表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
フレイムドラゴン討伐編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/108

第6話 レベルアップする? もちろんです!

 私はとにかくがむしゃらに逃げた。


 はあはあと息を切らせながら、人生でこれほど心臓を酷使したことはないと思えるほどに走っていた。


 まちがいなく、モンスターたちは私を標的に定めている。当然、フレイムドラゴン・ロードの怒りも買っており、それは今も続く地響きから痛いほど伝わってきた。


 天井から、ぱらぱらと小石が落ちてくる。


 フレイムドラゴン・ロードが『さっさとこっちへ来い、八つ裂きにしてやる』と苛立っている姿が目に浮かぶ。


「早く、なんとかレベルアップをしたいんですけれど……」


 モンスターを倒したことで経験値は得ていた。けれど、レベルアップをするにはダンジョンデバイスの操作が必要だろう。


 十分にレベルアップできるだけの経験値は貯まっているはずだ。


》経験値はいくつになってますか?


 流れるコメント欄が目に入った。


「162,231です」


 私は走りながら答えた。


》すげ

》地下212階やば

》一撃で経験値十万オーバーって……

》俺なら半年かかる


「あ、1,622,231でした」


》は

》桁まちがえんじゃねえ

》なに言ってんの このコ

》ひ、百万超え!?

》あはは

》ジャパンランク入りすんじゃ?

》すごすぎ 驚異的な数字


「レベルアップってどうやるんですかね」


 私はもたつく手つきで、必死にダンジョンデバイスを操作する。


 レベルアップをすれば各ステータスを割り振れる。そのことは事前に知っていたのだが、肝心な手順については詳しく知らなかった。


 レベルアップ専用のアプリでもあるのだろうか?


》やばいよね

》死亡確定

》面白すぎる

》誰か教えてやれよ

》やだよ、恨まれたくない


 なんだか、コメント欄に不穏な空気が漂い始める。読み切れないほど溢れていたコメントが、一気に冷え込むように少なくなった。


「えっと、どなたでもいいので。レベルアップの方法を教えていただけたらと……」


 私の問いかけに、コメント欄の動きがぴたっと止まった。


 しばらく誰からも反応がなかったが、ふと見覚えのある懐かしい名前からコメントが入った。


 もりもりさんだ。


》【もりもり】事務局……です


「事務局?」


 ハンター事務局のことだろうか。

 地下1階を出た地上にある、ハンターを統括管理しているあの事務局のこと?


 そこで、私は気がつく。

 事務局まで戻らなければならないということは……。


 はあ……。

 私はその場にへたり込んでしまった。


 ダンジョンから出ないとレベルアップできないってこと?

 え、そんなの無理じゃん。

 完全に詰んでるじゃん。


 どうすんの? これ……。


》【もりもり】まあ、他の手段がないわけではないですが……


「ほ、他の手段!?」


 私はダンジョンデバイスにかじりつくように顔を寄せた。

 画面には私の顔がアップで映り込む。


》【もりもり】あ、いえ……あの……。たぶん無理です


「なんでもいいので教えてください!」


 私は叫ぶように言いながら、大きく目を見開く。


 見えないはずのもりもりさんの顔が、気圧されてひるんでいるように感じた。

 わずかに遅れてコメントが返ってくる。 


》【もりもり】レベルが低い人が格上のモンスターを倒した時、稀にレアアイテムがドロップするそうです


「アイテム?」


 そういえば、私はモンスターを倒したのだ。


》【もりもり】獲得アイテムはダンジョンデバイスが自動的に電子データ化します。マナ因子を解析してeMANAと呼ばれる情報体に変換して保存するんです。ドロップアイテムが中に入っているはずです。


 私は急いでダンジョンデバイスを操作する。

 討伐したモンスターの履歴が残っていた。

 倒したモンスターは5体。

 そこにあったドロップアイテム。


――――――――――――――――――――――

    『EXRレベルアップシード』

――――――――――――――――――――――


》うおおおおおお

》出たー!!

》EXR! はじめて見た!

》ぎやあああ

》祭りだ 祭りだ!

》くれー 俺にくれー

》ぬおおお

》はちゃげえええ!!

》ほみゃみゃにゃああ!!!!


 突然にコメント欄が勢いよく噴いた。わけのわからない叫びを上げる人までいる。

 そもそもEXRとはいったい何なのだ?


 私はここでようやく、特定の視聴者のコメントを固定する機能に気がついた。もりもりさんを固定表示にする。


》【もりもり】EXRはエクストラ・レア。滅多に出現しないアイテムに事務局がつけている称号です。


「これって、どういう効果のアイテムなんでしょうか?」


 その問いには、しばらくもりもりさんも無言だった。少しの間を置いて、ようやく教えてくれた。


》【もりもり】デバイスで確認できます……


 なんだか、あきらかにテンションの低さが伝わってきた。

 私はデバイスを操作して、アイテムの詳細を確認する。


――――――――――――――――――――――

【レベルアップシード】

 効果:使用者のレベルを1上げる

――――――――――――――――――――――


 内容を読み、思わず目を見開く。

「うわああああ!」

 私は喜びのあまり、叫んでしまった。


「みなさん、私、レベルアップできます! できるんですよおお!!」


 とんでもない嬉しさに、視聴者に向かって夢中で手を振る。


 ところが、コメント欄の反応は私の予想とは真逆のものだった。

 

》やめろおおお!!

》レベルが1しか上がらねえんだぞ!

》使うなああー!

》EXRだろ! はやまるんじゃねえ!

》やめてくれー おねがいだー

》うわああああ

》使わないよなあ 使わないと言ってくれえ

》のおおお

》Don't Use!

》ボケ! あほ!

》N’utilisez pas(なんだかよくわからない外国の言葉、使うなという意味らしい)


 その時、長文のコメントが入った。


》俺が説明してやる! そのEXRアイテム『レベルアップシード』はな。

 本来、レベルを上げることが極めて困難になった高レベルプレイヤーこそが使うべき代物なんだ!

 現在の最高レベルは世界ランク1位、ミランダ・モリスのLV87。彼女が次のレベルに上がるのは3年後だと言われている。


 そしてレベルアップシードのドロップは、これで史上2回目だ。

 1個目は当局が管理していて、市場には一切出ていない。

 仮に市場に出れば、その相場は1,000億円とも2,000億円とも言われている。


 そしてお前はLV1だ。LV2になるには、どのくらいの時間が必要だと思う? ヘボい装備だと3日はかかるだろうな。でもそれなりに装備を固めてサポートもつけば、1時間もかからないぞ。つまり、お前はそれを……






 この直後、またもやコメント欄が荒れ狂った。原因は他でもない、私の行動だ。


》ぐわあああ!!

》こいつ、こいつ!

》使いやがったー あほなのかー!

》こ、ここまで馬鹿な子だったとは……

》Noooooo!!

》がっでえむ!

》貴重な! 貴重なEXRがああああ


 LV2になったことはステータス表示により、すべての視聴者に知れ渡っていた。


 私は最高の笑顔で、画面に向かって手を振る。


「さて、みなさーん。筑紫春菜はレベルが2になりましたー。では、これから本格的に、対策を考えようと思いまーす。あ、チャンネル登録ありがとうございます。というか本当に、登録お願いしますね! では、がんばってダンジョンを攻略していきますよー。ドラゴンを倒しますよー」


 レベルアップシードを使ったせいだろうか。ついに私の配信が爆発的にバズり始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ