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推しの衣装を手がけてます!  作者: 葵 紀柚実
二章 揺れる想い
28/65

28 評価

智史くんは、予想外の事をしてくる。

あっさり私と二人きりになって、防音の部屋へ入ったり、私のF2愛を確かめたり。

私の気持ちを確認されたってことは、アレ。なかったことになってないのでは?

無しが無いって…どゆこと?

まだ、光稀くん私を好きでいてくれてるのかな?

私の引くぐらいの想いも、大丈夫だったと言っていたし。

いやいや、ないない。

ガチヲタだってバレたんだよ。

そうなんだよなー。

どうせバレてるからと、智史くんには『ぴよぴよ』の話までしてしまった。

あの頃の二人は可愛かったなぁ…ふふ。

で、予想通り告白の件、光稀くんは智史くんに話してたか。


郁ちゃんの事も聞かれた。

あれは…一部で彼氏だなんて誤解があるから確認したかったのかもしれない。

それか、サヅ?

サヅに探りを入れたくて郁ちゃんの事を聞いてきたのかな?

次の、EGGの案件。社内で結構広まってるとか?

下手に「EGGの件ですか?」なんて聞いて智史くんはそんなつもりなくて「へぇ、EGGなんかあるんだ?」と、私からバラした形になったら厄介だし。

困ったな。

智史くん可愛い顔して色々裏があるから。裏っていうか、先の先まで見通してる感じ。

ただの従兄弟です。

そう強調したのがかえって怪しく聞こえたのかも。


小さなレッスン用の防音室。

智史くんの出ていった扉。

聞かれたことと、話したことを思い出しながら、それでもナイショにしなくては。

私も上の階へ戻ろう。

部屋を出てすぐにあるのは階段だ。

何人かとすれ違いそうな廊下の先にあるエレベーターより、こちらの方が人目が少ないだろう。

誰もいない踊り場。

足を止めて考えに拭けるには丁度いい暗さで、郁ちゃんを思い浮かべた。


彼氏と間違えるのは、そう見えたから?

従兄弟だって言ってもすぐには理解してもらえなかったのはなんでだろう?

今更だけど、ふと思いたった疑問が気になって足が進まない。

「身内が彼なんてやめときなよ」と言われないのは…郁ちゃんが彼氏として条件いいから?

雪乃ちゃんは最初、見た目で判断したよね。

服のしわが良い。

ってのは、標準体型ってこと。太ってないし痩せすぎでもない。

ジムとかで鍛えていても、程々でムキムキじゃない。

それって、結構大事。

兄の卓ちゃんはどちらかというと、ぽっちゃり。太ってはいないけど。

だから郁ちゃんも気を抜くと太りやすいのかも?

…なるほど。

コツコツ努力できる人ってことだ。

人として、ポイント高いな。


あとはそうだなぁ、郁ちゃんといると気を使わなくていいし、素でいられるし。

コンに行ってもいいと言っていた。

大手有名企業で働いてるし。

光稀くん優先でいいんだって。

私の仕事は不規則だから二人の時間を合わせるのは手間かも。

けど、好きな仕事なら続けていいよ。って言いそう。

結婚しても続けられるだろうなぁ…。

結婚?

お付き合いの先は結婚?

ないない。

想像できない…いや。

まてよ、結婚しても子供いてもコンに参戦させてもらえるなら、有り難いよね?

もしかして、ありか?

郁ちゃんと付き合うの、ありなのか?

ちょっと想像してみよう。

隣にいる郁ちゃん。

腕をくむとか?手を恋人つなぎで…?

ゾワっ。

背中を何かが這うような、ぞわぞわした感覚が走る。

ダメだ。

絶対に違う。

郁ちゃんは従兄弟で、せいぜい兄なのだ。

お兄ちゃんなら容易に想像できるんだけど。

ゾクッとした気持ち悪さをなんとかしたい。

ふぅ。

肩を回すように動かして、背中の気持ち悪い感覚を紛らわせる。


やっぱり私にとっての一番は光稀くんだな。

かなわぬ恋でも、光稀くんが好き。

一度だけでも私を好きだと言ってくれた。

その思い出だけで生きていけるよ。

大好き。

もし、もしもまだ、光稀くんが私を嫌いになっていなかったら。

次かあるのなら。

…次?

ない。ないな。


さて。

私は何食わぬ顔で部屋に戻り、作業の進行状況を確認する。

ある程度目処が立ったところで一度解散だ。

雪乃ちゃんはじめ、班の後輩は昼休憩のため本社へ戻る。

私は資料と衣装を照らし合わせておきたいので少し時間をずらしての昼ごはんを取ろうと思う。

最近、雪乃ちゃんに任せる仕事が増えたから、今回のEGGの会議には参加していないことが多い。

報告書に目を通しているが、出来上がった衣装を一度ゆっくり見ておきたいと思ったのだ。

春のコンサートは桜をイメージした淡いピンクが毎年の恒例だ。

ハートの形の飾りが桜の花弁のようでもある。

触れながら、しっかり付けられているか確認していると、部屋の扉が開いた。


のそのそ。

そんな表現が、合いそうなぐらいゆっくりと顔を覗かせたのは、EGG KIDSの萩原くんだった。

一度りこさんの気持ちを確認しました。

次回はのっそり顔を出した萩原くんの話。


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