松浦彩花の実力
選挙戦が本格的に構成され、日々の活動で僕は果てしなく疲れていた。
「三崎先輩、顔色悪いですよ……ちゃんと休んでますか?」
彩花ちゃんは心配そうに聞いてきた。
「いや、大丈夫……」
(実際は全然大丈夫じゃない。でも、ここで弱い音を吐いたらダメだろ……)
そんなことを考えながら無理をしていたせいで――
「――っ!」
頭がふらついた瞬間、バランスを崩してその場に倒れかけた。
その時だった。
「先輩――!!」
彩花ちゃん咄嗟に僕の腕を掴み、支えてくれた。
小柄なはずなのに、思った以上にしっかりとした力で僕を支えてくれた。
「もう、ダメです! 先輩、ちゃんと休まないと!」
「いや、でも……」
「ダメだったらダメですっ!」
優しい口調で僕を叱る彩花ちゃん。
「ほら、こっちです!」
彩花ちゃんは僕の腕を引っ張り、近くの空き教室へと連れて行った。
そこには、きれいな手作りのお弁当があった。
「……え?」
「ふふ、先輩、ちゃんとご飯食べてます? 選挙活動で、ろくに食事できてないんじゃないかなって思って……」
「これ、もしかして彩花ちゃん?」
「はいっ!いつもお世話になってます先輩のために作りました!」
彩花ちゃんは得意げに胸を張る。
「ほら、ちゃんと食べてくださいね?」
僕がセリフを言いきる前に、彩花ちゃんは箸を取って――
「はい、あーんしてください♪」
「えっ、ちょっ……!?」
「いいから!先輩はちゃんと食べないと、倒れちゃいますよ?」
僕が戸惑っていると、教室のドアが**バンッ!**と開いた。
「悠斗! 霧吹きかけ――」
遼が飛び込んできたの瞬間、彩花ちゃんが僕に向かって「あーん」している現場を目撃。
一瞬、教室の空気が静まり返る。
遼:「……悠斗お前やるなぁ。」
僕:「違う、これはその、違うんだ!」
一条さん:「まあ、彩花ちゃんの手作りお弁当、うらやらしいわね~♪」
村瀬:「選挙戦の最中にこれはなかなかのインパクトだな」
私:「お前ら、辛いな!!」
この一件が噂になり、**「松浦彩花は三崎悠斗陣営の癒し担当」**という評判が生徒たちの間で広まってしまった。
「三崎くん、彩花ちゃんに甘やかされてって本当?」
「いやいや、そういうのじゃなくて……!」
「でも、彩花ちゃんのサポート力は本当にすごいよね!」
こうして、僕の選挙活動は予期せぬ方向で注目されることになった。
(……まあ、彩花ちゃんのおかげでちょっとだけ選挙戦が楽になったのは事実だけど)
「ふふ、先輩のためなら、私何でもしますからね♪」
(……これ、彩花一番ヒロインしてるんじゃないですか?)




