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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
新しいダンジョン

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第108話 月曜日

 ダンジョン部との遠征が終わった。

 自分でアーカイブを見直してみて、「これはないわー」と頭を抱えた。

 大量の切り抜き動画が拡散され、私の無様なキス顔はしばらくトレンドに残るだろう。


 日曜日を挟んだ月曜日、私は学校へ登校した。


 教室へ入り、自分の席へ向かう。窓際の後ろから2番目という特等席ではあるのだが、私の気持ちは重たい。


 始業時間ギリギリだったので、教室にはほとんどの生徒が揃っていた。

 そんな中、いつも仲の良い南波湊(なんばみなと)ちゃんが声をかけてきた。

 (みなと)ちゃんはダンジョンハンターではないし、ダンジョンに潜ったこともない。それでもダンジョン動画が大好きで、私の動画もよく見てくれている。


「おつかれー、動画見たよ~」


 もちろん、遠征動画のことだ。最後は私の残念なキス顔で締めくくられた、あの動画だ。

 私はわざと明るい口調で返す。


「えー? あれ、見たの? 恥ずかしいなあ」


 終わったことをいつまでも悔やんでも仕方がない。さっさと切り替えていくべきだ。


「春菜すごかったね。かっこよかったよ。普段は学校の春菜しか見ていないから、あんなにリーダーシップがあるとは思わなかった。みんなで連携してオーガを倒す姿には熱くなって見入っちゃったよ。久しぶりに興奮した」


 てっきりキス顔の話題から入るものと思ったが、(みなと)ちゃんは討伐の様子について語りだした。案外、本人が気にしているほど印象に残るものではなかったのかもしれない。


「リーダーシップというか、オーガの倒し方とか、あれはお兄ちゃんからの受け売りなんだけどね」


 へー、と軽い相槌を打った後で、(みなと)ちゃんは不意に声のトーンを下げてきた。


「それよりもさ。難高校の男子生徒たちなんだけど――」


 こちらが本題といった様子で、湊ちゃんは切り出す。

 黒髪ボブカットで真面目なタイプの湊ちゃん。頬に手を当てて、妙に艶っぽい顔をした。こんな湊ちゃんの表情は初めて見た気がする。


「春菜が男子高校生と仲が良いなんて知らなかった。春菜って割とモテるほうだと思うんだけど、なんだか同級生には興味がない感じだったよね。つまり、そういうことだったのか」


 意味深な様子で、湊ちゃんは少しニヤけながら、うんうんと頷く。一人で何かを勝手に納得していた。


「そういうことって……どういうこと?」


 私は探るように聞き返す。


「いやあ、隣の席の春日井君なんて、よく春菜にちょっかいかけてくるじゃない? 他にもバスケ部の高木君とか、バレー部の斎賀君とか、春菜に興味があるって噂だよ」


 声を潜めながらも、ゴシップを語る湊ちゃんは、少しからかうような口調だった。


「うーん。デマだと思うけど。単なる噂だと思うけれどね」


「そんなことないよ。けっこう春菜の隠れファンも多いって聞いたよ」


「本当かな? それっぽいアプローチを受けたこともないし、もちろん告白されたことなんて一度もないし」


「春菜が配信をするようになって、ファンが増えたんだよ。本当はみんな春菜に話しかけたいはずだよ」


「そうなのかなあ? 女子として見られている気はまったくしないのだけれど。ダンジョンチューバーアイドルなんて、私には縁がなさそう」


 特に今回の動画だ。無様なキス顔を(さら)してしまった。私のことを、ダンジョンチューバー芸人なんて呼ぶ人までいた。


「そんなことよりも、難高校の男子だよ。春菜は年上が好みだったと。そういうことだったんだね」


 湊ちゃんに話題を戻される。


「ち、違うって」


 私は動揺しながらも、はっきり否定する。


「しかも、誰にするのか、選べない!」


「違うー」


 湊ちゃんからの追及に、嘆くような声が出てしまった。

 私はダンジョン部のことをまったくそういう目で見ていないのだが、湊ちゃんは勝手に話を進めてしまう。


「いや、わかるよ。私もアイドルグループの中でイチオシはいるけど、他のメンバーだってかっこいいしさ。推しがいても、どうしても目移りしちゃうよね。推しが私を見てくれるなんて現実的じゃないし……そうなると、いろいろ考えちゃうよね」


「だから、そういうんじゃないってー。やめようよ、(みなと)


 ところが、急に湊ちゃんは真面目な顔を作る。


「でもさ。でもさ。春菜。失恋は辛いものだけどさ。ここは切り替えていこう。男はほかにいるんだ。あのキス顔を見ていない人も、世の中にはたくさんいるはずだよ。終わった恋は忘れよう」


 湊ちゃんは私の肩をぽんと叩く。

 どうやら、私のことを慰めようとしているようだ。


 やっぱり、あのキス顔かい!

 あのことに触れるんかい!


「終わってないし。そもそも、始まってないしー」


 私は口を尖らせながら否定する。

 湊ちゃんはころっと表情を変える。いたずらっぽく笑みを浮かべた。


「男子高校生とダンジョンデートなんて羨ましくて、つい、からかってしまいました」


 湊ちゃんは本気で言っているのではなかった。単に私のことをからかっていただけだった。


「デートじゃないんだけどなあ……」


 私は苦笑する。


「ああ、私もダンジョンハンターだったらなあ~。ダンジョンで合コンなんて、面白そうだよね」


 両手で頬杖をつき、湊ちゃんは椅子に座った足をぶらぶらとさせていた。

 湊ちゃんは半分冗談で言っているので、私も話を合わせる。


「中学生で合コンって早くない?」


「中学生で、男子高校生5人とデートした人のセリフですか?」


 湊ちゃんに間髪入れずに突っ込まれてしまった。


「だから、デートなんかじゃないって!」


 怒っているふりで湊ちゃんとじゃれ合っていると、隣の席の春日井君も登校してきた。


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― 新着の感想 ―
まぁ姫と家臣だからデートではないのかな
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