表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
ハロー、アメリカ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

142/171

第142話 ダンジョンに入るミリア

 配信が始まるとすぐに、次々とコメントが入る。


》やっと配信が始まった

》待ちくたびれた

》ミリアたんが突入するのね

》がんばって、ミリアたん

》ミリアたんだけが頼りなんだ


 ミリアはダンジョンタブレットを両手で持ち、画面に対して気合の入った顔を向けていた。


「ミリア、がんばります。お姉様と視聴者のために、見事に任務を遂行します!」


》おお、頼もしい

》今回はハルナっちの出番はないかも?

》ミリアたんの活躍が楽しみ


 ミリアの活躍を期待するコメントに対し、私は少し残念そうに言った。


「でも、ダンジョン内ではミリアのカメラで配信ができないんだよね。放射性物質を取り除くまでは、ミリアのカメラが使えないからさ」


》なにい!? ミリアたんの活躍が見れないだと!?

》ハルナっちのカメラしか見れないってこと?

》ダンジョン入り口の変わり映えしない映像が続くのか……

》つまらん

》面白くもなんともない

》全然ダンジョン配信じゃねえぞ

》面白い映像を見せろー 俺達にダンジョン配信を見せろー


「しかたないじゃん、放射線で機械類が使えないんだってさ」


 視聴者は文句を言うが、こればかりはどうにもできない。私はミリアの準備を始めることにした。


「ミリア、こっちに来て。ダンジョンタブレットとWebカメラが損傷しないように、鉄で覆うからさ」


 私の言葉に、グレゴリーさんは驚きの声を上げた。


「そんなことができるのか?」


「メタル属性の魔法を使います。材料があれば金属変形メタル・トランスフォーメーションで加工ができますから」


「すごいな……」


「へへ……」


 私は得意そうに頭を掻いた。微笑ましげな顔をするエリさんに対し、ロシア人のセルゲイは表情を固くしていた。それが少し気になった。


 グレゴリーさんが周囲に落ちていたガラクタを集めてきた。

 レントゲンを撮影するときに鉛のエプロンを身につけるように、防護服のようなものを作ろうとしていたのか、鉛の材料は豊富にあった。


「春菜さん。鉛を使おう。鉛の箱を作って、そこにデバイスを入れて持ち込もう」


 グレゴリーさんの指示で鉛の箱を作り、ミリアのダンジョンデバイスとWebカメラを収めた。


「放射性物質を見つけたら、この箱に入れればいいのかな? でも、蓋を開けたらデバイスが壊れちゃうから、もう一つ箱を作らないとだよね」


「もっと材料があったほうがいいな。用意しよう」


 そう言ってグレゴリーさんはこの場を離れていった。いったん洞窟の外へ戻るようだ。


 ミリアが重そうに鉛の箱を持ち上げる。


「お姉様、これ、重い」


「鉛の塊だからね。下に降りたら、床に置いておくといいよ」


 ミリアはガニ股になり、よたよたと歩き出した。鉛の箱を両手で持ち、股の間にぶら下げている。両足はまるでカニのように開いており、お世辞にも格好いいとは言えない。

 足を開いているせいで、ワンピースの裾が太ももの付け根まで上がっている。このままだと、パンツが見えてしまいそうだ。

 視聴者に見せてはいけない姿だったので、私はミリアから視線を外した。


 背後でミリアの声が聞こえた。


「バランスが悪くて歩きにくいです」


「降りるまで我慢してね。階段が長いと言っていたから、気をつけて」


 私はエリさんやセルゲイと準備を進める必要があった。携行品もあるし、ミリアとの連絡手段も考えなければならない。私はつい、ミリアから目を離してしまった。


 ――お姉様、行ってきます。


 発せられたはずのミリアの声は、私たちには聞こえなかった。ミリアはすでにダンジョンのエリアに足を踏み入れていたのだ。


 声が聞こえたように感じたのは、ダンジョンシミュレーターで一度体験していたからだった。だが、まさかミリアがもう中に入っているとは思いもしなかった。


 まだ出発の準備は整っていない。

 ミリアは持っていくべき物を持っていっておらず、連絡を取る手段もまだ用意できていない。


 私は何気なく後ろを振り返る。


「あれ? ミリアがいない……」


 さっき聞こえた気がした声。


 こちら側には届かなかったが、実際にミリアが入り口の向こう側で発した声だった。


 あえて視線を外していたため、私が装着しているWebカメラはミリアを映していなかった。そのため、視聴者もその異変に気がつかなかった。


 ミリアはすでにダンジョンに入ってしまっていた。


 ダンジョンシミュレーターは完璧ではない。

 シミュレーター通りではない現実が動いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ