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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第一章

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23/39

23. 騎士(エイリン・ノクティエル)


世界は、戻ってきていた。


完全ではない。

だが――

確かに、息をしている。



配信画面。


カメラ越しに映る王都アルディアは、

少しだけ色が薄い。


それでも、人々は動き、

空は青く、

鐘は――今度は、正しい時間に鳴っていた。



同時視聴者数:

300,000 → 520,000 → 800,000


『生きてた……』

『戻ってきた』

『世界、復旧した?』



灰原カナトは、椅子に腰掛けたまま、

画面を見つめていた。


その腕の中には――

エイリン・ノクティエル。


意識はある。

だが、体はまだ重そうだった。


「……おい」


カナトが、低く言う。


「勝手に世界と殴り合うな」



エイリンは、かすかに目を開ける。


「……申し訳、ありません」


「ですが――」


小さく、笑う。


「盾が役に立ったなら……」



カナトは、言葉に詰まった。


配信越しに、

世界中がその沈黙を見ている。



《全知の神オルメギア》

『……結論が出た』


久しぶりに、文字が浮かんだ。


『DoSは、失敗した』


『理由は単純だ』



《戦神バルド》

『壊れぬ個体が、存在した』


《精霊王イリシア》

『揺らがないですね♪』


《魔王ゼル=ヴァルド》

『推しが1人増えたわ』



同時視聴者数:900,000


『神々が素で褒めてる』

『盾がバグ』

『エイリン最強』



リュミエールは、

少し離れた場所でその光景を見ていた。


参謀として。

そして――

もう一人の仲間として。


「……世界は」


彼女が、静かに言う。


「“演算不能”な存在を排除できませんでした」


「盾が、あまりにも非効率だったから」



カナトは、鼻で笑う。


「効率悪くて結構」


「人が人を守るのに、

計算なんて要らない」



その言葉に、

神々が一瞬、沈黙した。



《全知の神オルメギア》

『……認めよう』


『この世界は』

『人間を、甘く見ていた』



王都の外。


封印されていた敵たちは、

音もなく、消えていく。


削除ではない。

破壊でもない。


“役割を失った”だけだった。



DoSは、敗北した。


世界を落とすことも、

カナトを押し潰すことも、

できなかった。


理由は、ただ一つ。



世界よりも、

システムよりも、

神よりも――


一人の騎士が、前に立っていたから。



配信の最後。


カナトは、カメラを見る。


その腕の中の重みを、

確かめるように。


「……第一章、終わりです」


「世界がどうとか、

神がどうとか」


一拍。


「結局――」


「一番強かったのは、

自分の盾でした」



エイリンが、

ほんの少しだけ、眉をひそめる。


「……それは、褒め言葉ですか?」


カナトは、即答した。


「当たり前だろ」



同時視聴者数:1,200,000


『最高の最終回』

『盾エンド神』

『続きは?』



カナトは一呼吸おいて言う。


「とりあえず」

「配信終了します」


「ご視聴ありがとうございましたぁ♪」



第一章・完



第一章終わりです。

お付き合いありがとうございました!


また、次章に期待してください!

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