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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
新しいダンジョン

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第122話 尚人さんの仲間が集合する

 さて、私はいったい長瀞へ何をしに来たのだろうか。

 大勢の人に囲まれていて、本来の目的を見失いそうになる。


 ぶおんぶおんと、バイクや車の爆音が周囲に鳴り響いている。

 私のまわりには数多くのバイク、車、そして人、人、人。


 明らかにやんちゃな男女が大勢いた。いったい何人がここに集まっているのだろう。

 

 中学校の3クラス分、およそ120人ほどがこの場所に大集合していた。


 皆が好き勝手に話しており、私や瑞稀社長、SPの警察官の存在が意識されているのかさえ怪しい。そこには、まったく秩序というものがなかった。


「うっし、ぼちぼち集まってきたかな」


 尚人さんがスマホをいじりながら言ったが、何をしていのかと覗き込むとゲームに熱中していた。

 隣にいる若菜さんも、同じようにスマホを操作していた。


「みんな、春菜ちゃんに協力してくれるって。まあ、春菜ちゃんが何者かは伏せてあるから、あいつらは言われるがままに動くだけだけどね」


 そんな若菜さんもゲーム画面を見つめたまま喋っていた。

 すぐに飽きたのか、ふと若菜さんが顔を上げた。


「とりあえず、挨拶でもしとくかね。春菜ちゃん」


 若菜さんに振られ、何を話せばいいのかと戸惑ってしまう。だが私よりも先に、ダンジョンタブレットが音量を上げて喋り出した。


『――皆の者、よく集まってくれた。あるじ御前(ごぜん)である。まずは我が(あるじ)の前にひれ伏すがよい。いずれはこの世を統治することになるであろう、未来の王である。平伏(へいふく)せよ』


 がやがやと騒がしかった周囲が、一瞬で静まり返る。

 一斉に私の方へ視線が集中するのを感じ、肌が粟立った。


『――そなたらは最初の下僕(しもべ)として選ばれた。良き働きをすれば(あるじ)も優遇してくださるであろう。心から感謝し、服従の意を示せ』


 いやいや、何を言っているんだこのタブレットは。

 私は焦りながら必死に弁明する。


「い、今のはこのタブレットが勝手に喋っただけで……っ」


 ところが私の言葉など耳に入らない様子で、周囲の人たちは口々に文句を言い出した。


「俺たちはよお。みんな尚人さんについてきてるんだぜ」

「おおよ。俺らがリスペクトしてんのは尚人さんなんよ」

「尚人さん以外にゃ、頭を下げる気ねえから」


 私は彼らの迫力に押され、思わず謝ってしまう。


「そ、そうですよね……。ごめんなさい……」 


 すると、やっと尚人さんもスマホゲームを切り上げたのか、顔を上げてくれた。


「さて、そろそろいいっすかね。だいぶ集まってきたみたいだし」


 片手を高く上げ、集まった衆人に向けて声を張り上げた。


「みんなあ! こちらの春菜さんは、オレと若菜の『推し』なんだよね。スパチャも相当つぎ込んじゃってるしよ、もう引き返せねえんだ。オレは春菜さんを徹底的に推す。オレの推しってことは、お前らの推しってことでもある。いいか? 文句ある奴はいるか? 反対なら今すぐ帰っていいぞ」


 その言葉で、皆は一斉に同調して叫びだした。


「うおおおっ!」

「俺らも春菜さんを推すっす!」

「春菜さん、かっけー!」

「まじ、俺も今日から推しになるっすわ!」

「尚人さんが推すんなら間違いねえっす!」

「一蓮托生、どこまでもついていくっす!」


 ところが、ここでタブレットがまた余計な追撃を加えた。


『――では下僕(しもべ)ども。今からアプリを配布する。有り難く受け取るがよい』


 再び、集まった人たちから不満のブーイングが漏れる。


「なんだあのタブレット。ムカつくな」

「どこまでも上から目線だよな」

「ぶっ壊していいか、あれ?」


 それを尚人さんが慌ててなだめる。


「いやいや、これでも春菜さんの大事なタブレットだからよ。そういう『設定』だと思えばいいじゃん。痛い性格なのも、一周回って面白いだろ? それじゃあ、俺ら全員、春菜さんの下僕(しもべ)って設定でいくぞ。いいな?」


 尚人さんが周囲に呼びかけると、その人望ゆえか、すぐに賛同の嵐が起きた。


「おっしゃ、その設定でいくか!」

「春菜王と呼べばいいのか?」

「もしくは女王陛下か?」

「俺たちは尚人さんに従うぜえ!」


「よし、春菜さんのタブレットからアプリを受信した奴から順に散ってくれ。町内を走り回るだけでいいそうだ。春菜さんのことは……そうだな。お前らは『女王』と呼べ!」


 尚人さんが煽ると、皆も口々に女王と叫び始めた。


「春菜女王!」

「女王の意のままに!」

「俺たちは女王についていくぜ!」


 アプリを受信した者からどんどん散っていく。ぶおんぶおんとマフラーの音を鳴らしながら、バイクや車が出発していった。


 私と瑞稀社長は、呆然とその様子を眺めることしかできなかった。


 SPの男性が瑞稀社長に囁いた。


「これほどの人数に一度に襲いかかられたら、私1人では対応しきれません。このような状況は非常に困ります」


「ごめんなさいね。でも、おかげですぐにミリアちゃんが見つかりそうだし……」


「対象を確保次第、即座にヘリで戻りましょう」


 瑞稀社長は申し訳なさそうな表情でSPをなだめていた。


 ダンジョンタブレットには尚人さんの仲間たちの位置情報が表示されていた。


 タブレットは彼らのGPS信号を解析し、ほどなくしてミリアの位置が割り出された。


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春菜がついに王に!!
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