三崎悠斗の活動
公開討論会以降、僕の選挙活動は新たな方向へ進んでいた。
「悠真くんは完璧なリーダーだけど、やっぱりどこか遠い存在ですよね」
一条さんが腕を組みながら言う。
「だから、悠斗先輩はもっと『生徒と一緒に動く』選挙活動をすべきです!」
彩花ちゃんも強く言った。
「俺たちと生徒が一緒に何かをする、ってことか?」
遼が興味深そうに見てみると、村瀬が淡々と淡々とする。
「具体的にどうする? 生徒会の公約として何か実践的な活動を始めるのか?」
西園寺先輩が静かに微笑みながら口を開いてました。
「例えば、生徒たちの意見を聞くために、実際にいろんなクラブ活動や学校行事に参加してみるのはどうだろう?」
「なるほど……悠真くんは『改革』を悩んでいるけど、具体的な実践にはまだ踏み込んでいない。 三崎くんが『実際に動く候補』になれば、対抗馬として十分な存在感を持てる」わ」
こうして、僕の新しい選挙活動――**「生徒と一緒に動く選挙戦」**が始まった。
僕たちは、学校の様々なクラブ活動に参加し、生徒たちと直接交流することにした。
最初に訪れたのは、サッカー部。
「おい悠斗、俺と試合しようぜ!」
遼がノリノリでボールを蹴る。
「いや、お前と勝負して相手になるわけだろ!」
「まあ、頑張って楽しもうぜ!」
そう言って遼は軽くボールを回し始めた。 その動きに気が付けば目を奪われていた。
「おお、天城先輩かっこいい!」
「やっぱりスター選手だな!」
部員たちの視線が遼に集まる。
(うん、やっぱりこいつは、主人公だな)
次に訪れたのは、演劇部だった。
「ねえねえ三崎くん、即興劇をやってない?」
「えっ、急に?」
「大丈夫よ! 私がリードするから!」
一条さんは、まるで舞台の主役のように堂々とステージに立って、流れるように動き始めた。
「あなたは気づいていないかもしれないけど、私はずっと――」
演劇部の生徒たちの息を呑み、一条さんの演技に引き込まれていた。
(……ああ、やっぱり一条さんは最強のヒロインだな)
ある日の放課後、僕は図書室で生徒会についての資料を整理していた。
「三崎先輩、ここの資料、まとめておきました!」
彩花ちゃん満面の笑みでファイルを差し出しました。
「ありがとう、彩花ちゃん。助かるよ」
「えへへ……! 私、こういうサポート得意なんです!」
それを見た周囲の生徒たちは、「松浦さんって、本当にに三崎先輩を支えてるよね!」とひそひそ話をしている。
(……うん、彩花ちゃんもヒロインしてるな)
選挙戦のデータを整理していると、村瀬が静かに資料をめくりながら言った。
「悠斗、票の動きが少しずつ変わってきている。特に、クラス単位でのサポートが広範囲にあるな」
「本当か?」
「西園寺先輩の動きも影響しているかもしれない。生徒会の内部情報を把握しているのは強みだ」
クールに状況を分析し、確実な作戦を提案する村瀬――。
(……お前、本当に頼れる奴だよな)
「……なんかさ」
僕はふと思ったことを口にした。
「何よ、三崎くん?」
「いや、一条さんは『カリスマヒロイン』って感じだし、彩花ちゃんは『妹系ヒロイン』だし……遼は『スポーツ万能の親友ポジ』で、村瀬は『クールな参謀みたい』だし……」
「うん?」
「僕が動かなくても、物語は勝手に進んでいくんじゃないか?」
「悠斗、今さら何言ってんだ?」
遼が笑いながら肩を叩く。
「いや、なんか妙に安心したというか……ああ、やっぱり僕は“モブ”なんだって」
僕がいなくても、この物語は成立する。
でも、みんながいるから、僕もこの選挙戦を戦っているんだ。
なんだか変な安堵感を思い出した瞬間だった。
とある日霧崎生徒会長が選挙戦に介入するという噂が流れ始めた。
「霧崎先輩が選挙に口を出し始めたらしい……」
西園寺先輩が情報を持ってきました。
「どういうことですか?」
「生徒会長の権限を使って、選挙に関する特別イベントを追加するつもりみたいよ」
「特別イベント?」
「詳細はまだ公表されていないけど――たぶん、悠真と悠斗くん、両方に試練を考えてるみたいね」
霧崎生徒会長が動き始めたことで、選挙戦はさらに混迷を極めていく。
「次に待っているのは……最終決戦かもしれないね」




