村瀬翔の実力
選挙戦も終盤に差し掛かった瞬間、僕は村瀬と一緒に資料整理をしていた。
僕の選挙活動の慎重として、生徒たちからの意見をアンケートを実施していたのだ。
「へえ……『食堂のメニューを増やしてほしい』っていう意見が多いな」
僕が紙をめくりながら言いながら、村瀬は静かに聞いていた。
「地味な意見だが、実は日常的に使うものほど生徒たちの支持を集めやすいんだ」
「なるほどな……」
彼はこういう分析が得意だった。 遼や一条さんのように後先考えないタイプではないが、冷静に戦況を見据え、確実に勝てる戦略を提案する。
しかし、そんな彼が「参謀」として本領を発揮したのは――
討論会の裏で起こったある事件がきっかけだった。
討論会の前に、村瀬が僕を呼び止めた。
「悠斗、ちょっとまずいことになった」
「え?」
彼はスマホを見せながら続けた。
「選挙管理委員会のデータに、「洞察数字の変動」がある」
「洞察数字の変動?」
「ここを見てみろ」
村瀬は画面をスクロールしながら説明する。
「昨日までのアンケート結果と、今日発表された『候補者支持率』のデータに、不自然な変動がある」
「どういうことだ?」
「俺たちの支持率が、昨日までと比べて大幅に下がっているんだ。それも、一部の学年だけすごく。」
僕はデータを見て驚いた。
確かに、2年生の支持率は大幅に低下していた。
でも、他の学年のデータはそこまで変動していない。
「これって……もしかして」
「ああ、誰かがデータを操作している可能性が高い」
村瀬はそう言い放った。
「でも、どうやって……?」
「もしかしたら、選挙管理委員会に“協力者”がいる」
「内部に協力者?」
「誰かが悠真陣営に協力して、俺たちの支持率を下げるようなデータを作ったんだ」
(……そんなことまでやるのか、神代悠真の陣営は!?)
「悠斗、このままじゃまずい」
「それで、どうすればいいですか?」
村瀬は目を閉じて、一瞬考えた後――静かに口を開いた。
「カウンターを仕掛ける。」
「カウンター?」
「データを改ざんされたなら、俺達は“リアルな数字”を作らない」
村瀬はすぐに動き出しました。
村瀬が考えたのは、「生徒たちのリアルな支持率」をその場で平均化する方法だった。
「俺たちが実際に生徒の前で『選挙アンケート』を取ればいい」
「え?」
「データ改ざんがあったなら、こっちが直接生徒の意見を集めれば、向こうの数字が『操作されたもの』だと証明できる」
「……なるほど!」
「悠斗、君は『生徒と一緒に動く候補』だろ?」
「そうだな!」
とりあえず、討論会当日―
僕達は**「リアル支持率アンケート」**を生徒たちの前で実施することにした。
討論会の終盤、司会の霧崎生徒会長が「候補者の支持率データ」を発表しました。
「ここで最新の支持率を発表します。神代悠真、支持率65%。三崎悠斗、支持率35%。」
会場がざわつく。
「ちょっと待ってください!」
私はすぐに手を挙げました。
「この数字、本当に正しいんですか?」
「ほう?」
霧崎先輩が興味深くそうに僕を見た。
「俺たちは今日、生徒たちに直接アンケートを受けました。その結果が、ここにあります!」
村瀬がすかの間スマホを画面に接続し、その間の大量データを表示します。
「三崎悠斗:支持率52%、神代悠真:支持率48%」
会場がざわめく。
「なんだよ、俺たちの意見と違うじゃん!」
「ってことは、今まで発表されたデータは操作されてた……?」
生徒たちが動いて始めました。
「どういうことだ?」
悠真が鋭く目つきで探る。
「……俺たちが言いたいのは、数字は操作できても、生徒の声は操作できないってことです」
村瀬は静かにそう言い放った。
(……こいつ、マジでかっこいいな)
この瞬間――
神代悠真の完璧なイメージに、初めて『疑念』が生まれました
この出来事によって、僕の選挙戦は再び勢いを増した。
それを裏で支えていたのは、村瀬翔太の「冷静な分析力」と「確実に筋を作る戦略」だった。
「村瀬、お前、やっぱりすごいな……」
「まあな。でも、まだ選挙は終わってないぞ」
クールに言いながらも、どこか満足げな村瀬。
(……あれ、本当に頼れるやつだよな)
とりあえず、僕の選挙戦は、最終章に突入したのだ――。




