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悪役?ただの強キャラだろ!

「さあ、どうする? 俺が“悪役”として動いたら、お前はどう対応するんだ?」


神代拓海がそう言った瞬間、僕たちは全員固まった。


「……お前、何言ってるんだ? お前、白陽高校の生徒会だろ? うちの学校の生徒会長選挙になんで出馬できるんだよ?」

僕が戸惑いながら尋ねると、神代はニヤリと笑った。


「それなんだけどな……“俺”が出馬するわけじゃないんだよ」


「え?」


僕が言葉を失っていると、神代は後ろを振り返り、校門の影に立っていたもう一人の人物を手招きした。


「紹介するよ――俺の双子の兄、**神代悠真かみしろゆうま**だ」


現れたのは、神代拓海と瓜二つの少年だった。ただ、髪型は少し整えられていて、拓海よりも少し落ち着いた雰囲気を醸し出している。そして何より、彼は堂々とした態度で僕たちを見渡し、口を開いた。


「はじめまして。白嶺学園・生徒会長候補の神代悠真です」


「……えぇぇ!?」


遼、一条さん、彩花ちゃん、村瀬、そして僕の全員が同時に驚きの声を上げた。


神代悠真の出馬表明

「おいおい……マジかよ。双子の兄貴がいるとか、聞いてねぇぞ?」

遼が呆れたように拓海を見た。


「言ってなかったからな。まあ、言う必要もなかったし」

拓海はあっさりとした口調で答える。


「つまり……お前が言ってた“俺が生徒会長選挙に出馬する”っていうのは、お前じゃなくて“兄貴”が出るってことか?」

村瀬が冷静に状況を整理する。


「その通り。俺は白陽高校の生徒だから出馬できないけど、悠真はこの学校の生徒だから問題ないわけだ」


「いや、そんな都合のいい話あるか……?」

僕は思わず呟いた。


(何なんだよこの展開……普通なら、こんなドラマみたいなこと起こるはずないだろ……!)


そんな僕の混乱をよそに、悠真は一歩前に出て、僕に向かって堂々と宣言した。


「三崎悠斗くん。僕はこの選挙に“本気”で臨むつもりだ」


「え……?」


「君のことは、弟から色々聞いている。『ヒーローを目指す男』――とても興味深い存在だね」


「だからって、なんでお前が立候補するんだよ……?」


「決まっているだろう? 君が“主人公”なら、それに相応しいライバルが必要だ。選挙を盛り上げるために、僕が“悪役”を引き受けよう」


「いやいや、意味が分からないんだけど!?」


この時点で、僕の脳は完全に理解を拒否し始めていた。


神代兄弟の巧みな戦略とカリスマ性

その日から、神代悠真の選挙活動が本格的に始まった。


最初に驚いたのは、彼のカリスマ性だった。

悠真はもともと生徒会の副会長を務めていたらしく、学校内での知名度も高かった。生徒会の業務にも精通しており、実績もある。何より、彼の堂々とした振る舞いは、まさに「リーダー」の器だった。


選挙演説の日、悠真はこう言った。


「私は学校を“変えたい”と思っています。みんながより楽しく、より充実した学校生活を送れるような改革を行います。そのために、ぜひ私に力を貸してください!」


その瞬間、体育館に集まった生徒たちは一気に引き込まれた。

堂々としたスピーチ、的確な政策提案、落ち着いた口調――


「……普通にすごくね?」

遼が小声で呟く。


「本当に“悪役”なのか? これ、ただの“強キャラ”じゃん……」

村瀬も驚きを隠せない。


僕はただ、都合が良すぎるこの展開に頭を抱えるしかなかった。


(……こっちは半ば流される形で立候補してるのに、相手は生徒会のエリートって、どう考えても不利じゃないか!?)


「悠斗、どうするんだよ? あの悠真ってやつ、正直、かなりの強敵だぞ」

放課後、選挙対策会議を開いた僕たちは、焦りを隠せなかった。


「うーん……確かに、彼は完璧すぎるわね。でも、それって逆に弱点でもあるんじゃない?」

一条さんが腕を組みながら考える。


「弱点?」

彩花ちゃんが尋ねる。


「悠真くんはすごく優秀だけど、彼には“人間味”が足りないのよ。完璧すぎると、親しみやすさに欠けるの」


「……つまり、僕はその“親しみやすさ”で勝負するしかないってこと?」


「そういうことよ、三崎くん!」


「でも、それって具体的にどうすれば……」


「ふふふ、そこは“主人公”の見せどころじゃない?」

一条さんが意味深に微笑む。


(嫌な予感しかしない……)


神代兄弟の「悪役」としての動き

さらに、神代兄弟の動きは選挙活動に留まらなかった。

学校内のあちこちで、こんな噂が広まり始めた。


「三崎くんは“仲間と一緒に”選挙を戦ってるんだって」

「神代くんは“自分の力で”戦ってるらしいよ」

「どっちが本物のリーダーに相応しいのかな……?」


「……神代兄弟、絶対裏で何か仕掛けてるだろ……」


僕はますます追い詰められる気分になった。

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