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推しの衣装を手がけてます!  作者: 葵 紀柚実
一章 恋心は内密に
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11 実家より

母親から留守電が入っていた。

昼間にスマホのバイブが反応しているのは知ってたけど、仕事中に開けたら駄目でしょ。と、無視していた。

社内メールや会社スマホの電話なら、即座に返信するけどね。


お母さんも電話じゃなくてメッセージ入れてくれたらいいのに。メールでも、SNSでも。そのほうが返信しやすいんだけどな。

機械苦手だって、スマホを全然活用しない。

今日は比較的早く帰宅できた。荷物を置いてから再生する。

「お母さんです。お正月はどうするの?たまには凛々子から電話ちょうだい」

「留守電聞いたの?連絡ちょうだい」

「凛々子、番号あってるわよね?」

…昼前、昼過ぎ、夕方と三回も入ってた。

うわ、ごめん。と思いつつ笑っちゃう。

同じ日に三回って。

「もしもし。あ、お母さん?凛々子。留守電聞いたよ」

昼間は仕事だから出れないって言ったら、土日仕事になるから、平日の方が比較的のんびりしてるって前に言ってたじゃない。と、返された。

あぁ、うん、そんなこと言った気がする。

忘れてた。

でも、それは平日の夜のことで、昼間は仕事してるんだよね。

「年末はいつも通りだから、二日からそっち行くよ」

実家は都内近郊で日帰りできる距離にある。

それでも顔を出すのは盆暮れの長期休暇だけ。

「母さんたちはこうやって電話で声聞けるけど、おばあちゃんは寂しがってるから会ってあげてね」

「わかってるって。じゃあ、年明けも伯父さんの家に集合ね。あ、私お年玉ってあげるの?」


祖母は伯父と一緒に住んでいる。祖父はずいぶん前に天国だ。

伯父の子供たち、私の従兄弟は二人共家を出たので、今は祖母と伯父夫婦の三人家族。

それが正月にはみんな集まる。

親族みんなで集まる正月というのも、今どき珍しいかもしれないが、一人っ子の私に兄弟のような感覚を身につけさせる為、ことあるごとに伯父の家には遊びに行かされていた。

同じ市内にあって、比較的通いやすい距離にあるのも理由の一つなのかな。

大人になって聞いた話だと、嫁姑問題の仲介役としてうちの両親が話を聞きに行っていたらしい。

理由はともかく、月に何度か会っていた従兄弟は私にとって兄に近い存在ではある。

そこでだ。従兄弟の子供にお年玉はあげたほうがいいのか?

結婚してるのは二人いる従兄弟のうち、兄の方で結婚式にも参列したから、お嫁さんとも顔なじみ。

「まだ赤ちゃんだからいいわよ。もう少し大きくなったらこっちで根回ししとくから気にしなくていいわ」

そうなんだ。

金額とか、その家ごとのルールがあるから困ってたけど、任せていいならそうしよう。

もう、聞きたいことも聞けたし電話切りたかったんだけど母親の話は続く。


知り合いの息子さんの結婚が決まっただの、近所のスーパーで私の同級生の母親に会っただの。

本当にどうでもいい話なんだけど、私に『彼氏はできたの?』と、聞かなくなったので良しとしよう。

もう、諦められているんだと思う。

好きなことのために大学行かせてもらって、好きなこと仕事にして。

贅沢だなって改めて思う。

恥ずかしいから感謝の言葉は口にしないけど、その代わり、長話には付き合ってあげるよ。


録画したドラマを倍速再生しながらの夕食。SSRの出演している番組は、社内で話題になるからドラマもバラエティーもチェックしておきたいけど、全部見る暇はないからポイントを押さえつつ、CMは飛ばしてしまう。いつもなら。

今日はどちらかといえばCM目当て。F2がいくつか持ってるCMの中で、お菓子メーカーの冬バージョンの放送が始まった。

すでに企業のHPでロングバージョンを見ているけれど、テレビのショートは内容が少し違うらしいので、是非見ておきたい。


冬のCMか…一年って早いなぁ。

年末まで頑張れば、その後はまとまった休みが取れる。

正月明けてすぐにコンサートがある班は大変そうだけど、うちの班は大丈夫。

来年一年間の予定も既に出揃ってるけど、とりあえず一旦忘れて、今夜は録画消化で癒やされよう。

今回で今のうちに書いておくべき話が終わったので、いよいよです。

次回は久しぶりに光稀視点で。

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