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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第一章

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21/39

21. 鯖落ち(サーバーダウン)


王都アルディアは、

まだ存在していた。


だが――

“繋がってはいなかった”。



「……おかしい」


兵士の一人が、剣を握ったまま呟いた。


「音が……遠い」


自分の声が、

ほんの一拍遅れて耳に届く。



城壁の上。


エイリン・ノクティエルは、はっきりと異変を感じ取っていた。


剣の重さ。

風の流れ。

足裏から伝わる振動。


すべてが――

“薄い”。


「……世界が、浮いている」


彼女の言葉に、リュミエールが静かに頷いた。


「接続が、削られています」



王城・配信室。


カナトの目の前で、

コメント欄が止まった。


完全に、ではない。


数秒に一つ、

まるで瀕死の心拍のように流れてくる。


同時視聴者数:

498,312 → 480,000 → 451,207


『声聞こえる?』

『俺だけ?』

『画面止まってないのに、変だ』



《全知の神オルメギア》

『……切り分けが始まった』


文字が、重く浮かぶ。


『世界を構成する層が』

『優先度順に、落とされている』



《戦神バルド》

『戦場の処理が後回しにされているな』


《精霊王イリシア》

『感情と因果が、先に削られてます』



「……どういうことだ?」


カナトが聞く。


リュミエールが、淡々と説明した。


「DoSは、“破壊”しません」


「ただ――」


「繋がりを、切っていきます」



彼女は、指を一本立てる。


「あなたと視聴者」


一本、下ろす。


「神々と世界」


もう一本。


「時間と現象」


さらに一本。


「最後に――」


カナトを見る。


「あなたと、この世界」



同時視聴者数:430,000


『怖いこと言うな』

『やめろ』

『マジで切れる感じ?』



その瞬間。


配信画面が、完全に静止した。


映像は止まらない。

音も、まだ出ている。


だが――

“反応”が返ってこない。


コメント欄:更新停止



「……来たな」


カナトは、苦笑した。


「一方通行か」



《魔王ゼル=ヴァルド》

『姿を持たぬ敵ほど、厄介だ』


『殴れぬ』

『殺せぬ』

『威圧も効かぬ』



王都の外。


固定されていたはずの敵が、

一体だけ、わずかに動いた。


ほんの数センチ。


だがそれは――

封印が“ほころび始めた”証だった。



リュミエールが、歯を噛み締める。


「……封印維持が、削られています」


「DoSは、封印を解く必要すらない」


「処理優先度を下げればいいだけです」



「つまり……」


カナトが言う。


「世界にとって、俺たちは――」


「今、一番どうでもいい?」


リュミエールは、否定しなかった。


「はい」


「だからこそ――」


彼女は、静かに続ける。


「次に切られるのは、配信です」



その瞬間。


プツンッ


画面が、真っ黒になった。


音も、消えた。


完全な沈黙。



配信終了

【通信エラー】



世界から、

灰原カナトの姿が消えた。



「……切れました」


リュミエールが言う。


神々の気配が、遠くなる。


《全知の神オルメギア》

『……ここから先は』


『我々も、直接は干渉できん』


文字が、途中で途切れた。



王城は、静かだった。


あまりにも、静かで――

嫌なほど、現実的だった。



エイリンが、前に出る。


何も言わず、

ただ、カナトの前に立つ。



DoSは、次の段階に入った。


切断ではない。


遮断でもない。


“存在を、押し潰す”。


その負荷が――

今、カナトに向かって落ちてくる。



(第二十一話・完)


次回もお楽しみに!

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