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異世界で配信してたら神々がスパチャしてきた  作者: def
第一章

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19/39

19. 処理限界(オーバーフロー)


王都アルディアの空は、まだ青かった。


だが――

その下で起きている光景は、もはや“災害”だった。



西門。


騎士団第三部隊が、膝をついていた。


「くそ……」

「また、湧いた……!」


倒したはずの魔獣が、

同じ個体番号、同じ傷跡のまま立ち上がる。


首を落としたドラゴンが、

数分後には“別の角度”から再出現する。


「……再生じゃない」

「複製だ……!」



同時視聴者数:580,000


『無限復活バグ』

『同一個体って言った?』

『完全にシステム壊れてる』



王城・指揮室。


リュミエールは、地図から目を離さずに言った。


「敵は、増えていません」


「……は?」


エイリンが聞き返す。


「正確には――

“増えたことにされている”」


カナトが、ゆっくりと瞬きをした。


「それ……どういう意味だ?」



リュミエールは、指を鳴らした。


地図の赤点が、一瞬だけ揺らぐ。


「世界は今、

存在判定の処理が追いついていません」


「本来なら、

討伐 → 削除 → 空き領域確保

という流れがある」


「ですが――」


彼女は、はっきりと言った。


「削除が失敗している」



《全知の神オルメギア》

『……なるほど』


文字が浮かぶ。


『消えたはずの“存在情報”が』

『回収されずに残留している』


《戦神バルド》

『だから、斬っても終わらんわけだ』


《魔王ゼル=ヴァルド》

『面倒な真似を』



同時視聴者数:620,000


『神が普通にシステム用語』

『世界=サーバー確定』

『怖すぎる』



「じゃあ……」


カナトは、低く言った。


「誰かが、わざと――

世界を重くしてる?」


リュミエールは、頷いた。


「はい」


「目的は単純です」


彼女は、カナトを見た。


「鯖落ちを起こすこと」



その瞬間。


配信画面が、わずかに歪んだ。


音声が、一拍遅れる。


同時視聴者数:

620,000 → 610,000 → 590,000


『今ちょっとラグった』

『音ズレした』

『俺の環境じゃない』



「……来てるな」


カナトは、静かに言った。


「DoS攻撃、ってやつか」


リュミエールは、少しだけ目を見開いた。


「その単語……どこで?」


「前の世界」


肩をすくめる。


「アクセス集中させて、

正常な動作を潰すやつ」



《全知の神オルメギア》

『的確だ』


『この世界は』

『存在するだけで、計算を必要とする』


『無限増殖は』

『“計算を浪費させる”最悪の方法だ』



王都上空。


突然、巨大な魔法陣が出現した。


いや――

魔法陣ですらない。


ただ、

“召喚予定地の残骸”のような歪み。


そこから――


ドラゴンが、落ちてくる。


一体、二体、三体。



「来た……!」


エイリンが剣を抜く。


その背後で、

リュミエールが小さく息を吸った。


「……では、参謀として提案します」


カナトが頷く。


「聞こう」



「迎撃では、負けます」


「殲滅でも、意味がありません」


彼女は、静かに続けた。


「なら――」


「存在を“処理しない”戦い方をします」



同時視聴者数:650,000


『???』

『処理しない?』

『どういうこと』



リュミエールは、微笑んだ。


「削除できないなら」


「保持したまま、固定する」


「神々の力で、上書きします」



《精霊王イリシア》

『揺らがせないってことですね♪』


《戦神バルド》

『封印戦か』


《魔王ゼル=ヴァルド》

『面白い』



空が、震えた。


精霊が地を縫い、

戦神の刻印が空間を縛り、

魔王の影が“逃げ場”を消す。


倒さない。


消さない。


ただ、動けなくする。



「……重いな」


カナトは、呟いた。


配信画面が、また一瞬だけ乱れる。


同時視聴者数:

650,000 → 640,000



リュミエールが、低く言った。


「ですが、これは――」


「時間稼ぎです」


「敵は、

“もっと直接的な手”を使ってきます」



エイリンが、剣を構え直す。


「……カナト殿」


「はい」


「次は、あなた自身が狙われます」



王都は、まだ立っている。


神々も、仲間も、健在だ。


だが――

世界は確実に、重くなっていた。


これは、前哨戦。


本当の“負荷”は、これから来る。



(第十九話・完)


次回もお楽しみに!

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