1話 伝説
――VR内チャット。
1889: こんなの無理だろ·····
211553: クソゲー
6421: どうやって勝つんだよ!
442115: もう諦めるしかないのか?
59446: 他に戦えるやつは?
8904: 有名なパーティーはみんな死んだ
92118: まじくそ!!
70441: 誰も勝てない、あいつには
「ふーん?」
カタカタカタ·····。
―ピロン。
1: 面白そうなことになってんな?
6421: え?
86325: おいマジかよww
763824: やばいやばい
977114: は?まじで?
9841: 神だ·····
59446: え?え?現実?
1: お前ら!あいつに勝つ準備はできてるよな!?
9541: もちろん!
99574: いつでもどうぞ
7413: はい!
2: ん、勝率はもちろん100%
94136: 行こうぜ!!
43179: え?ナンバー2もいるの?
3214: 2?!?!???
314425: 伝説が今ここに始まろうとしている·····!?!?
「おっ、ナンバー2もいるのか。これは面白くなること間違いなしだな」
俺は、空中に表示されたチャットをダブルタップして閉じる。
ニヤリと笑って、剣を空へと掲げ、大声で叫んだ。
「伝説の始まりだ!!」
このゲームは、ハンターワールド。中世ヨーロッパ風の異世界を舞台にしたオープンワールドのゲームで、全国的に話題になった元スマホゲームだ。今はフルダイブ型VRゲームとして広く知られている。
このゲームがここまで人気が出るようになった理由は、アプリのダウンロードの順に、送られた特典によりユーザーの強さが大きく変わることだった。その事実を知った人々は、我先にと、このアプリをダウンロードし始めユーザーは急増した。
しかし、結局はこの有様だ。序盤でゲームを始めていたユーザーは特典を取っただけで満足しゲームに飽きてゲームを次々に辞め、後から来たユーザーは高難易度の無理ゲーに強制的に挑まされていた。
"ゲームバランスの崩壊"
それはユーザー自らが引き起こしたものだった。それなのに、ユーザーは無理ゲーを要求してくる運営に対して怒り、呆れ、ユーザーはどんどん減少していく傾向にあった。
そして、今、ここに舞い戻ってきたこの俺は、インストールナンバー1。
つまり、このゲームを一番最初にインストールした人間。
要は最強ってことだ。