06 元勇者の出立
テストのせいで執筆できませんでした…
急いで書いたので後から訂正するかも
行楽真優、彼は悪い意味でこの学校において有名だった。
曰く、あらゆる武道系の部活や団体の道場破りをしては相手を病院送りにしているらしい。実際、この高校にも中学時代、彼に半殺しにされた生徒がいるらしく、彼が登校しているのを見て不登校になった生徒がいるのだとか。
それが、私のクラスメイトだと知ったときは少し恐ろしかったけど、特に関わることもなく、次第に一人でいることが多いただのクラスメイトとして認知するようになった。
そんな彼が、私を身を挺して守ってくれた。あの醜悪な化け物の攻撃から私をかばい、救ってくれた。
正直、彼のことはあまり知らない。知っていることはうわさで聞いた話ばかりだ。
まだ恐怖のせいで震える手で彼の手当てをする。腕の血は止まっているが肉が少し抉れている。そのうえ腕だけではなく腹の方にも大きな傷があった。そちらはすでに瘡蓋ができており、治り始めていたが、大怪我だ。本人は大したことはないと言っているが、強がりにしか思えなかった。
(私なんかのために…こんな…)
知っている彼は極悪人で、粗暴な暴漢だった。しかし、目の前にいる彼は、私を心配させないようにするためか笑顔で話してくれている。
傷つけられてばかりだった日々の中、誰かに守られたのは初めてのことだった。
そのうえ、死を覚悟した直後、彼はさっそうと現れ傷を負いながらもあの化け物を一人で倒してしまった。
「ありがとな、こんな丁寧に手当てしてくれて。」
不意に感謝の言葉を伝えられた。感謝の言葉なんか久しぶりすぎてなんて返せばいいかわからない。
それどころか感謝すべきなのは私の方だ。
「あ、あ、こんな、これくらい、その…私こそ助けていただいて、本当にありがとうございましゅ」
うまく言葉が出ないうえに噛んでしまった。恥ずかしくて顔を必死に覆った。
同学年の人とこんな風に自然に話すのは久しぶりのうえ、優しくされたのは初めてだ。
顔が熱い。心臓がドキドキする。
イジメで心に余裕がなかった私には、この感情がなんなのか知らなかった。
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けがを手当てしてもらいながら少し情報を交換した。彼女の名前は早乙女聖子、どうやらクラスメイトらしい。‘‘らしい‘‘というのはつまり俺がこの子のことを全く覚えていなかったということなのだが何とかごまかした。(あっちは普通に俺のこと知ってた)
どうやら彼女はいじめられており、それで用具入れの中に閉じ込められ、逃げ遅れたのだとか。
その中で謎の肉塊に襲われ、意識を失い、次に目を開けたらボブゴブリンに襲われかけたところを俺に救われた。
逃げることも助けを求めることもできず、本当に怖かったと涙を流しながら語った。(俺が拘束をし直したのは言わないことにした。)
そのほかに、用具入れの中にいる間、避難警報が聞こえ、そこで避難場所についても言っていたらしい。ここから一番近い避難場所は2キロほど先にある。少し遠いが十分歩いていける距離だ。
「多分ここの学校の人たちは皆そこにいると思います。私たちも向かいましょう。」
「…そうだな。」
俺はじいちゃんとばあちゃんを助けなければならない。しかし、その前に早乙女さんを避難場所において向かうべきだろう。バイクもあるし、そう時間はかからないはずだ。
しかし、避難場所に向かったとして、そこは本当に安全なのか?魔物が跋扈するいま、無力な人間がいくら集まったところで危険だ。自分は前世の戦いの記憶があるから抗うことができるが…
そこで、ステータスがあることを思い出した。あれがあれば魔物を倒しさえすれば明確に強くなれるし、スキルがあればさらに戦いやすくなる。戦闘経験の少ないこの世界の人類でも、ステータスを伸ばせば十二分に抗うことができるだろう。
「早乙女さん、ステータスってわかる?」
「ステータス?って…うわ!!なんか出てきました!!」
そういって虚空を見つめる早乙女さん。指をスライドさせたりしながらほえーと感嘆している。
どうやらステータス画面はほかの人には見えないらしい。そのせいではたから見たらステータス画面をいじるのはあほらしく見えることが分かった。気を付けよう。
「こ、これ、なんなんですか?突然目の前にホログラムみたいのが出てきたんですけど…」
「それがステータス。俺も詳しくは知らないけど、魔物を倒すと体力とかの値が上がったりしてその分強くなれる。」
「すごい…なんだか魔物とかステータスとか、ゲームみたいですね。…本当に死ぬしまったく楽しくないけど…ま、まぁ人生がクソゲーなんてのはだいぶ前から知ってたんですけどね…」
なんか一瞬闇が見えた気がする。
「ま、まぁ、そうだね。とにかく、外にも魔物があふれているようだし、この世界を生き延びるためにはこのステータスが重要になってくると思うよ。」
学校の中でさえ魔物であふれかえっているのだ。外に出ればもっといるだろう。自分で身を守れるようにならなければ、今後この世界で生き延びるのは難しいだろう。
この災害がこの地域だけで起こっているのか全世界で起こっているのかは分からないが、とにかく範囲が広すぎる。警察や自衛隊などの組織もどう頑張っても全てを守り切ることはできない。そもそもそういった機関がまだ働いているのかも謎だが…
「あ、あの、よければ私のステータス見てくれます?何が何やらわからなくて…」
「あー、残念だけどステータスってほかの人には」
見えないみたい、と言おうとしたが、目の前には早乙女さんのステータス画面があった。
自分の意志によって他人に見せたり見せなかったりできるのか?
この世界について分からないことが多すぎるが、それにしてもうまくできているものだと感嘆しながら彼女のステータスを覗き込んだ。
そして俺は言葉を失った。後から思えば見なければよかったとすら思った。
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サオトメ セイコ 種族:ヒューマン
職業:聖女
体力 7
魔力 5
知力 12
気力 5
合計 29
スキル
ステータス 神聖魔法LV1
EXスキル
聖女の祈り
称号
聖女
状態:
総合評価 E
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彼女のステータスの職業の欄を見た途端、急に心臓の下の方が冷えるような気がした。ありえないと思いつつ、しかし目の前に示される事実に茫然とする。
これは、確実にこの混沌とした世界において、祝福されるべきことだ。
しかし、俺は素直に喜ぶことはできない。
あの世界では、誰もがその存在を望んだというのに、その存在のために信じて戦ったのに、それは現れなかった。
希望を失った人々はそれでも諦めきれず、それを人の手で造り上げようとさえした。
その過程で多くの人が…俺の大事な人々が、犠牲になった。犠牲にならなければいけなかった。
全てはそれが現れなかったから。それが現れることができなかったから。
それがこうもあっさりと目の前にいる。
もう、終わったことだ。俺は今あの世界ではなくこの目の前の世界に生きている。
それでも、仕方のないことだと分かっていてもどうしても受け入れることは難しい。
「…もう、もういい。わかった。」
できるだけ感情を抑えながら言ったはずだった。しかし、その口から出た声は、自分でも驚くほど冷え切ったものだった。
その声に早乙女さんも俺が不機嫌になったことを感じ取ったのだろう。泣きそうになりながら必死に謝ってきた。
「あ、あの、私何かしましたか?ご、ごめんなさいその、あんまり人と話したことなくて、久々に会話できて勘違いしちゃいました。あ、あ、次から気を付けますから、ごめんなさい」
その声に早乙女さんも俺が不機嫌になったことを感じ取ったのだろう。泣きそうになりながら必死に謝ってきた。
はたからみれば、さっきまで普通に会話をしていたのに突然相手が切れたのだ。理不尽にもほどがある。
「…あ、あぁ、いや、ごめん。突然傷が痛んだんだよ。あーそれと、そのステータスなんだけど、できるだけ人に見せないほうがいいかも」
「そ、そうなんですか。わ、わかりました。傷大丈夫ですか?私の手当がダメだったのかも」
「いや、そんなことないよ。ただちょっと動いたら傷が痛んだだけ。それだけだから」
そういって何とかごまかしたがなんとなく気まずい雰囲気が流れた。
窓からさす光はほとんどなく、あたりはすでに暗い。そろそろ避難所に向かわなければいけないし、じいちゃんばあちゃんも心配だ。
「それより早く避難所にいこう。送っていくよ。」
「そ、そうですね。でも、外にも化け物いるんですよね?そんなに遠くないって言っても30分はかかりますよ。大丈夫ですかね…」
「それに関しては大丈夫だと思うけど…早乙女さんってバイク乗ったことある?」
「はい?」
>>>>>>
完全に夜になり、あたりはすっかり暗くなった。しかし、電気はまだ生きているのか街灯が光っている。
そんな道を俺はバイクで快走していた。
このバイクは高坂先生のもので、職員室で亡くなっていた先生から借りたものだ。
俺は小型までは免許を持っているが今操縦している大型に関しては持っていない。つまり現在俺は無免許で公道を走っているのだ。
未成年の俺が言っちゃいけないこと言っちゃうけど無免許運転キィモチィー!!
後ろに乗っている早乙女さんは乗る前から不安そうにしていたが、今では顔を青くして必死に俺にしがみついている。おかげで背中がおっぱいでいっぱいだぁ。そう思っていたら少し事故りそうになった。危ない危ない。おっぱいでしっぱいするところだった。
走りながら目につく光景は悲惨の一言だった。屋上からは立ち上がる煙とかすかな悲鳴や何かの衝突音だけだったが、家は外から見てもわかるほど荒らされており、道路の所々で横転した車や何かの破片が飛び散っていた。そして、そのすべてに血がべったりとついていた。
時々死体を見ることもあった。その周りにはその肉を食っていたのだろう魔物が群がっており、俺らに気づくと走って追ってきた。しかし、バイクに追いつくことはできず、大抵は諦めて去っていった。
信号は一応動いていたがすべて無視していたので避難所までは5分もかからなかった。
避難所は市で運営している体育館だった。建物は完全に締め切っており、外から光が見えない。
さらに門には車や木材などで簡易的なバリケードが作られている。
「ほわー、たった数時間でこんなにできるなんて。すごいですね」
「すごいな。だけどこれ何処から入るんだ?」
「おーい、君たち!!そこで何してるんだ!!早くこっちにきなさい!!危ないぞ!!」
何処から入ろうか悩んでいたら中から中年のおじさんが出てきた。
小説家になろうのシステムいまいちわかってないんですけど高評価とかいいねとかあったらつけてくれたらうれしいです!!
見方分からんけど!!