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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
セクハラ鎧(アーマー)に鉄槌を

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第18話 廊下を歩きます

 完全に景色が一変していた。


 ここまでの階層は自然物で構成されていた。洞窟状になった壁面は、土や石が剥き出しのままだった。


 シューターで落ちてきたこの場所には、真っ赤な絨毯が敷かれている。豪華な廊下のような造りで、ずっと奥まで伸びていた。


 床は磨き込まれた大理石のようで、白い壁には装飾が施されている。天井からはシャンデリアが下がり、周囲を明るく照らしていた。


 私が両手を広げて3人分ほどの道幅がある、広めの廊下だ。前方にも後方にも真っ直ぐに続いていて、かなりの長さがある。


 地下ダンジョンに窓があるはずもないが、窓枠のような意匠があり、ガラスの代わりにはコンクリートのような壁が嵌め込まれている。


 廊下の左右に扉は見当たらない。部屋があるようには思えず、ただ廊下がどこまでも続いている。


 ここはお城の廊下を模したような、人工的に造られた空間だった。


》【ぽんた】こんなの見たことねえぞ

》【アクゾー】よくできたフェイクだな……ってフェイクじゃねえのか

》【ぽんた】今までとは明らかに違う

》【アクゾー】それにしても、地下216階って


「ぽんたさん、アクゾーさん、お久しぶりですー。チャンネル登録ありがとうございますー」


》【ぽんた】お、おう すまんチャンネル登録忘れてた


「ドラゴン倒したの、見てくれましたかー?」


》【ぽんた】見たし、切り抜きも作った。俺っちのチャンネルも5千人増えた


「すごいですね!」


》【ぽんた】いや、あんた、60万人やん

》【アクゾー】おいらもおこぼれ貰った Thanks


「お役に立てて幸いです」

 その時、チャンネル登録者数の数値に変化があった。


》【ぽんた】ほら、チャンネル登録しといたぞ


「ありがとうございまーーす!」

 私は声を上げて笑いながら、明るい笑顔でダンジョンデバイスに手を振る。


》【ぽんた】うわあ 軽いなあ

》【アクゾー】もう有名人やな

》【ぽんた】おいらの一票なんてゴミのようなもんやな

》【アクゾー】わてら自体、ゴミのようなもんですやん

》【ぽんた】一票の重みってやつ、もう知ることないかもなあ かなしいなあ


「えー、そんなことないですよー。嬉しいですよ。ありがとうございますー」


》【ぽんた】ところで廊下の脇に鎧が何体も並んでるな


 私はぽんたさんのコメントを見て、周囲を見回す。廊下はまっすぐ伸びていて、どちらが右か左か区別しにくい。ひとまず自撮り棒を持つ左手を目印にする。


 左側には窓のような飾りが奥まで並び、右側には一定の間隔で西洋風の等身大の鎧が立っていた。それがどこまでも、数え切れないほど並んでいる。ずっと奥まであるので何体だろうか。とにかくたくさん並んでいる。


》【ぽんた】定番パターンとしては、あいつらが動いて襲ってくる

》【アクゾー】リビングアーマーってか?

》【ぽんた】カクヨムとかの小説でよくある展開?


 私は鎧の近くへ行き、顔を近づける。


「動かないですよー」


 指でツンツンとつついてみたが、反応は何もない。


「じゃあ、ちょっと奥へ行ってみますね」


 すると、二人から慌てたようなコメントが入る。


》【ぽんた】動いてる! 動いてる!

》【アクゾー】見ろ! よく見ろ!


「え?」

 私は振り向く。だが、見えている景色に変化はない。


「なんにもないじゃないですかー」


 けたけたと笑いながら、ダンジョンデバイスを進行方向へ向けて歩き出す。

 デバイスの撮影は360°カメラだ。

 視聴者は好きな角度で映像を見ることができる。


「じゃあ、いっちゃいましょうー」


 陽気に言いながら、デバイスを持った腕とは反対の腕を大きく振り上げる。

 ちなみに、神王の長剣は背中に盾とともに備えている。


》【ぽんた】動いてるじゃねえか! こっち来てるじゃねえか!

》【アクゾー】振り返れ! 振り返れ!


 私はコメントを読んで振り返る。

「ん?」

 やはり何も変わったところはない。

 首を傾げる。


 また前を向いて歩き出す。


》【ぽんた】だからー! ちゃんと見ろー!

》【アクゾー】見ろって言ってんのよおう


 振り返る。それでも、やはり何も変わらない。

 首を傾げながら、答える。


「何を言ってるんですか、さっきから。何も変わっていないじゃないですか」


 私はすぐ横にある鎧を指でつんつんと突く。


「ほら、さっきもこの鎧、ここにありましたし」


》【ぽんた】いい加減わかれ! おかしいってよお


「あ、なるほど。そうやって私を怖がらせようと……。何も変わってませんよ。そんなんで怖がるわけないじゃないですか」


 にひひ、と笑う私に。


》【ぽんた】お前! 歩いて進んでるじゃねえかよお なんで同じ鎧を突けてんだよお


「あれ?」


 やっと違和感を覚えて周囲を見回す。

 鎧たちが、極めて緩慢な動作で動き始めていた。首から上だけを静かに、少しずつこちらへと向けてくる。そのあまりに遅い変化に、今まで気づけなかったのだ。

 私はただその光景を、固まって見ていることしかできなかった。


》【ぽんた】鈍すぎだぜよお

》【アクゾー】こいつ、ほんとにドラゴン倒したのかねぇ?

》【ぽんた】おれっち、チャンネル登録はずしていい?

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