表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
新しいダンジョン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/171

第131話 石の箱を叩き斬る

 ミスリルの大剣(ブロードソード)はガキンッと音を立てて弾かれる。火花も散った。


 もう一度同じことを繰り返す。だが、岩は斬れない。

 扉と思われる面の端には縦に筋が入っている。その筋に向かって正確に大剣を振り下ろしているつもりなのだが、ほんのわずかにズレてしまうようだ。


 私はダンジョンタブレットを地面に置いて、両手で大剣を握る。


 ガキンッ、ガキンッ、と何度も岩に叩きつけた。


『――(あるじ)よ。下に置いたら誰かに踏まれてしまうではないか』


 タブさんがAIらしくない不満を漏らす。

 私は岩に大剣を叩きつけるので忙しい。


「大丈夫だよ。私しかいないし。誰にも踏まれないよ」


『――(あるじ)よ。(あるじ)よ。こっちを見てくれ』


「なあに? 忙しいのだけれど」


 タブさんに話しかけられるが、私は懸命に剣を振り下ろす。


『――朗報だ。タブレットを確認してくれ』


「朗報? なにが?」


『――魔法を獲得した。やせ細った亡霊を倒しまくったお陰だな』


「え、ほんとに?」


 私の手は止まった。


『――これを見よ』


 私はタブレットを覗き込む。


 そこには『魔法を会得しました』の表示があった。

 ボタンを押して詳細を確認する。


――――――――――――――――――――――

メタル属性:ミスリルカッター

ミスリルの刃が飛び、相手にダメージを与える

備考:命中精度が高い

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

メタル属性:金属変形メタル・トランスフォーメーション

金属を思ったとおりに加工することができる

備考:使用者のレベルによって加工できる金属の種類が増える

――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――

メタル属性:金属身体(メタリック・ボディ)

体の一部を金属化することができる

備考:破壊されるまで持続する

――――――――――――――――――――――


 私はミスリルカッター、金属変形メタル・トランスフォーメーション金属身体(メタリック・ボディ)の3つの魔法が使えるようになった。


》おお、世界初のメタル属性

》一気に3つも魔法を獲得したのか

》これでハルナっちも一人前


「よし!」


 私はガッツポーズをして岩の前に立つ。

 岩の表面に向けて、右腕を突き出す。


「ミスリルカッター!!」


 叫びながら右手を開くと、円盤状の金属の刃が出現し、回転しながら前方に飛んだ。


 だが、カッキーーーーーン! と甲高い音を立てて石に弾かれた。

 私は手で額を(ぬぐ)う。

 

「ふう」


 駄目だった。

 石の箱には傷ひとつついていなかった。


》まったく斬れないね

》威力の問題?

》正確に当たっていない?

》命中精度が高いとあるから、当たっているはず

》じゃあ、やっぱり強さか


「どうしましょうね?」


 私は少し考え込む。やはりミスリルの大剣(ブロードソード)で斬るのが最善だと思われた。


『――(あるじ)よ。金属変形メタル・トランスフォーメーションと組み合わせるのだ』


 タブさんの一言で、ひらめきが降りてきた。

 私はまず、ミスリルカッターを使う。


「ミスリルカッター!」

「ミスリルカッター!」


 両手を使ってミスリルの刃を2つ生み出す。


 発想を変え、ミスリルカッターを飛ばすのではなく、扉の隙間に置くことにした。ただし、2つのカッターは(くさび)のようにV字型に配置する。


金属変形メタル・トランスフォーメーション!」


 次の魔法でカッターをその場に固定する。これで剣を誘導するための道ができた。


「おりゃあああああ!」


 雄叫びとともに、私はミスリルの大剣(ブロードソード)を思い切り振り下ろした。V字型の(くさび)に導かれ、大剣は吸い込まれるように隙間に入った。


 石の箱の側面、縦一直線に亀裂が入る。その亀裂から光が漏れ、一本の線となった。


『――開くぞ。パンドラの箱だ。(あるじ)よ』


 斬られた扉は3センチほどの厚さの石板だ。高さは私の身長を優に超えている。ゆっくりと傾き、巨大な石板は倒れていく。


 ズドーン、と大きな音を立て、扉となっていた石が倒れた。


 それと同時に、マッピングアプリの探査領域が100%になった。


「なに……これ?」


 箱状になった石の中にあったもの。それは小さな光の粒が縦と横へ垂直に飛び交う光景だった。光の粒は黄色や赤や青色をしており、人工的に作られた道を通っているように、正確な軌道を描いていた。

 石の箱は長方形で縦に長い。光の粒の集まりは一定の厚みを持った板状になっていて、それが縦に何枚も収められている。


》パソコン?

》サーバーかな?

》こんなの見たこともないけれど

》ラックの中に複数のブレードサーバーが収められているんだね


『――これがダンジョン・コンピューターだ』


 タブさんが言った。私はラックを覗き込む。収められた板はブレードと呼ばれるものらしい。ブレードは光の粒だけで構成されている。縦と横に正確に90度の軌道で光は動いていた。それは人工的に作られた宇宙の星々のようだった。


「これはいったい何なの? 何をしているの?」


『――ここでダンジョンが作られている』


「作られている? このダンジョンが?」


 私はラックから顔を上げ、周囲を見た。この景色をこのダンジョン・コンピューターが作っているというのか。


『――すべてのダンジョンは、ダンジョン・コンピューターが生み出している。このダンジョンも例外ではない。すべてのダンジョンに、それぞれ異なるダンジョン・コンピューターが存在する』


「どうしてタブさんがそんなことを知っているの?」


『――知っていて当然だ。我はプリミティブ・デバイスから生み出されている。プリミティブ・デバイスはダンジョン内で生まれた、いわば、ダンジョン・コンピューターの子どものようなものだ』


「なるほど、じゃあ、タブさんはダンジョン・コンピューターの孫か」


『――孫か。面白いな、我が(あるじ)よ。なら、我は祖先と会話を試みてみよう。ラックの中のブレードとブレードの間に我を差し込んでくれまいか?』


 私はタブさんを地面から拾い上げ、言われたとおりに差し込んだ。

 タブさんは高速で情報を処理しているのか、熱を帯び始める。画面はとても明るく発光していた。


『――ダンジョンの成り立ち……なぜダンジョンが生まれたのか……そして、今、何が起こっているのか……生まれたばかりの、この長瀞ダンジョン。このダンジョンが世界で唯一……唯一の……』


 タブさんの言葉が止まった。

 次の言葉を待っているが、タブさんは何も言わない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 遂にメタル系魔法習得!ハルナちゃんもこれで誘拐対象にランクアップ(?)ですなぁ。 タブさん大丈夫?ゲッ○ーロボに取り込まれて多量のゲッタ○線に包まれた例の人みたく「宇宙の全てがわ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ