表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
フレイムドラゴン討伐編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/98

第2話 未発見のドラゴンと遭遇しました

 新しい視聴者からのコメントを読む前に、どうしてこうなったかを整理してみる。


 お兄ちゃんはワールドランク2位。世界で2番目に強いハンターだ。年齢は私よりだいぶ年の離れた25歳。


 そんなお兄ちゃんにいつの間にか彼女ができて、突然、結婚するつもりだと聞かされた。結婚するということは、お兄ちゃんが家を出ていくということだ。そうなれば、もう一緒には暮らせない。


 たぶん嫉妬心だとか、気を引きたいだとか、ほんのちょっと困らせたい――そんな感情があって、私はお兄ちゃんのアイテム神王(しんおう)装備を持ち出した。


 兄の装備を勝手に持ち出し、それを使って配信しているところを見つけてもらおうと思った。

 私を見つけたら、きっとすぐに迎えに来てくれるだろうと。


 ところが調子に乗った私は、そそのかされてこんな深層へと落ちてしまったというわけだ。


 なんとしても地上に戻らないといけない。

 気を引き締めて、3人目の視聴者のコメントを読む。


》【もりもり】奥にいたモンスターはどんな姿ですか?


 貴重な視聴者だ。悲壮感を漂わせて、逃がしてしまってはならない。

 私は人気配信者を真似て、努めて明るく振る舞うことにした。人を集めれば、私の脱出の可能性が出てくる。


「あ、もりもりさん、こんにちは。はじめまして。えっと。ドラゴンみたいだったんですけど、脚が四本あって、背中には鶏冠(とさか)のようなギザギザがいっぱいありました」


 私は平然を装って、笑顔でレンズに向かって手を振ってみせた。


》【ぽんた】なるほどー 未発見のドラゴンね

》【アクゾー】うわあ。もっと上手に嘘つけよ。


「嘘じゃないですよ!」


 私は怒って頬を膨らませる。きっと顔は真っ赤になっていたはずだ。この二人はまだ信じてくれない。


》【ぽんた】やっぱフェイクか。設定が甘いのよ。10mあるんでしょ? 下から見上げてるんでしょ? 背中はみえないじゃん


「ああ、なるほど。たしかにそうですね」


》【ぽんた】だろ?


「でも見えたんですよ。じゃあ、いっしょに行ってみましょうか」


 私はそう言って、洞窟の奥へと歩き出す。

 ダンジョンデバイスのカメラを、進行方向へと向けた。

 映像から私の姿が消え、暗い洞窟の景色だけが映し出される。


 洞窟の先は、広大な空間へと繋がっていた。

 学校の校庭ほどもある広さだろうか。


 その空間の天井は低い。そのままでは確かに10mのモンスターは入らない。

 洞窟を進むと、足元の地面がなくなった。

 あと一歩踏み出すと、そこは崖だ。


 校庭のような広い空間。

 それが足元にぽっかりと広がっており、巨大な窪地となっていた。


 その空間の半分を埋め尽くさんとする巨大なモンスター。私たちは今、それを上から見下ろしている。

 

》【もりもり】確かに10mくらいはありそう


 視聴者数が8、9と増え、10人に達した。ドラゴンの映像が呼び水になったようだ。


 その数字を見て、私は素直に喜ぶ。


「やったー、視聴者10人突破です! ダンジョン脱出へ向けて、一歩前進ですね!」


》【ぽんた】10人で喜ぶ小物感

》【アクゾー】純粋でいいねえ


 チャンネル登録者数が0から1に変わった。


》【もりもり】チャンネル登録しましたー がんばって


「もりもりさん、ありがとうございます!」


》【ぽんた】俺は雑魚はチャンネル登録しねえって決めてる


「えー、ぽんたさんも登録してくださいよー」


》【ぽんた】じゃあ、あいつ倒したら登録してやんよ。あの、ドラゴンを


「え!? 本当ですか!?」


 つい身を乗り出したが、いくらお兄ちゃんの装備でも、あれを倒すのは無理がある。

 あまりにも規格外な大きさのモンスターなのだ。


》【ぽんた】バズる方法、教えてやろっか?


「はい! ぜひ!」


 バズる、すなわち動画再生数の爆上げだ。そうなれば、私の脱出はより早まるだろう。


》【ぽんた】スプラッターよ

》【アクゾー】えぐ

》【ぽんた】人が死ぬとこが見たくて、ライブ配信を見るやつもいるんだぜ


 それを聞いて、私は再び頬を膨らませて怒ってみせた。


「死んじゃったら、そこで終わりじゃないですか」


》【ぽんた】俺が切り抜き動画つくって拡散してやんよ。1分の動画にまとめてやる。1万再生くらいいくんじゃ?


「私の死が1万再生なんて、軽すぎませんか?」


 どうやら、本当にこの状況を信じてくれていないようだ。


》【アクゾー】ええやん、ええやん いけー、つっこめー


 そこへ、また新しい視聴者からのコメントが届いた。


》【コリント】これ、フェイクですか?


 コリントさんという方からの質問だ。

 私が返事をするよりも早く、ぽんたさんたちが答えてしまう。


》【ぽんた】フェイクです

》【アクゾー】どっからどう見ても、フェイクです。コスプレです

》【ぽんた】残念ながら、人が死ぬところは見れません。作り物の映像です

》【アクゾー】あんなモンスター、見たことありません。それでわかるでしょ?


 私が反論する間もなく、チャット欄だけで会話が進んでいく。


》【コリント】ですよね……、モンスターにデバイス解析を使おうとしませんものね


「デバイス解析?」


 初めて聞く言葉に、思わず聞き返してしまった。


》【ぽんた】がち初心者だったか


 なにしろ今日がダンジョン初日だ。配信者の映像は何度も見たことがあるが、私自身は正真正銘の素人。実際に潜るのは今日が初めてなのだ。


》【もりもり】デバイスをモンスターに向けると、ステータスを解析してくれるんですよ


 親切に教えてくれたのは、もりもりさんだった。


「そうなんですかー」


 私は教わった通りにダンジョンデバイスを操作する。


「どうやるんだろう?」と呟きながら、解析用アプリを起動してカメラを向けた。

 

 ――――――――――――――――

 フレイムドラゴン・ロード(仮称)


 希少固有種

 未発見個体・詳細解析前

 推定レベル143〜145

 推定能力・不明

 ドロップアイテム・不明

 討伐履歴・なし

 ――――――――――――――――


 同じ情報が、画面の向こうの視聴者にも見えている。


》【ぽんた】ちょ、ちょっと待て……

》【アクゾー】まじか……


 ぽんたさんとアクゾーさんが慌てだした。


》【コリント】たしか、これって偽装は不可能でしたよね?


 コリントさんのコメント通り、表示された結果を偽ることはできない。これはダンジョン管理協会によるフェイク対策でもある。


》【ぽんた】やべ、これ釣れる

》【アクゾー】ちょっと俺、切り抜き作る

》【ぽんた】こいつ、死ぬわ。オレっちやらかした

》【アクゾー】お前の死は無駄にはしない きっと俺のチャンネル登録者数に生かしてやる

》【ぽんた】オレっちのチャンネルも。すまん、神王装備が本物だと思わんかった。成仏してくれ


 気がつくと、視聴者数が52、53、54と秒単位で跳ね上がっている。

 先ほどまではほとんど動かなかった数字。

 まるで壊れたカウンターのように、勢いよく増え続けていく。


 目まぐるしく変わる数字に気を取られ、私はフレイムドラゴン・ロードが首をもたげ、こちらを見上げていることに気がつかないでいた。


 視聴者数の増加に伴い、コメントが流れる速度も加速する。


》なにこれ

》フェイク?

》いや、違うらしい

》マジもん?

》フェイクだろ? ドラゴンなんて見たことがない

》ワールドクラスプレイヤー?

》違う

》誰これ

》知らない人 見たことない

》放送事故 確定

》レベル1? どういうこと?

》知らん でもドラゴンはマジもの

》212層ってのは?

》さあ? でも、面白そう


 次々とコメントが流れ始める。視聴者数は瞬く間に100人を超えていた。

 そのまま、101、102と止まることなく増え続ける。


》帰ってこれないよね この女の子

》明日のトップニュース

》南無阿弥陀仏 成仏してくれ

》まだ死んでない これから

》ぽんた&アクゾーの最低コンビ 今世紀最大の被害者が生まれた瞬間

》迷惑系ダンジョンチューバー、まじ消えてほしい でも面白い

》人の死を面白がるな

》まだ死んでない 今死ぬとこ とりあえずチャンネル登録

》神王装備? 本物? フェイク?

》知らん コスプレじゃねーの?


――――――――――――――――――――――

 チャンネル登録者:15

 視聴者:113

――――――――――――――――――――――


■■■■■【お知らせ】■■■■■

もしよろしかったら、ブックマークや評価のほどよろしくお願いします。


応援していただけると、嬉しく思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ