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異世界から召喚された聖女は眼鏡のおっさんでした。  作者: 流花@ルカ


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連携訓練2

また一話抜けておりました……なんでなの……本当にもうしわけありません!!!!

「う……ここは……?」


目が覚めたアーベルは、辺りを見渡し状況を確認しようとする。


「俺は……そうだ、鍛錬中に二人と戦って……」


「おいっ!アーベル!大丈夫か!?」


心配そうにスカーがアーベルを見ている。


「あぁ、やられた傷もなくなってるし、動きにも問題はないぜ」


「そうか良かった……ところでアーベル……そこに立札があるのが見えるか?」


「あぁ? なんだこれ……『ここは、連携訓練用施設です。あなた達の連携が一定の水準になるまでは出られません、お二人の力を合わせてギリギリなレベルの敵が出るように設定されてますのでがんばって倒してください』だとぉ!ふざけてんのかよ!」


「アーベル、落ち着け!聖人様のなさることだ……きっと何か意味があるんだろう」


「くそっ!」


アーベルはイラつきながらも、ひとまず落ち着きを取り戻す。


「で、どうすんだよ」


「とりあえず、この部屋の中を調べてみよう。もしかしたら、脱出できるヒントが見つかるかもしれない」


「わかった」


二人は、手分けして室内の探索を始め、しばらくするとアーベルが隠し扉を発見した。


「スカー、こっちに来てくれ!」


「あぁ、今行く!」


「これは……? うわっ!」


扉から、小型の魔物が飛び出してきた。


「なんだこのチビ?」


「……」


油断しているアーベルへと魔物が一気に詰め寄る。


「危ないっ!」


スカーが慌てて戦斧を振りながらアーベルを庇った。

魔物はその動きを警戒して素早く後方へと距離を取る。


「油断するなアーベル!」


「すまねぇ!」


……その後なんとか魔物を倒した二人であったが、傷だらけの上大分消耗していた。


「このまま連戦になったらやばいな……」


「あぁ……だが、ここから出るためには、もっと力を合わせて戦わねば行かん、その為にも少しでもここで体力を回復してゆこう」


「それもそうだな……」


そして再び気合を入れなおした二人が次の部屋に入ると、そこには先ほどより一回り大きい人型の魔物がいた。


「ゴブリン種か?」


「いや、違うぞ!こいつはホブゴブリンだ!しかもかなりでかい!気をつけろ、アーベル!おそらく亜種だ」


「亜種?」


「通常の個体よりも強いということだ!」


「なるほどな」


「さっきと同じように、俺が囮になるから隙を突いて攻撃してくれ」


「いや、待ってくれスカー!」


「どうした?まさか怖気づいたわけじゃないよな?」


「そんな訳あるかよ!」


「ならどうするつもりだ?」


「今回は、二人で一緒に攻撃を仕掛けないか?」


「敵の攻撃手段も分からんのに、さすがに危険すぎるのではないか……?」


「わかっているさ、でも今は少しの危険を承知でやらなくちゃいけない時だと思うんだ」


「……」


「頼むスカー、力を貸せ!」


「……仕方ないなぁ……」


「いくぜぇー!!」


こうして二人の青年の激闘がはじまった。


……長時間の戦いによる蓄積した疲労から、二人の動きは鈍くなる。

スカーを軸に攻撃を仕掛けていたアーベルも動きに精彩さを欠いてゆく。


そして、満足に避けることもできなくなっていく己に腹立たしさを感じるスカー。

だが今までの修行を思い出し、ならば大地に根を張るがごとく、不動の構えで敵を迎え撃てばいいと己を鼓舞する。

その時、戦斧がほのかに光を発した。


「これは……力がみなぎるようだ……これならいける!」


ホブゴブリンの、渾身の一撃を紙一重で躱したスカーはそのままバランスを崩したホブゴブリンへ戦斧を振り下ろす。

たまらず倒れたホブゴブリンを油断なく見据えながら


「今だ!アーベル!」


「任せておけぇぇぇぇぇぇ!!!」


最後の力を振り絞るがごときアーベルの渾身の一撃が、ホブゴブリンの胴体を真っ二つに切り裂いた。


「ぐぎゃあああああ」


ホブゴブリンは、断末魔と共に動かなくなった。


「は……はは……やった……のか?」


「あぁ……俺たちは勝ったんだ!」


「よっしゃあぁぁぁ!!!」


「やったな!アーベル!」


「あぁ!お前のおかげだよ!スカー!」



「いや、私はただ……」


「謙遜するなって!ところで、さっきの戦斧の光は何だったんだろうな?」


「……少しはこの戦斧に認めてもらえたってことだと思う……」


そう言いながらスカーは、光らなくなった戦斧を見つめた。


「そっか……」


そう言いながらアーベルは、労う様にスカーの肩を叩くのであった。

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