少しだけ色が薄い。
それでも、人々は動き、
空は青く、
鐘は――今度は、正しい時間に鳴っていた。
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同時視聴者数:
300,000 → 520,000 → 800,000
『生きてた……』
『戻ってきた』
『世界、復旧した?』
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灰原カナトは、椅子に腰掛けたまま、
画面を見つめていた。
その腕の中には――
エイリン・ノクティエル。
意識はある。
だが、体はまだ重そうだった。
「……おい」
カナトが、低く言う。
「勝手に世界と殴り合うな」
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エイリンは、かすかに目を開ける。
「……申し訳、ありません」
「ですが――」
小さく、笑う。
「盾が役に立ったなら……」
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カナトは、言葉に詰まった。
配信越しに、
世界中がその沈黙を見ている。
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《全知の神オルメギア》
『……結論が出た』
久しぶりに、文字が浮かんだ。
『DoSは、失敗した』
『理由は単純だ』
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《戦神バルド》
『壊れぬ個体が、存在した』
《精霊王イリシア》
『揺らがないですね♪』
《魔王ゼル=ヴァルド》
『推しが1人増えたわ』
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同時視聴者数:900,000
『神々が素で褒めてる』
『盾がバグ』
『エイリン最強』
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リュミエールは、
少し離れた場所でその光景を見ていた。
参謀として。
そして――
もう一人の仲間として。
「……世界は」
彼女が、静かに言う。
「“演算不能”な存在を排除できませんでした」
「盾が、あまりにも非効率だったから」
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カナトは、鼻で笑う。
「効率悪くて結構」
「人が人を守るのに、
計算なんて要らない」
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その言葉に、
神々が一瞬、沈黙した。
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《全知の神オルメギア》
『……認めよう』
『この世界は』
『人間を、甘く見ていた』
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王都の外。
封印されていた敵たちは、
音もなく、消えていく。
削除ではない。
破壊でもない。
“役割を失った”だけだった。
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DoSは、敗北した。
世界を落とすことも、
カナトを押し潰すことも、
できなかった。
理由は、ただ一つ。
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世界よりも、
システムよりも、
神よりも――
一人の騎士が、前に立っていたから。
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配信の最後。
カナトは、カメラを見る。
その腕の中の重みを、
確かめるように。
「……第一章、終わりです」
「世界がどうとか、
神がどうとか」
一拍。
「結局――」
「一番強かったのは、
自分の盾でした」
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エイリンが、
ほんの少しだけ、眉をひそめる。
「……それは、褒め言葉ですか?」
カナトは、即答した。
「当たり前だろ」
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同時視聴者数:1,200,000
『最高の最終回』
『盾エンド神』
『続きは?』
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カナトは一呼吸おいて言う。
「とりあえず」
「配信終了します」
「ご視聴ありがとうございましたぁ♪」
第一章・完
第一章終わりです。
お付き合いありがとうございました!
また、次章に期待してください!




