エドガー・ケイシーとの出会い
タケルは、エドガー・ケイシーの教えに強い興味を抱くようになった。彼は、ケイシーの信奉者たちが集まるセミナーに参加するため、東京の一角にあるスピリチュアルセンターを訪れた。
センターに入ると、静かな雰囲気とアロマの香りがタケルを包み込んだ。受付を済ませ、セミナーが行われる部屋に向かうと、すでに多くの参加者が集まっていた。彼らは一様に、心の中に何かしらの問いを抱えているように見えた。
セミナーが始まり、講師がエドガー・ケイシーの生涯とそのリーディングの方法について語り始めた。
「エドガー・ケイシーは1877年、アメリカのケンタッキー州に生まれました。彼は幼少期から特別な能力を持っており、人々の健康や未来について予言する力がありました。ケイシーは生涯にわたり、1万4千件以上のリーディングを行い、その正確さと詳細さから『眠れる預言者』として知られるようになりました。」
タケルはその話に驚きと興味を抱いた。1万4千件以上のリーディングという膨大な数は、ただの偶然や勘では到底説明できないものだと思えた。
「ケイシーのリーディングは、体の健康から精神の問題、さらには前世や未来についても詳細に語られていました。彼の予言は多くの人々に救いと指針を与え、今でも彼のリーディングは多くの人々に影響を与えています」と講師は続けた。
「例えば、ケイシーはアトランティス大陸の存在を予言し、その文明の詳細を語りました。また、彼はホルモン療法や栄養学、そして病気の治療法についても多くの洞察を提供し、それが現代の医療や健康法に大きな影響を与えました。」
タケルはケイシーの多才さとその深い洞察力に感嘆した。彼の予言と治療法は、多くの人々の命を救い、生活を向上させてきたのだ。
「ケイシーのリーディングは、彼がトランス状態に入ることで行われました。彼は自らを『器』として、宇宙の知識を引き出すことができたと言います。そのため、彼のリーディングは驚くほど正確で具体的なものでした」と講師は説明した。
タケルは、自らもそのような深い洞察を得ることができるのだろうかと期待と不安を感じた。セミナーが進むにつれ、参加者たちはケイシーのリーディングを実践するためのワークショップに参加することになった。タケルは、自分自身の内面に向き合い、心と体、魂のつながりを探ることを決意した。
ワークショップでは、リーディングの実践として、参加者同士がペアを組み、お互いの過去や未来について感じたことをシェアする時間が設けられた。タケルは、自分のペアとなった中年の女性、アヤと向き合った。
「タケルさん、あなたの過去には大きな決断がありましたね。それが今のあなたを形作っているのでは?」とアヤが語りかけた。
タケルは驚きながらも、その言葉に心当たりがあった。彼の過去には、いくつかの重要な選択があったが、それらが今の彼の人生にどう影響を与えているのかを考えたことはなかった。
「そうかもしれません。でも、その選択が正しかったのかどうか、今でもわからないんです」とタケルは答えた。
アヤは微笑みながら、「すべての選択には意味があります。それが良いか悪いかは、後からわかるものです。大切なのは、その選択を受け入れ、次に進むことです」と語った。
「アヤさんはどうしてそんなことがわかるんですか?」とタケルが尋ねると、アヤは静かに答えた。
「私には、普通の人には見えないものが見えるんです。それは小さい頃からのことで、私にとっては当たり前のことなんです。」
タケルは驚きのあまり言葉を失った。見えないものが見えるなんて、彼にとっては現実離れした話だった。しかし、アヤの真剣な表情を見ると、嘘をつく理由もないように思えた。
「見えないものが見えるんですか?信じられないけど、あなたの言葉には嘘がないと感じます」とタケルは言った。
「世の中には、私たちが知らないことや信じられないことがたくさんあります。でも、それが現実であり、私たちが理解するための課題でもあるんです」とアヤは静かに語った。
タケルはその言葉に深く考えさせられた。見えないものだけでなく、世の中にはもっと嘘みたいな本当のことがたくさんある。彼はそのことに興味を持ち、もっと調べてみようと決意した。
「世の中には、まだまだ知らないことがたくさんあるんだな。エドガー・ケイシーの教えも、きっとその一部なんだろう。もっと学んで、真実を探求しよう」とタケルは心に誓った。
タケルの不思議な旅は、ここから本格的に始まるのだった。